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【4周年SP】初夏の一日

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23.ドラゴン牧場のドラゴンレース

キマクにあるドラゴン牧場。

如月 和馬(きさらぎ・かずま)は、
アイリス・ブルーエアリアル(あいりす・ぶるーえありある)と、
高原 瀬蓮(たかはら・せれん)を誘い、
ここにやってきていた。

「おお、アイリス様。よくぞいらっしゃいました」
アイリスは、元エリュシオン帝国第七龍騎士団のヴァシリオスに歓待される。

「わあ、かわいい!」
瀬蓮は、歓声をあげて、
ドラゴンの子どもへと走り寄っていた。
「ピイ、ピイイ」
「あはは、人懐っこいね」
「ドラゴンも人を見るだろうからね。
瀬蓮が優しいのがわかったんじゃないかな」
アイリスも笑顔で言う。
「気にいってもらえてよかった」
和馬もその様子を見て、満足げにうなずいた。

好きな相手のパートナーにも気にいられたい。
アイリスの好意を得るためには、
瀬蓮も喜ばせなければならない。
そう考えていたので、
和馬は、ドラゴンの子どもがいる、ドラゴン牧場を選んだのだった。

「ところで、アイリス。
せっかくだから、また、オレと勝負してくれないか。
今回は、ドラゴンレースで、だ」
「ドラゴンレースか」
アイリスが、興味深そうに言った。
「いいだろう。
君は、本当に僕を退屈させない男だ」
アイリスは不敵に笑い、和馬の挑戦を受け入れた。

和馬は、
ヴァシリオスに頼んで白い雌のドラゴンをアイリスに、
黒い雄のドラゴンを自分の乗騎にする。

スタートラインで、すでに、
黒い雄のドラゴンは、白い雌のドラゴンに襲い掛かろうとしている。
「どうどうっ!」
和馬は、レース開始の合図まで、黒いドラゴンをなだめる。
(すごい勢いだな。
だが、これなら、オレの思惑通りになるはずだ!)

やがて、ドラゴンレースの開始の合図がされる。

アイリスの白いドラゴンが、一足早く離陸する。
それを、和馬の黒いドラゴンが追う。

「さすが、早いな!」
和馬はそれでも、雄のドラゴンが雌のドラゴンを追いかけて、
アイリスに勝つ見込みはあると考えていた。

黒いドラゴンが、猛スピードで、白いドラゴンを追う。

ふと、アイリスが、白いドラゴンに合図を送る。
白いドラゴンは、すぐ後ろに迫った黒いドラゴンの顔面を蹴り飛ばした。

「グアアッ!」

その隙をついて、アイリスの白いドラゴンは、
どんどん距離を引き離してしまう。

そして、先にゴールしたのは、アイリスであった。

「アイリス!」
瀬蓮が、ドラゴンの子どもを抱いて駆け寄ってくる。

「さすがだな」
和馬は、負けても、アイリスへの賛辞を忘れない。

「君も、これだけの『作戦』を用意するとは、
さすがは恐竜騎士団員といったところかな」
「……さあ、なんのことだ?」
和馬はとぼけてみせる。

「でも、龍騎士である僕をここまで追い上げるとはね。
如月和馬、なかなか面白い男だ」
アイリスは、超然とした態度を崩さずに言った。

(たしかに、簡単には落とせるような相手ではない……。
だが、それだからこそ、燃え上がるというものだ)
和馬は、そう考え、
さらに、アイリスに迫る、次の手段を考えるのだった。