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リアクション
ケーキバイキング付きのレストランに行こうとシルヴィオ・アンセルミ（しるう゛ぃお・あんせるみ）に誘われ、リフル・シルヴェリア（りふる・しるう゛ぇりあ）は素直についてきた。
「食べることがやっぱり好きなんですね」
守護天使のアイシス・ゴーヴィンダ（あいしす・ごーう゛ぃんだ）が問いかけると、リフルは小さくだけ頷いた。
リフルが無口なのを知っているシルヴィオは、リフルが喋らなくても、一緒に来てくれたことが満足だった。
大体の人がそうなのだが、リフルの場合、こちらが一方的に喋っているような状態なので、こちらが友人だと思っていてもリフルがどうか分かりづらい。
なので、一緒に来てくれてほっとした。
アイシスを一緒に連れてきたのは、シルヴィオの配慮だ。
リフルは人気者だし、変な噂が立つとリフルが困るだろうと思ったのだ。
アイシス自身もリフルに興味があったので、問題なく３人でと言うことになった。
シルヴィオは２人の話を邪魔しないように、レストランの人に声をかけたり、必要なエスコートをさりげなくするだけに留めておいた。
レストランは堅苦しくもないが、ファミリー向けでもない、空京のそこそこ名の知れたホテルのレストランだった。
上流層のシルヴィオはお店を見る目が厳しかったが、同時にリフルが堅苦しく思っても行けないので、とリフルくらいの年の女の子が喜ぶであろう、ちょっと綺麗なホテルブッフェを選んだのだ。
リフルはアイシスに取り方を押してもらいつつ、淡々と料理を取ってきて食べた。
「料理を美味しそうに食べる人って、素敵だよね」
シルヴィオが声をかけるが、返事はない。
食べるのに夢中のようだ。
取りに行っては食べ、取りに行っては食べ。
早食いや大食いの人のような食べ方ではないのだが、休みなく口に食べ物が運ばれていく。
その様子を見て、シルヴィオはアイシスに言った。
「アイシスも、リフルを見習ってもう少し食べた方が良いんじゃない？」
しかし、アイシスは肩を竦めた。
「それだけは真似できそうにないです」
小食なアイシスは本当にちょっと気になった料理に手をつけたくらいだったが、シルヴィオはケーキが出始めたのを見て、リフルを誘った。
「じゃあ、次はドルチェにいこう」
リフルには否はなく、素直に付いて行って、全種類を制覇し、さらに気に入ったケーキをおかわりして、リフルはレストランのスタッフを恐怖させた。
食事の終わったシルヴィオはリフルやアイシスよりちょっと先にコートを着て会計を払い、何か言いかけたリフルにこう言葉を被せた。
「帰りに神竜軒に寄っていこうか」
神竜軒と聞いてリフルは１も２もなく頷く。
「まだ食べる気なの……？」
ちょっとげんなりしながらも、それでも付き合うアイシスは、付き合いのいい人なのかもしれなかった。
「良かったです、こういうところがあって」
源 紗那（みなもと・しゃな）はリフル・シルヴェリア（りふる・しるう゛ぇりあ）を連れてこられて、ホッとした。
神竜軒のラーメンを気に入っていたリフルを見て、紗那はプリムラ・ヘリオトロープ（ぷりむら・へりおとろーぷ）に頼んで華僑……中華街のようなところがパラミタにないか探してもだったのだ。
紗那の予想は当たり、中国系の多いヒラニプラにそういったエリアがあった。
「それで……おいしいラーメン屋ってありましたか？」
紗那が耳打ちすると、プリムラは難しそうな顔をした。
「なかなか……ってところだねぇ」
「え……なんでですか？」
「そもそもラーメンって日本的なものなので……中華街にあまり美味しい店と言うのは多くないようなんだぁ」
「そうなのですかっ！？」
驚く紗那だったが、それでもリフルはじーっとお店を見ていた。
「中華……そば」
「え？」
「同じもの？」
「う、うん、そうですそうです」
こくこくっと頷き、紗那はリフルの興味に気づいた。
「入りますか？」
リフルがそれを了承したので、３人でお店に入った。
リフルの食べっぷりを見て、紗那は本当に良く食べますねえと感心した。
プリムラとリフルは雰囲気が似ている。
髪や瞳の色が似ているのもあるのだろうが。
だからこそ、プリムラにああいうことをさせたのだが。
「紗那、リフル。追加は何か欲しい〜？」
そのプリムラがメニューを見せてくれる。
リフルがメニューに目を向けると、リフルが食べる間、携帯で情報を探していたプリムラがある品を指差した。
「これもおすすめなんだって」
それを聞き、リフルは素直に「それじゃそれも」と答えて、また食べたのだった。
中華街を散策しつつ、あれこれ見て周り、最後に紗那はショコラティエのチョコをリフルにプレゼントした。
「おなかがいっぱい食べられないでしょうが……という心配はリフルに限ってないですね」
リフルは素直にそれを受け取った。
「また遊びに行きましょう」
紗那はリフルにそう呼びかけ、夕日を浴びながらみんなで帰路についた。
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