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リアクション
九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)のたってのたのみで、
長曽禰 広明(ながそね・ひろあき)は、
ナメクジ大魔王の息子、ナジュニアに扮していた。
ローズは、「ナジュニアの弟子」であるという、
金髪の男の子の姿になっていた。
そういう設定があるらしいという、ローズの主張のためである。
「すっごくすっごく格好いいです広明さん!!」
「そ、そうか? ナメクジだぞ……?」
緑色の巨大ナメクジ人間になっている長曽禰は、
苦笑交じりながらも、
恋人に目をキラキラさせられ、まんざらでもないようだった。
そんな会話をしていると、
2人は、会場の魔法の影響で、本当に変身してしまう。
長曽禰はナジュニアに、
ローズは少年の姿になり、金髪が逆立ち始めた。
「よし、せっかくだ。
修業を始めるぞ。
ついてこい!」
「はい、ナジュニアさん!」
長曽禰は、弟子という設定のローズに、稽古をつけることになった。
「どうした!
そんなことでオレの弟子が務まると思ってるのか!」
「は、はい、ナジュニアさんっ!」
ナジュニアになった長曽禰の修行は厳しかった。
だが。
(ナジュニアさん、設定どおり、
とっても弟子思いだな……。
私が敵に負けないため、あえて厳しくふるまってくれているんだよね)
ローズは、ナジュニアになった長曽禰にときめいていた。
「さあ、ローズ、オレに思い切り殴りかかってこい!」
「ええっ!?」
「どうした、そんな弱い気持ちでは、
あっという間にやられてしまうぞ!」
「わ、わかりました、ナジュニアさん!」
少年の姿のローズが、
空中を飛びながら、ナジュニアの長曽禰にパンチを放つ。
「ぐっ……」
「ナジュニアさん!?」
「……よし、よくやったな、ローズ」
ナジュニアの長曽禰が、ローズを労う。
「ナジュニアさん!」
ローズがナジュニアの長曽禰に笑みを浮かべた。
こうして、修行を続けた2人だったが。
変身がとけ、パーティーが終わった後、
ローズが、ふと、長曽禰を見上げてつぶやいた。
「ナジュニアさんのときも、すごく格好よかったですけど……。
いつもの広明さんが一番格好いいですよね!」
「何言ってるんだ」
照れた長曽禰は、ローズの頭をくしゃりとなでた。
「ふふ」
ローズは、幸せを噛みしめながら、
いつも通りの長曽禰の肩に寄りかかったのであった。
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