百合園女学院へ

薔薇の学舎

校長室

波羅蜜多実業高等学校へ

【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

リアクション公開中!

【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編
【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編 【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

リアクション

■■■前回までのあらすじ■■■

未来からやってきたラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)の娘、
小ラズィーヤに連れられ、
百合園女学院校長桜井 静香(さくらい・しずか)と学生達は、未来にやってきた。
人間の本能である「殖える力」を無くし、超人化して神に近づいた
最凶の悪の大宦官 桜井静香の独裁政治で、
未来の世界はめちゃくちゃであった。

★☆★


未来は、
新たな静香のパートナーとなり、
シャンバラ中の地祇(ちぎ)を吸収したヴァイシャリー湖の精 ヴぁいしゃりーにより、
国土の大部分が湖に沈んだ「ヴァイシャリー以外全部沈没」が発生したり、
王 大鋸(わん・だーじゅ)の血煙爪(ちぇーんそー)によって世界樹イルミンスールが切り倒されたりと、
大変なことになっていた。

イルミンスール魔法学校校長エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)と、
アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)の魔法によって、
パラミタの世界に縛られていない地球人が、未来に赴き、
なんとかするよう、小ラズィーヤによって依頼されたのであった。

★☆★


静香の腹心の宦官集団「十嬢侍」と戦ったり、
レジスタンス活動に協力したり、
未来ではヴァイシャリーを中心になんだかんだあったが、
黒幕だった未来のラズィーヤは改心して、
現在の静香に、宦官になった男の娘を元に戻す方法を教えてくれた。

「宦官の男の娘が元に戻れる、カンガンガニのソーセージには、
100万匹に1匹しかいない、
金色の甲羅のカンガンガニを混ぜないといけないのですわ」

「そ、それって……」

「ソーセージが1本だけでは、
元に戻れるのは1人だけですわね……。
どうしますの、静香さん?」

ラズィーヤはやはりドSだったのである。

★☆★


切り株になった世界樹イルミンスールの前で、
アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)が会話する。

「お前がカンガンガニのソーセージを食べれば、世界樹イルミンスールが元に戻るかもしれんぞ」

「イルミンスールが元通りになれば、
水を吸い上げることができますからぁ、  
『ヴァイシャリー以外全部沈没』で、
ほとんどの場所が湖になっちゃったシャンバラも元に戻せますぅ!」

「桜井静香が宦官のままでも別に困らないですぅ!
それより、イルミンスールを元に戻すために、ソーセージを奪ってきなさぁい!」

ボンキュッボンの10代後半の美少女になったエリザベートは命じるのであった。

★☆★


ヴァイシャリーの宮殿にて。

「あの忌々しいカンガンガニのソーセージによって元に戻れるだと!?」

悪の大宦官となった未来の静香は、
ある理由で、ラズィーヤに「蟄居(ちっきょ)」を命じられ、宦官にされてしまった。
「蟄居」とは、カンガンガニのたくさんいる部屋に閉じ込められる刑罰である。

「何としてもソーセージを奪ってくるんだ!」

未来の静香は、アルバ・フレスカをはじめとする、
十嬢侍に命じたのだった。

★☆★


荒廃したヴァイシャリーのスラムにて。

「俺は宦官など許さん! 皆殺しだ!」

百合園にゴブリンやオークを率いて殴り込みをしている、
宦官嫌いの英霊、張角は言う。
カンガンガニソーセージに関わるものを片っ端から妨害するつもりのようだった。

★☆★


再び、シャンバラ宮殿にて。

「宦官でなくなったら、
せっかく神に近づいた静香様がただの人間になってしまいますわ!」

未来の静香のパートナーとなり、シャンバラ中の地祇……つぁんだ以外……を吸収して、
ヴァイシャリー湖をシャンバラ中に拡大した
ヴァイシャリー湖の精 ヴぁいしゃりーも、
静香が元に戻るのを妨害しようと思っているのだった。

★☆★


「ソーセージは、泥の中に一定期間漬け込まなければいけないんです」

アルバ・フレスカのパートナー、佐藤 花子(さとう・はなこ)は言った。
花子は、ラズィーヤを慕い、静香に意地悪をする少女であったが、
未来の世界では善人になっていた。

「文字通りの泥試合になりそうですわね」

ラズィーヤは笑みを浮かべる。
奪い合いの様子を想像しているのであった。

「ま、まずは、ソーセージを作らなくちゃ。
でもそのためには、カンガンガニを倒さなきゃいけないんだよね……」

現在の静香は、カンガンガニと対峙するのを想像して怯える。
カンガンガニに、実性別が男性の人物が近づくことは、とても危険である。

「女なら近づいても平気なんだろう?
桜井静香校長、ならば、私がカンガンガニを捕まえてくる!」

ラズィーヤの娘、小ラズィーヤは宣言して走り出す。
カンガンガニは、ヴァイシャリー湖のほとり、水没していない場所に生息しているのだった。

「ええっ、でも、カンガンガニは鋭いハサミを持っているんじゃ!?」

静香は心配する。
小ラズィーヤはまだ7歳の少女である。

「さあ、どうなさいますの? 静香さん?」

ラズィーヤは迫る。

静香は、小ラズィーヤを追いながら、別のことを考えていた。

(そういえば、ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)校長が、
小ラズィーヤさんのお父さんなんだよね。
本当、なのかな)

この未来の世界を変えられるかどうかは、学生達の手にかかっているのである。