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【ざんすか内乱】ふっかつのしゃんばら【最終話/全3話】

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【ざんすか内乱】ふっかつのしゃんばら【最終話/全3話】

リアクション

■□■2■□■「しゃんばらだいこうやからだいこうや引けば、手っ取り早い気がするけど」

「これがパラミタを救うことになるんだから!」
春夏秋冬 真菜華(ひととせ・まなか)は、ナース服を着用し、
パートナーの剣の花嫁エミール・キャステン(えみーる・きゃすてん)は、巫女服を着せられていた。
「これが正装だと言われたんですが周囲を見回してどうでしょう。
 着ているのは女性ばかりではないですか!
 もしや騙された……くっ……こうなったら何が何でも神子になってやる!」
「神子神子ナース参上! あ、みこがひとりたりない!
 だれかみこいませんかー。
 のらみこでもはぐれみこでもいいですよー!」
真菜華は、周囲を見回す。

ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)は、
パートナーの剣の花嫁水無月 瑠璃羽(みなづき・るりは)をハグちゅーして送り出すところだった。
「ハッピーエンドになるにはみんながひとつにならないとだめだからね。
 『パートナーを神子にしたいので、他のプレイヤーを楽しませることを考える』ってことにしたんだもん。
 必ず、神子になれるって信じてる!」
巫女装束の瑠璃羽を抱きしめるネージュの姿は、
まるで、現世での最後の別離のように見えた。
「さぁやれ、あなた好きでしょ? 京の巫女さん。私が決めた、今決めた!」
(ネー、この間唐辛子米菓で再起不能にした事をまだ根に持っているんどすか……)
おっとりした性格の瑠璃羽は少し不安を感じながらも、
神子になったら精一杯がんばろうと思っていた。
「あっ、みこさん発見!
 これで3人一組になったね!」
真菜華は、エミールと瑠璃羽で一組にする。
「神子神子ナース! 神子神子ナース!
 バスガス爆発神子神子ナース!!」
「み、みこみこなーす?」
ヤケになって叫ぶエミールに、瑠璃羽はきょとんとする。

茅野 菫(ちの・すみれ)は、
パートナーの英霊相馬 小次郎(そうま・こじろう)に、むりやりコスプレをさせられていた。
「ねえ、これ、大丈夫? 怒られない?」
ネギとイルミンスール魔法戦闘航空団団長用のハンドマイクを手に、
空色のツインテールにアイドルコスチューム姿の菫は言う。

地祇のラウム・ゲットリヒ(らうむ・げっとりひ)は、
菫のコスプレと同じシリーズの双子の片方のコスプレをしていた。
「ベントラ ベントラ スペース チギー
 ベントラ ベントラ スペース チギー」
謎の言葉を唱えつつ、何かを受信したラウムは、近くにいたつぁんだ軍地祇にダイブする。
「神子は(神子になった人)なんだもん」
謎のお告げをして、ラウムはそのまま眠ってしまった。
「うぎゅううう」
つぁんだ軍地祇はラウムの下敷きになっている。
小次郎は、菫と同じコスプレをしている。
「ミッコミコにしてやんよ」
ネギを振り回しつつ、小次郎と菫は歌って踊る。
「よし、こうやって周囲を楽しませることで、このシナリオでの「ハツノミコ(初の神子)」を目指すのじゃっ」
「大丈夫?
 ほんとに大丈夫?
 神子神子ナースな人もいるみたいだけど……」
菫はかえって危険な解説をしてしまいそうになる。
「ほほう、おぬしはメガネ×王ちゃん萌えなのじゃなっ」
「学校入り口組は王ちゃん総受けで決まりだよ、フフフフフ」
「うむ、メガネ男子は鬼畜というのが王道じゃからのっ」
小次郎とたしがんは、BLの話題でも盛り上がっている。
「合体するなら、意思統一の為にも、皆の衣装を統一させちゃいましょう!
 ナース服で!
 チョイスに特に意味はありません!
 ないったらないんです!
 似合うとか似合わないとか男とか女とか若いとか若くないとかサイズが合う合わないとか
 細かい事はいいんです!
 ヒャッハーの精神です!
 ざんすかつぁんだ神子神子ナースなんです!」
風森 望(かぜもり・のぞみ)は、いつもどおり欲望全開であった。
「というわけで、ヴぁいしゃりーたん!
 下から数えて二番目なら、
 日本を代表する柔道のNEWAZAに持ち込んでヤればヤれるはずです!」
「って、何をなさいますの!?
 ぎゃああああああああああ!?」
望は、ヴぁいしゃりーを寝技に持ち込んだ。
「えっちぃとか、いかがわしいとか、よこしまとか、破廉恥とかそんな意見は却下です!
 合体……の儀式を……する為に、必要な行為なんです!」
「どう考えてもあなたのリビドーじゃありませんのっ!
 くっ、身体が抜け出せませんわ!」
「外見年齢10歳のヴぁいしゃりーたん、
 ヴぁいしゃりーたん、ハアハア」
「ちょっ、もがけばもがくほど身体を密着されてしまいますわー!」
ヴァルキリーノート・シュヴェルトライテ(のーと・しゅう゛るとらいて)は、
パートナーは放置して言う。
「神子とは特別な存在……そう、つまりはわたくしの様な高貴な者が相応しいのですわ!
 「友達が勝手に応募しちゃって〜」とか
 「パートナーに薦められて〜」なんて、
 誰かに後押しされないと名乗り出せない方には相応しくないのですわ!
 『自称神子』ではありませんわ!
 わたくしを呼ぶのなら、そう、『自薦神子』とお呼びなさい!
 お〜ほっほっほっ!」
ノートは、近くにいたひらにぃにドリル風お菓子を渡す。
「さあ、ひらにぃさん、
 これでわたくしを神子に選んでくださいますわよね?」
「オマエ、スキ」
相手の好意に弱いひらにぃは、ノートのお菓子を受け取って言う。

「ふぅ……やれやれひどい目にあいました。
 お菓子を分けてあげたのに噛み付くなんて!
 そういえば、ガートナも来てた筈ですが、彼は……どこへ?」
じゃたに襲われた島村 幸(しまむら・さち)は、
パートナーの剣の花嫁ガートナ・トライストル(がーとな・とらいすとる)を探す。
「幸達の教えで目が覚めました。
 ピオス殿の衣装をお借りして合体に挑みましょうぞ!
 人情がなければ 道義たたぬ。
 義理がなければ 愛が育たぬ。
 愛がなければ 平和なんぞ夢の夢。
 ないないずくしの世界を嘆くより、
 私が愛を伝えなければっ!」
ガートナは、幸と英霊アスクレピオス・ケイロン(あすくれぴおす・けいろん)による、
きまくの洗脳教育を近くで聞いていたせいで、暴走してしまったのだった。
「カ・イ・カ・ン……ですぞ☆」
ダンディーな髭紳士のガートナは、ミニセーラー服のアイドル衣装を着て、
トミーガンを手に突っ走っていった。
「待っていてくだされ、皆の衆。
 このトミーガンで貴方がたの愛を目覚めさせてあげますぞ☆」
トミーガン……ギャングが好んで使うドラムマガジンつきの短機関銃……を乱射しつつ、ガートナは儀式に突っ込んできた。
「あっ、ガートナ! いつもは嫌がって着てくれないのに……写真撮影しなくては!」
幸がカメラを取り出して撮影している間に、またしてもガートナを見失ってしまう。
「あっ、あの人はみこでもナースでもないね!」
「そんなこと言ってる場合ですか!?」
真菜華を引っ張って、エミールはガートナを回避しようとする。
「てめぇが着たら伸びるだろうっ!
 脱げ! 今すぐ脱げー!!」
アスクレピオスは自分の服を取り戻そうとガートナに向かう。
しかし、聞いてくれないので、火龍の杖で股間を殴り上げる。
「ぐふうっ!?」
「あきれてものもいえねぇーよ。
 合体しにきたのか邪魔しにきたのかお前はどっちなんだよっ!」
悶絶しているガートナの服を脱がせ、アスクレピオスはブラックコートをかける。
「武士の情けってやつだ。
 ……あーあ、やっぱり伸びてるじゃないか……」
そこに、幸が走ってくる。
「あれ、ガートナ、ピオス先生、どこに?」
「うぎゅうう!?」
「ん? ガートナの声がどこからか!」
「ぎゅむうううう!!」
「どこですか、どこにいるんですか、ガートナ!」
幸は、分厚い底の靴で、倒れたガートナの股間を踏みまくっていたのだった。
「あああ! 誰がこんなひどいことを!」
しばらくして、幸は自分が踏みまくったガートナを発見して膝枕で看病する。
「そういえば、どうして裸なんですか? さっきはミニスカ着ていたのに」
「ミ……ミニスカ!?」
我に返ったガートナは驚愕する。
「セーラー服があんなに似合うなんて思いませんでした」
笑顔で言う幸の元に、望が現れる。
「服がないなら、ナース服を着ればいいんです!」
「ナ、ナース服ですって!?」
「おお、さすが望、それはすばらしいアイディアですね」
驚くガートナの横で、幸が賞賛する。
「それとも、全裸でいるんですか? 犯罪ですよ☆」
「う、ううう……」
ガートナは望に無理やりナース服を着せられた。
「また写真とって差し上げますからね!」
幸は満面の笑みで言う。

その横では、夏野 夢見(なつの・ゆめみ)と、
パートナーの吸血鬼桜花・ミスティー(おうか・みすてぃー)が屋台を開いていた。
「合体しない人は暇だよね。
 暇だとお腹空くよね。
 というわけで、ひらにぃにちなんで作った『ドリルポテト』と、
 水餃子はいかがー?
 水餃子は『当たりが出たらかわいい店員の水着写真プレゼント!』」
ドリルポテトとはジャガイモを螺旋状に切って串に刺して揚げたものであり、
水着写真とは、シャンバラ教導団学校指定水着の夢見であった。
桜花は、芋の皮をむいたり、盛りつけたり、屋台の手伝いをする。
(儀式の邪魔をする乱暴者が現れたら、
 おなかがいっぱいになったら多少落ち着くんじゃないでしょうかー?)
桜花はそう考えている。
「あっ、水餃子ひとつくださーい!」
ネージュがやってきて、夢見に言う。
「はーい、いらっしゃいませー」
「さあ、瑠璃羽ちゃん、
 これで、神子になれますように……ってガフッ!?」
「ああっ、ネー!?」
ネージュは当たりの水餃子を食べて撃沈した。
「あの、もしかして、当りの水餃子って……」
「当たりはわかりやすい様に激辛唐辛子だよ。
 どれが当たりかあたしにもわからなくなってたけど」
瑠璃羽に夢見は言う。
(あの時、ヴぁいしゃりーが倒れ、
 ナラカへ堕ちたことにより、地祇を失ったヴァイシャリーの街は突然壊滅、
 湖底へと姿をけした。
 荷物も住むところも学び舎も失い、着の身着のままで集う百合園の仲間達。
 それを支援する他校の人たち……。
 これがあたしが望んだ未来……だったの!?)
激辛が弱点のネージュは、ヴァイシャリー崩壊の悪夢を見てうなされていた。
「うーん、うーん、
 ざんすかも、つぁんだも、じゃたも、しゃんばらだいこうやも、くうきょうも……。
 地祇だけでなく、
 ここにいる全てのみんなの気持ちが仲良くひとつになってしゃんばらが復活できますように……」
「ネー、しっかりしておくれやすー」
ネージュに瑠璃羽は言う。

「なんか地祇って見てると癒されるよね。
 あんなに小さいのに、体を一生懸命動かしてみんなにツッコミを入れているんだから。
 みんなと地祇のやり取りを巻き込まれないところから見て、癒される〜」
ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)は、
少し離れたところから儀式を見守っていた。
「何が癒されるよね、ざんす!
 こっちは真面目にやってるざんす!」
ざんすかが怒って向かってくるのを、ウィングは避ける。
「ふふふ、あたらなーい♪ こっちだよ〜」
ウィングのパートナーの剣の花嫁アニムス・ポルタ(あにむす・ぽるた)は、
合体の儀式を手伝おうとしていた。
「でも、いつまた不運やドジで迷惑かけるか怖いな。
 いやいや、こういう後ろ向きなのがいけないのですよね、きっと。
 積極的に合体を手伝っちゃいますです」
アニムスが、円陣を組んでいる地祇達に近づいたとき、持っていた7個の玉璽がばらまかれた。
「きゃー!?
 ピタゴラドジっ娘発動ですー!?」
ばらまかれた玉璽はいろんな場所に順番にぶつかって、
儀式の飾りつけなどがどんどん落下していった。
「ガフッ!?」
「グハッ!?」
ウィングとざんすかにもいろいろなものが落下する。
「しおしおのぷ〜……へろへろのぷ〜……」
目を回して、アニムスは倒れた。

棚畑 亞狗理(たなはた・あぐり)は、また新たな戦略を考えていた。
「合体ロボや魔女っ娘物は、
 合体中を襲われたり妨害されたら困るんじゃないかのう?
 はっ!
 合体で幼女成分を濃縮し、
 且つ、ちみっこ達のはーとと財布をも鷲掴みにする超アイデア。
 それは幼女満開で素敵なテーマソングじゃ。
 歌が流れている間は敵は手出しできんのじゃ!
 ……ちゅうわけで、聴け! 俺様の20もある音楽才能!」
パートナーの守護天使バウエル・トオル(ばうえる・とおる)は、
その横で亞狗理が書いた『ネ申子希望』という札を持って立っている。
「農業成分を捻じ込む為に、
 農業方面の守護天使な私を巻き込みたいって事らしく……。
 が……なんでしょうね? ネ申子って。
 確実に亞狗理の誤字でしょうが、混乱を招いて楽しそうなのでそのまま希望してみます」
亞狗理は歌い始める。
「『恋はいつでも地祇地祇BANBAN〜神っ子神子にしてやんよ!』
 作詞作曲・歌:棚畑亞狗理

 ボクの名前はたしがん
 キミの名前はヴぁいしゃりー
 二人合わせて闇デレだけど、ヴってなんだよカタカナじゃんよ
 だけど判るぜ萌える劣情
 くうきょうとくうきよめって一字違いだよね
 (中略)
 あのね早く合体に混ぜてよ
 君の事神子にしてやんよ!
 神子神子なーす!
 (中略)
 つぁんだ!
 きまく!
 ひらにぃ!
 ざんすか!
 じゃた!
 全員合わせてしゃんばらだ
 しゃんばらだいこうやからだいこうや引けば、手っ取り早い気がするけど
 それは秘密★秘密★秘密★
 逝け逝けしゃんばら
 BANと逝け」
葱を持って、亞狗理は言う。
「振り付けは葱を振るので決まりじゃ!
 農業成分的にバッチリと思うんじゃ。
 はっ!
 変身シーンちゅうか合体シーンはやっぱり……『全☆裸』かのう?
 なら脱衣を手伝うにやぶさかではないんじゃが……」
ざんすか達は、亞狗理とバウエルをぶっ飛ばす。
「バカにしてるのかざんす!」
「脱がす脱がすって、全年齢対象だって言ってるだろう!」
つぁんだはいろいろあってキレている。
「みなさーん、こんにちはー!
 秋葉原四十八星華リーダーの騎沙良 詩穂(きさら・しほ)でーす!
 「観光地の絵葉書」をたくさん貰ったので
 「秋葉原四十八星華ブロマイド」をお礼にプレゼントしちゃいます☆」
幸せの歌を歌いながら、詩穂も合体の儀式に参加する。
パートナーのヴァルキリーセルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)を指して、
詩穂は言う。
「『メンタルカウンセラー』のセルフィーナさんが神子になれば、
 蒼空のフロンティア変態ズが集結して面白いことになること請け合い。
 というか、受け愛&ウケ愛、ラブ☆」
「で、結局は神子って何なのです?」
セルフィーナ本人はそんなことを言っている。
「ここにいらっしゃるご主人様方お嬢様方、
 シャンバラの未来とか、さらわれたくうきょうを助けたい気持ちとか、
 微塵もないんだろうけど、
「パートナーが神子になっていろんなシナリオで活躍できますように!
 あと、モテモテになりますように!」
 っていう気持ちを詩穂も送るよ、そうすればみんなと同じ想いだから……」
詩穂は叫ぶ。
「神子神子ナース!」
望も続く。
「神子神子ナース!」
真菜華も、エミールも、ネージュも、瑠璃羽も、菫も、ラウムも、小次郎も、ノートも、
幸も、ガートナも、アスクレピオスも、夢見も、桜花も、ウィングも、アニムスも、
亞狗理も、バウエルも、セルフィーナも、一部、意識が朦朧としていたりぶっ倒れていたが、
その場にいたものは一緒に大合唱する。
「神子 神子 ナース!
 神子 神子 ナース!
 神子 神子 ナース!」