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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同忘年会!

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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同忘年会!

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「来ると思ったぜ。てゆーか、いつまで待たせるんだ」
 近づいてきたゼスタに、シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)が飛びついた。
 そしてそのまま、壁際にぐいぐい引っ張る。
「なんだ? 構って欲しかったのか? 悪かったな、好みの子から優先したんで」
 くすっと笑みを浮かべ、ゼスタがシリウスの顎に手を伸ばした。
「ち、ちち違う! 聞きたいことがあっただけだ……」
「おっ、良い反応。そういえば、あの時もそうだったな」
 ゼスタがにやりと笑みを浮かべた。
「お前、ミルザムと違って、見かけによらず初心だな。結構可愛いじゃん」
 シリウスは狸寝入りをして、悪戯しているゼスタをおびき寄せようとしていた。
 なんだかよく分からないが、大荒野の宿で彼とアレナの会話を盗み聞きしてから、もやもやしてしまって、彼らのことが気になって仕方がないのだ。
「う、うるせぇ」
 シリウスはゼスタの手を捩じり上げるように掴み、顔を近づけて問いかける。
「オレが聞いておきたいのは、だ。その後、アレナとはどーなんだよ? こうして他の女に構って、泣かしてねーか? ちゃんと優子には話したんだろうな?」
「聞いてどーするんだ? 誰かに聞いて来いって言われたのか?」
「オ、オレは誰にも言ってねーぞ!? 別にお前がどーのじゃなくて、何かあったらアレナが可哀そうってだけだからな!?」
「何かって?」
 シリウスの腕を振りほどき、ゼスタは彼女の頬に手を添えた。
「な、何かって、ナニか……な、な、何かだよ! そういかがわしい何か!」
「いかがわしいって、例えばこんなこと?」
 ゼスタの顔が近づき、シリウスに息がかかった。
「と、ととととにかくっ!」
 シリウスは慌てて彼を振りほどく。
 ひそひそ話のつもりだったが、いつの間にかシリウスは大声を上げていた。
「あんなこと言ったんだから…てか、パートナー仲間なんだから、泣かすような事するんじゃねぇぞって話! それ以上でもそれ以下でもなんでもないからなっ!?」
「それは難しいな。やっぱ、夜は泣かしたいし。それともアレナの代わりに、今から付き合ってくれる?」
「そ、そそそそいう言動が、泣かす行動なんだよっ!!!!」
「はいはい、そこまで」
 ドーンとゼスタを突き飛ばしたシリウスを、サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)が回収する。
「さ、サビク、お、オレはだな……!!!」
「はいはい、顔を洗ってきな。アレナもこっち見てるし」
 サビクはシリウスの腕を引っ張って、近くのドアへ連れて行く。
「あーあ、お前のせいで、アレナちゃんに誤解されちまったかもー。彼女がお前のせーだ。あとでじっくり責任とってもらうぜっ」
 ゼスタはにやにや笑っている。
「せ、責任転換するなーっ。じ、自分が悪いんだろ」
「だから、シリウスも悪い」
 言って、サビクはシリウスを部屋から押し出してドアを閉めた。
「可愛いヤツ」
 ゼスタは声を上げて笑い出した。
 サビクは大きくため息をつき、ゼスタに目を向ける。
「正直ボクはキミが羨ましいよ。想いを分かち合える人がいて」
 サビクがそう言うと、ゼスタの笑いが止まった。
「あとそれ以上にパートナーが常識人で」
「うん」
 その言葉に関しては、ゼスタは即大きく頷いた。
「けど、楽しい相方じゃねぇか」
 再び笑いながらゼスタが言う。
「まあ、楽しい……かな、うん」
(というか、大好きだよ。シリウスのことは)
 言えば図に乗るし、シリウスには大切な人が他にいるため、絶対に言うつもりはなかったが。
 だからというわけではないが、ゼスタ達には当人なりに幸せになってほしい、そんな風にも思っていた。
「じゃ、今日はよい朝を」
 ウィンクを残すと、サビクはドアの向こう――シリウスの元へと向かっていった。