薔薇の学舎

リアクション

　第１章　オップイコへの道

■□■１■□■　毒蛇のジャングルでオップイコの神に愛を叫ぶ

ジャングルの入り口にて。

「さあ、行くぞ！　オップイコ！」
「ええ！　絶対に合い言葉を解いて、黄金のおっぱい像を手に入れるわ！」
学生達に依頼を行った冒険家の男と女は、テンション高く言った。

「うわあああああ！」
「きゃあああああ！」
そして、次の瞬間、毒蛇にかまれて倒れた。

「た、たのむ、俺達の代わりにオップイコへ……」
「私達の代わりに黄金のおっぱい像を……」
「あなた達のことは忘れませんからね！」
遠野　歌菜（とおの・かな）は、地に倒れた冒険家二人を見て言った。

★☆★

歌菜は、全身にプイコノイラストを貼り付ける。
「変身！
【魔法少女　マジカル☆カナ】！
こんなこともあろうかと、ｐｕｉｃｏ絵師様には２２枚イラストを発注していました！
皆、私についてくるですよ！」
魔法少女アイドルの歌菜は空飛ぶ魔法↑↑で飛び上がり、
プイコノイラストを見せつける。
「ハロウィン絵でまずハートを射抜かれ
チャイナ絵で完全に虜！
ｐｕｉｃｏ絵師様の描く、おっぱい・ちっぱいは世界一ィ！！
お尻と脚も忘れちゃダメだぞ☆
特に水着イラストは本当に眼福でしたよねーっ。
美術室は遊びじゃないの！
美術室は遊びじゃないの！
大切なことなので２回言いました！
ｐｕｉｃｏ絵な美女、万歳！
ｐｕｉｃｏ万歳☆」

緋桜　遙遠（ひざくら・ようえん）は、
同じコミュニティ、Ｓ×Ｓ×Ｌａｂのメンバーである歌菜を見上げて言う。
「歌菜さん、さすがですね。
ヨウエンも、プイコノイラストがたくさん見られてうれしいです。
ヨウエンの持っている、このプイコノイラストも、思い出深いものばかりです。
使わずにすめば何よりなのですが……。
歌菜さんもあんなにがんばっているんです。
ヨウエンも、ヨウエンにできる精一杯のことをいたしましょう」

★☆★

守護天使のサンドラ・キャッツアイ（さんどら・きゃっつあい）は、
胸は小さいどころか完全なるぺたんこ、すなわち「Ｐん娘」であった。
しかし、そのことは本心から歓迎している。
「胸が小さいとか大きいとか、
なんでそんなことにこだわるのかな、みんな。
私自身は動きやすいし無くてよかったとは思うけど、
だからってある人を毛嫌いするつもりはないし、
あくまでも個性だと思うからそこしか見てないような発言をする人って苦手だな」
魔道書、禁書写本　河馬吸虎（きんしょしゃほん・かうますうとら）も、胸についての持論を展開する。
「黄金のおっぱい像だと！？
素晴らしい響きではあるが、その前に言わなければなるまい……
胸がでかいとか小さいとか言っている奴等よ、
だから貴様らは三流エロ河童なのだ！
おっぱいに……否、人体に貴賎なし！
男も女も、でかいもちいさいも、
太いも細いも全て愛してこそ真のエロス！
まずはそこから教え込まねばいけないようだな……ってこらまて置いて行くんじゃない！」
リカイン・フェルマータ（りかいん・ふぇるまーた）は、
総石造りの本の姿である河馬吸虎をほっぽり出して、
剣の花嫁アストライト・グロリアフル（あすとらいと・ぐろりあふる）に言う。
「あんた、どうしてこんな奴連れてきたのよ！」
「ざっけんなバカ女、
納得いかねーけど真っ先に疑われんのがわかっててこいつを連れてくるわけねぇだろ！？
俺は単にチチスキーとやらが気になったからその足跡を追ってみたくなっただけだっつーの。
ま、美女ばかりって噂が本当なら万々歳だけどな。
そういう訳だからそいつの面倒なんか見てないぜ」
「じゃあ、このオーパーツ誰が運ぶのよ！」
「バカ女、てめーのパートナーだろ！
こいつがくたばったらバカ女も死ぬぞ」
「それはあんたも一蓮托生でしょうが！
それがわかってるなら誰がこんな奴……」
リカインと、アストライトは、同時にサンドラを見る。
「胸が小さいとか大きいとか、
あくまでも個性だと思うからそこしか見てないような発言をする人って苦手だな」
別の方向を向いてサンドラは言う。
「サンドラー！」
「このＰん娘―！」
リカインとアストライトは犯人がわかりキレる。
「さっさと拾え、この【不屈】エロ河童と、【ＰＮ．男なのに花嫁】エロ河童！」
河馬吸虎が怒鳴る。
（この方達はいったい……。
それはそれとして、ヨウエンとしては小さいほうが好みですが、
かわいければそれでいいです）
パートナー同士の内輪もめを傍観しつつ、遙遠はこっそりそんなことを思う。
「あーもー、うるさい！」
リカインは、河馬吸虎を蹴飛ばす。
「ぐふうっ！？
フハハハ、気持ちいいは「せいぎ」！」
「黙ってよ！　空目する人がいるかもしれないでしょ！」
「何言ってるかわからないけど、ケンカはやめてくださいですー！
かわいいは正義です！」
ヴァーナー・ヴォネガット（う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと）が発言して、消毒する。
「歌菜おねえちゃんも、
遙遠おにいちゃんも、
リカインおねえちゃんも、
アストライトおにいちゃんも、
河馬吸虎ちゃんも、
サンドラおねえちゃんも、
秋日子おねえちゃんも、
みんな、みんなかわいいしかっこいいです！」
「あ、私も？
そうだよ！　皆でオップイコを目指そう！
プイコノイラストを持ってなければ、微力ながら私が力になるよ！」
ヴァーナーにハグされ、東雲　秋日子（しののめ・あきひこ）は、
リカイン達に言う。

★☆★

と、その時、一行の前に毒蛇の群れが襲い掛かってきた。

「きゃあああああ！？
も、もったいなくてプイコノイラスト使えないですー！」
ヴァーナーは、プイコノイラストを使うことなく倒れた。
「こ、これは、
アイコンと槌装備……。
蒼学の頃の……うわあああああああああああああああああ！！
こっちは、
蒼学女子制服……女装の練習してた頃の……ぎゃああああああああああ！！」
遙遠は、プイコノイラストを消費するたびに絶叫する。
別に、プイコノイラストが消滅するわけではないのだが、
心情的な問題である。
「ここは、私に任せて！
ｐｕｉｃｏさんへの愛があるから、皆、集まったんだよね！
右手に銃を、左手に刀を！！　そして心にプイコノイラスト！！
毒蛇なんかにかまれたくらいで……きゃああああああああ！？」
秋日子は、囮になって盛大にやられる。
「なんてことなの！？
この場で、私ができることはただひとつ……サクリファイス！！」
リカインが、死屍累々の中、サクリファイスを発動する。
「わ、私の屍を超えていけ……」
リカインは倒れ、ヴァーナーと秋日子は復活する。
「た、たすかったです！？　……きゅう」
「ありがとう、キミの犠牲は忘れな……あう」
しかし、ヴァーナーと秋日子は、またもや、毒蛇にかまれる。
「みんながんばってオップイコにたどりついてくださいです……。
ボクはやすんでいくので先に行ってくださいです……」
「オップイコを目指す人達を、少しでも守れたら本望だよ……」
「うん、ぜったい辿り着いてみせるよ！
運命は、自分で掴み取るもののはずだから！」
上空から、歌菜は呼びかける。
「ありがとうございます、リカインさん、ヴァーナーさん、秋日子さん……。
ヨウエンは、「抱擁〜対の想い〜」だけでも守って、
オップイコに辿り着いてみせます！」
遙遠も言う。
かくして、一行は先を進む。

★☆★

「かわいいイラストもまもったです……」
ヴァーナーは、ラミネート加工したプイコノイラストを懐から取り出して気絶する。
「「おっぱい・ちっぱい・だいすきせいじん」なｐｕｉｃｏさんが大好きだ！！」
秋日子も、愛を叫んで気を失うのであった。