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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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20)

ヴァイシャリーの街にて。
ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)は、
恋人の桜井 静香(さくらい・しずか)とともに、街歩きを楽しんでいた。

はばたき広場で路上パフォーマンスを見たり。
時計塔など、観光名所になっている場所を見て回ったり。

「改めて、ヴァイシャリーの街を見ると、
なんだか新鮮だね」
静香が、笑顔でロザリンドに言った。
「喜んでもらえてうれしいです」
ロザリンドも、笑顔でうなずいた。

さらに、ロザリンドが普段、ヴァイシャリーの街で生活する中で見つけた、
安い市場の店で、果物を買ったり。
おいしい紅茶を出す、穴場の店に行って、ゆっくりとお茶したり。
普段通りではあったが、
どこか、新鮮な、ゆったりとした時間が流れていく。

「そういえば、ですが」
ロザリンドが、紅茶を飲みながら、ふと、真面目な表情で言った。
「どうしたの?」
「このヴァイシャリーの街のことなのですけど」
こうして、平和な時間を過ごせているヴァイシャリーだが。
「3年程前、闇龍の襲撃などがありましたが、そのころ破壊された場所は、
もう、完全に復旧しているのでしょうか」
ロザリンドの問いに、静香は、うなずいた。
「うん、そうだね。行ってみようか」

ロザリンドと静香は、闇龍の襲撃のあった街並みにやってきた。
そこは、もう、他の場所とほとんど変わらず、復興していた。
「契約者の皆の活躍や、地域住民の皆さんの努力で、
頑張って復興したんだよね」
静香の言葉に、ロザリンドは安心したようにうなずいた。
「よかったです。
これからも、皆が平和に暮らせるように、頑張らなくてはいけませんね」
「そうだね。でも、ロザリンドさんは、肩に力を入れすぎないようにね」
「えっ、そうですか?」
「うん。あんまり自覚ないみたいだけど」
静香は、穏やかな笑みを向けた。

そして、2人は連れだって、ゴンドラに乗り、百合園女学院の周りを一周した。
これまでのことを、思い出しながら、ロザリンドは静香に視線を向けた。
「ここがあったからこそ。
今の出会いと今の私がいて、
これからの私ができていくのですよね」
「うん、それは、僕も同じだよ。
このヴァイシャリーで、百合園女学院で。
本当にいろんなことを経験させてもらったと思う」
静香も、深くうなずいた。
「不甲斐ない私ですが、よろしければ最後までお付き合いします」
「こちらこそ、頼りないかもしれないけど……よろしくね、ロザリンドさん」
静香は、そっと、ロザリンドの手を取った。

ゴンドラを下りると、ロザリンドは、すっくと立ち上がった。
「よし、今日は十分遊びましたので、明日からはお仕事バリバリと頑張りましょう!
ハイパーランサー!
明日からも頑張ります!」
「ふふ、ロザリンドさんらしいなあ。
うん、僕も、頑張らないとね」
静香も、ロザリンドの少し後ろに立って。
その背中を、眩しそうに見つめたのだった。