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リアクション
■ 空京で雪合戦 ■
昨夜積もった雪は今日も降ったり止んだりを繰り返し、どうやらこのまま残りそうだ。
せっかくだから雪遊びしようと、東雲 秋日子(しののめ・あきひこ)は要・ハーヴェンス(かなめ・はーう゛ぇんす)と共に空京の街に来ていた。
「これだけ雪があると、テンションあがっちゃうよね」
ちょっと子供っぽいかとも思うけれど、雪を見ると秋日子の気分はつい盛り上がってしまう。
「ええ。それに、雪の日はなんだか空気が透き通っている気がして気持ちいいですね」
秋日子に同意しながら街を眺めていた要は、やたらと見かける雪だるまに首を傾げた。
「なにやら、雪だるまがたくさんですね……」
特にこの辺りは雪だるまがぽこぽこと、これでもかとばかりに並んでいる。
「パラミタでもやっぱり定番は雪だるまなのかな?」
「まあ、雪の日にはつきものですから……。それにしてもいろいろありますね」
人の背丈ぐらいのものがあるかと思えば、手の上に載ってしまうほどのものもあり。雪玉のバランスも顔もバラエティーに富んでいる。
「……ええっと、ちょいちょい混ざってる3段のこれは……なんだっけ? お団子? 三兄弟? あれ、違う?」
珍しそうにスノーマンを見ている秋日子に、要が説明する。
「実は3段のスノーマンはよくある形なんですよ。ですが日本では2段の雪だるまが主流ですから、3段のものは秋日子くんには珍しいかもしれないですね」
「雪だるまも場所場所でいろいろあるんだね」
要の説明に納得した秋日子は、ふと笑って雪を手に取った。
「雪だるまも雪の日らしくていいけど、やっぱり体動かしたいな〜。というわけで要、私と雪合戦をしよう!」
秋日子がいきなり出した提案に、要は驚いた。
「ええっ、雪合戦ですか?」
「うん。あ、たとえ要が相手でも、手加減なんかしないからね? 要も手加減とかしないでよね」
「はあ……。手加減はなしといわれても……自分別に手加減するほど雪合戦は強くないですよ?」
困惑する要とは逆に、秋日子は大乗り気で雪玉を作っている。
「よーし、燃えてきたぁああ! 絶対に勝つよ!」
さっそく1つ目の雪玉が飛んできて、要は慌ててかわした。
その拍子に、すぐ近くにあった雪だるまとぶつかりそうになった要に、秋日子が注意する。
「あ、雪だるまは壊さないように気をつけないとだめだよ」
きっと誰かが一生懸命に作ったものだろうかと言う秋日子に、そうですねと要は微笑んだ。雪合戦に燃えている時でも、そういうところを気にするのが、秋日子らしいと思いながら。
そのすきをつかれ、要はまともに秋日子の投げた雪玉をくらった。
「やったー! 当たった! この調子でいくよっ!」
飛び上がって喜ぶと、秋日子はすぐにまた次の雪玉を作り出した。
寒さのせいか、興奮しているせいか、秋日子の頬が少し紅潮している。
雪合戦は特に好きというわけではないけれど、これだけ秋日子が楽しそうにしているのだからいいか、と要も雪玉を丸めて秋日子に向かって投げた。
雪玉は秋日子の腕に当たって散った。
「やったなー、負けないんだからね」
負けず嫌いなところのある秋日子は、せっせと雪玉を丸めては反撃してくる。
要ははしゃぐ秋日子の声を聞きつつ、雪だるまの間をぬって雪玉を投げ返すのだった。