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騎沙良 詩穂(きさら・しほ)の一日】

 詩穂は規則正しく早起きをして、身支度をきちんと整えてからすぐに図書館へ向かう。
 その足取りは軽やかで、表情には暖かな笑みを浮かべている。
 新鮮な空気をその身で感じつつ、詩穂は図書館へ到着した。

―お勉強ですか?

「はい、学生ですから」
 静かな笑顔でそう答えた詩穂。
 静謐な空間に佇む彼女はまるでお嬢様のようだ。

 昼。
 詩穂は清掃道具を持っていた。空京大学の清掃バイトだそうだ。
 その清掃の手さばきたるや、見事と言うほかない。
 周りで見ていたギャラリーも目を離せないでいた。
 そこへ同じく清掃バイトをしていたジークリンデ・ウェルザング(じーくりんで・うぇるざんぐ)と出会う。
「あ、こんにちは! 清掃ですか?」
「そうね。窓拭きがメインだけど」
「それじゃ私はそれ以外の部分を掃除しますねっ」
 詩穂の申し出にジークリンデは「助かる」と言った。
 そして二人の掃除技術が交わる。掃除、いや、最早芸術。
 一連の動作に一切無駄がない。気付けば周りにいたギャラリーも、スタッフも拍手をしていた。

 日も落ちてきた頃、掃除を終えジークリンデとも分かれた詩穂は、
 空京大学にて、朝方図書館から借りてきた書籍を持って法について学び始めた。
 羅列される困難極まりない、回りくどい書籍に、詩穂はまったく動じずペラリとページをめくっていく。
 数時間もの間熱心に勉強、そして本を閉じた。今日の勉強は終わり、ということだろう。

―では最後に何か一言!

「あ、えっと。テレビやラジオではいつもお世話になっております、もちろん勉強も大事です! 皆さんも勉強は大切にしてくださいねっ!」
 ま、まぶしい……。

 これが騎沙良 詩穂の一日――