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リアクション
【1】SKY【2】
「ガオオオオン(うおおお! フラストレーションがたまっておったのだ! 今日は思う存分に暴れさせて……)」
「悪いが、今日は暴れるのが目的ではない」
頭の中に聞こえるドラゴランダーの声にハーティオンは答えた。
「な、なに? 敵を撃墜してはいかんだと? ぬうう……余計にフラストレーションが溜まるぞそれは……」
「我等の目的はあの黄金の飛空艇を都市上空から追い出すこと」
「しかしハーティオン、それをどう行う?」
「答えはいつだってシンプルだ。この身を持って、海まで敵を押し出す。ただそれだけのこと!」
『行け、ハーティオン! 海京の明日を切り開くのだ!』
不意に通信回線が開き、大文字の声が頭に響く。
「博士……」
ハーティオンの心に、瞳に、闘志が湧き上がった。
「うおおおおおおおっ!!」
黄金の飛空艇・ゴールドノアを眼前に捉え、ハーティオンは急加速する。無数の邪悪な守護者たちが船を守っているが、今のハーティオンには関係ない、このまま一気に懐まで入り込む。
『待ってください』
「!?」
不意の鈴木の声に、急制動をかけて空中で静止する。
『敵旗艦への接触は控えて下さい』
「な、なに?」
『目的のためには自分の死すら厭わない組織です。船が撃沈されると判断すれば、迷わず爆弾を使用するでしょう。不用意に刺激して海京を危険に晒す行為は止めて下さい』
厳重に釘を刺され、ハーティオンは空中で呆然としてしまった。
「だ、大文字博士。私はどうすれば……」
『う、うむ……』
鈴木の冷ややかな視線に晒されているのだろう、大文字は口ごもった。
『では、爆弾を凍らせてしまうのは如何でしょう?』
不意に、女性の声が通信に入った。
純白のクルキアータゾフィエルのパイロットフランチェスカ・ラグーザ(ふらんちぇすか・らぐーざ)だ。
『おそらくあの爆弾は敵の保険。海底に向かった第三段階がしくじったら、化け物を倒すためにはこうするしかなかった、とでも言って海京を消す気でしょう。
あの爆弾を設計したのは、博士と伺っております。冷凍処理で爆弾に対処することは出来ませんか?』
『基本的には可能なはずだが……しかし、奴らが爆弾に何の対策処置をしていないとは考えられん。それに、もし仮にそれが有効な方法だとすると、むしろ危険だな』
『どういうことでしょうか?』
『君の機体が爆弾に接近した時点で、爆弾を起爆させる可能性があるということだ』
鈴木がそこに付け加える。
『船へ潜入するメンバーの中に、爆弾処理を計画している人間がいます。爆弾は彼らに任せましょう。イコンで船に接近するのは危険過ぎます』
『わかりましたわ。では、私どもはあのまがいものの天使たちの排除に務めましょう』
「悪しき異教徒達よ、今こそ私の真の力をお見せしましょう……主よ! 私に敵を断罪する力を! ホーリーチャージ!」
フランの身体が閃光に包まれた。
これが魔法少女フランのアルティメットフォーム。穢れなき光はやがて、まぶしく輝く純白の修道服へと変わる。
「神・魔法聖女フラン! 全ての者に、救済を!」
「……では、私も」
通信及び策敵を担当するカタリナ・アレクサンドリア(かたりな・あれくさんどりあ)も、小さな声で、ホーリーチャージ、と呟いた。
同じく閃光に包まれた彼女も、真っ白な修道服に身を包んだ。
「神・魔法守護聖人カタリナ。主の導きにより、我等の敵に神罰を」
変身した二人は怒りに燃え敵陣を見つめる。
「アニメでも言ってましたわね。魔法少女は夢と希望を叶えるものだと」
「私も好きですよ、夢と希望に溢れた物語は」
「では……、平和を願う人々の夢を叶えましょうか!」
ゾフィエルは右手にバスターライフル、左手に二式を構え、ガーディアンの飛び交う高層ビルの谷に迫った。
「忌々しき異教徒の尖兵共、容赦しませんわよ!」
敵の密集する場所に、フランはバスターライフルのトリガーを引く。
「敵集団、散開。上に2、右に3、左に1」
カタリナは素早く状況を報告した。
「左の1体に標的を絞りますわ。残る5体の動向に注意を」
「了解です」
ゾフィエルは敵が体勢を立て直す前に、接近するとガーディアンの翼を斬り付けた。彼らの表皮は堅く、翼を奪うには至らなかったが、二式の持つ冷気によって片側の翼は急速に凍結し、飛行能力を失った。
『グ、ガ、ガガ、ガアアアアアアアア……!』
「真の救いを与えるのは、我が神のみ。グランツ教ではありませんわ」
失速するガーディアンの口にライフルを突っ込み、零距離射撃にて、その頭部を吹き飛ばす。
「目標の沈黙を確認。上に逃げた2体が旋回、こちらを指向しています」
「確認いたしましたわ。後退しつつ、迎撃します。他の3体に注意しながら、海側に敵を誘き出しましょう」
「海側に?」
「都市部への被害を抑えるのが第一。第二に、異教徒の旗艦の孤立を狙います」
バスターライフルで敵陣を刺激しつつ、ゾフィエルは徐々に後退を始めた。
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