校長室
【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編
リアクション公開中!
■□■9■□■ ソーセージ争奪戦と地祇達 空京にて。 現在のリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)は、 未来の自分と対峙していた。 「ヴぁいしゃりーがシャンバラ中の地祇を吸収したってことはきっと狐樹廊も……」 未来・リカインはうなずく。 「こっちの世界は物資が握られてるのよね……今の私から渡せる物なんてこの盾くらいだけど、 未来の私が使うほうがずっと役に立つと思うからよかったら使ってね」 現在・リカインは、天秤と北斗七星があしらわれたティセラ親衛隊仕様の盾を差し出す。 しかし、未来・リカインは言う。 「それは絶対に手放してはいけないわ」 未来・リカインは、懐かしそうな、しかし、悲しそうな顔をしていた。 「過去は変えることは出来ない。 けど未来はいつだって変えられる。今の私にも、昔のあなたにも、ね」 未来・リカインは、 パートナーの地祇、空京稲荷 狐樹廊が吸収されてしまった後、 仇をとるというより守ろうとしていた空京を取り戻すためレジスタンスになったのだった。 そして、物がないなら己を武器とすればいいをモットーに、 かつてザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)から習ったラリアットを 対象をほとんど傷つけず、しかしあっさり星にするコメディラリアットへと改良し、 これを習得させたラリアット隊を結成していたのだった。 ★☆★ 泥沼にて。 「『宦官静香が男の娘に戻りヴぁいしゃりーが弱体化』でも、 『イルミンスールが復活、水を全部吸い上げる』でも結果としては変らないわ。 とにかくカンガンガニソーセージ作りを邪魔させないことが重要よ!」 未来・リカインは、現在・リカインとともに、 ラリアット隊を率いて、泥沼にやってきていた。 ★☆★ 一方、現在の緋桜 ケイ(ひおう・けい)は、 復活させたつぁんだをパワーアップさせて、ヴぁいしゃりーに対抗するため、 カンガンガニのソーセージを入手しようとしていた。 (カンガンガニのソーセージには、何か不思議な力があるようだな。 食べることで宦官の男の娘を元に戻したり、 世界樹イルミンスールを元に戻したりできるとまで言われている。 もしかしたら、つぁんだをパワーアップさせることもできるかもしれない) 現在・ケイが、桐生 ひな(きりゅう・ひな)の分銅でぺらぺらになったつぁんだを 空気入れで膨らませたところに、 未来・ケイが現れて頭を下げる。 「ぎゃああああ、殴殺コントラクター!?」 「すまなかった、つぁんだ! 宝くじが当たらなくて破産してしまったとはいえ、 勢いで殺してしまうなんて……。 今度は全力で守るつもりだ、安心してくれ!」 「わ、わかればいいんだよ」 つぁんだは最初、明らかに未来・ケイにビビっていたが、 謝罪を聞いて安心したらしい。 「偽物のソーセージ……タシガンガニのソーセージを売り歩いて、 争奪戦の混乱に拍車をかけて、 ソーセージを奪う機会を伺ってみようぜ!」 「よし、商売開始だ!」 現在・ケイの提案で、商人つぁんだが偽ソーセージの屋台を作る。 ★☆★ 一方、現在・ガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)は。 「メタ発言は空耳です。 『百合園シナリオとはいえ、 ホームシナで前回未登場、つぁんだ以下の扱いです。 このままでは地祇シナの主役をヴぁいしゃりーに奪われ、 フェードアウトしますよ』 ……と、 現在のざんすかを煽って未来に連れてくる予定だったのに、 『ミーは地球人じゃないから未来には行けないざんす!』 と、 ラリアットでぶっ飛ばされてしまいました。 こうなったら、ヴぁいしゃりーの内部に存在しているはずの ざんすかを覚醒させるしかありません」 未来・ガートルードは、 実年齢が外見年齢に追いついていたが、 大人になりメイガスを極めたのに、 精神年齢は14歳のままで、痛々しさに磨きが掛かり、 「自称・グレートざんすかー超無法帝国の宰相 大賢人ハーレック」 と名乗っていた。 未来・ガートルードは、地祇吸収作戦に変わるパワーアップとして、 ザンスカールの森拡大作戦を思いつき、 パラ実生をおだてて、エコブーム緑化運動を仕掛け、 シャンバラ大荒野に木の種や苗を植えて侵食、大荒野をザンスカールの森化に成功していた。 そして、森林拡大の結果、パワーアップしたざんすかを煽って、 名前のみではあったが、「超無法帝国」を建国、天下統一を開始した。 しかし、ざんすかはヴぃしゃりーに吸収され失敗し、 子分達と様子を窺っている最中であった。 「どうしましょう、グレートざんすかー超無法帝国の宰相 大賢人ハーレック」 「案ずることはありません、過去の私。 あきらかに自称設定っぽい設定が、 パラレルワールドの未来の世界だからという理由で ガンガン採用されています。 それに、ヴぁいしゃりーの内部にはじゃたもいるといいます。 じゃたの食い意地に、ざんすかの我の強さは負けていないはずです。 無理やりショックを与えて覚醒させましょう」 「わかりました、グレートざんすかー超無法帝国の宰相 大賢人ハーレック。 メタ発言は空耳です」 ★☆★ ヴぁいしゃりーがやってきて、つぁんだを見咎めて叫ぶ。 「シャンバラにもはやわたくし以外の地祇は必要ありませんわ! 吸収してさしあげますわ!」 「や、やめるんだ、ヴぁいしゃりー!」 未来・ケイは、物陰に身を隠しながら、つぁんだの声真似をして囮になる。 「ぼ、僕を吸収しても弱くなるだけなんだ! や、やめるんだ……ぎゃあああああ!!」 未来・ケイは、つぁんだの身代わりになってヴぁいしゃりーに吸収された。 「……釈然としないんだけど」 ソーセージを売りながら、つぁんだは言う。 一方、現在・ケイは、未来・ケイの遺言をかみしめる。 「俺たちのような犠牲者を出さないために、 現代に戻ったら、つぁんだに『パラミタジャンボ』に合わせて、 配当金を減らした代わりに、当選確率を高めた『パラミタミリオン』も発売させるんだ」 ★☆★ 「ざんすか連れてこれなかったんだから、私の活躍シーンの責任取ってください!」 「うぎゃあああああ!?」 現在・ガートルードは、天のいかづちを連続でヴぁいしゃりーに打ち込み、 気絶させざんすかを覚醒させようとする。 (嫌になるくらいの痛い思いで気絶させれば、ざんすかが覚醒するはずです) さらにそこに、二人のリカインが、ラリアットを炸裂させる。 「狐樹廊の仇!」 「ざんすかの仇!」 「きゃあああああ!?」 二人のリカインのラリアットで、ヴぁいしゃりーはぶっ飛ばされる。 ★☆★ 一方、桐生 ひな(きりゅう・ひな)は、 未来の志位 大地(しい・だいち)と戦って ボロボロになっていたアルバ・フレスカを捕まえて、分銅でつぶして情報を吐かせていた。 「この未来での一連の情報を洗いざらい吐くのですー」 「ボクはそんな脅しには屈しないぞ……むぎゅ」 「今回も出落ちで終わりたくないですよねー」 「だからそんな脅しには……ぎゅむ」 「早く答えないと、どんどん平たく情けない姿になりますよ〜?」 ★☆★ 未来・ひなは、スラム街の何でも屋でゲリラ側として活動していたが、 効果的に分銅アタック作戦を実行するため、 オマタゲ・ソルデス一党を誘導してきていた。 「過去の私、オマタゲ達にステージを運ばせてきましたですっ。 これで巨大化して、一撃クリアですよっ」 「やりましたね、未来の私! アルバ・フレスカはなかなか口が堅かったけど、 『ヴぁいしゃりーを分解させる方法』を聞きだしたのですっ」 ぺらぺらになったアルバ・フレスカを背負った現在・ひなは、 オマタゲ・ソルデス達の運んできた巨大化ステージでダンスを踊る。 「すごいショックを与えれば、ヴぁいしゃりーが分解するらしいのです! 分銅あたっくなら、ヴァイシャリー以外全部沈没も解決なのですよー」 巨大化した現在・ひなは、 分銅を実行し、 天のいかずちで黒コゲになっているヴぁいしゃりーと、 二人のガートルード、グレートざんすかー超無法帝国軍と、 二人のリカインとラリアット隊を全滅する。 さらに、すでにぺらぺらのアルバ・フレスカも、オマタゲ・ソルデス一党も一緒に巻き込んでいた。 「綺麗な未来を掴むには犠牲がつきものですし、 皆で連帯責任という事で解決するのですよ〜。 全員仲良くぺったんこになれば、めでたしめでたしですー。 色んな意味で皆で一つになりましょー……むぎゅ」 「どうしてわたくしばかり……ぐにゅ」 「メタ発言は空耳です……ぎゅう」 「グレートざんすかー超無法帝国に栄光あれ……ぎょむ」 「って、これで狐樹廊も元に戻るの?……ぎゅふっ」 「そういえば、ヴぁいしゃりー、さっきお星様になってなか……きゅう」 「自分に潰されるのも貴重ですよねー……むぎゅ」 未来・ひなも、当然、巻き込まれてつぶれた。 ★☆★ ぺったんこになったヴぁいしゃりーから、 先ほど吸収された未来・ケイを含めて、シャンバラ中全部の地祇が分解される。 しかし、ぺったんこになった状態なので、 やはりぺったんこのざんすかとの再会を喜べない二人のガートルードだった。