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【蒼空に架ける橋】最終話 蒼空に架ける橋

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【蒼空に架ける橋】最終話 蒼空に架ける橋

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■第46章


「蒼空戦士ハーティオン! 参る!」
 コアは【勇心剣】を構え、数多の影に向かって斬り付ける。

――セルマ達と別れたモリ・ヤ達はクク・ノ・チの私室へと向かっていた。
 だがその途中、行く手を遮る様にしてヤタガラスやミサキガラス、随神が現れたのであった。
「ここは私に任せて! 皆は先へ行ってくれ!」
「あぁこいつらは気に入らねぇ、血祭りに挙げてやらぁ!」
 それに対し、コアと忍者超人 オクトパスマン(にんじゃちょうじん・おくとぱすまん)は囮となり、モリ・ヤ達を先に進めさせるのであった。

「食らえ! 流星一文字斬り!」
 流星一文字斬りにより、随神達は真一文字に斬り裂かれる。
 しかしヤタガラスやミサキガラスにその剣技は届かない。その身を斬り裂いたはずなのに、まるで空を切るかのごとく手ごたえがない。
 それも当然だろう。この黒きカラスたちは見た目の通り、影である。影を物理的に斬り裂く事など、どうやってできようか。
「……むぅ、話には聞いていた通り、物理的な攻撃は効果が薄いようだな」
 にじり寄ってくるヤタガラス達に、コアは身構える。
 すると、ヤタガラス達に異変が生じる。人の形をした影の腕に、何やら棒のような物が伸びてくる。その棒は次第に形を変えていき、やがて【勇心剣】と瓜二つになる。
 斬り付けられたヤタガラス達は皆、コアの【勇心剣】をコピーしたのである。
 コピーした剣でヤタガラス達はコアを斬り付けてくる。ただ振り回しているだけとしか見えない斬撃を、コアは【勇心剣】で受け止める。どうやら剣技、剣の能力といった物はコピーできないようだ。
 一撃一撃は大したことはないが、数が多くなればそれも脅威となる。じわりじわりと、蝕むようにコアを追い詰めていく。
「ぬぅ……ッ! 流石に一筋縄ではいかないようだな! だがこちらも退くわけにはいかん!」
 斬撃を弾き、そのまま斬り付ける。しかしやはり影に斬撃は無意味。ただ空を切るのみである。

「スミスミスミィーッ!」
 飛び掛かったオクトパスマンの触手が、文字通り影を斬り裂いた。
「けっ! ハーティオンよぉ! いつまでちんたらやってんだ! っと、邪魔だ!」
 近寄ってくるヤタガラスに、オクトパスマンの触手が伸びる。まるでナイフの様に鋭い触手が、再度影を斬り裂く。
「斬撃なんざきかねぇとタカをくくったか? バカがーっ! てめぇの様な霊魂すら地獄の海の底に沈めるのを得意とするのがこの俺様、悪魔忍者オクトパスマン様よぉーッ!」
 死霊すら斬り裂くと言われる【テンタクルスティンガー】は、ヤタガラスの影の身体をも斬り裂いたのであった。
 しかし斬り裂かれた影はすぐさま人の形へと戻る。
「おーおー、まだやるってか? ああいいぜやってやらぁ! 始めから敵はシンプルに皆殺しにしてやりゃぁいいのよぉッ! フィギュラハーッ!」
 叫ぶなり、オクトパスマンは【疾風迅雷】で速度を上げ、片っ端からヤタガラスやミサキガラスを斬り付ける。対し、触手であるせいか【テンタクルスティンガー】はコピーできないようである。
 だが斬り付けられたところですぐさまヤタガラス達は人の形を取り戻す。これは相性の問題だろう。
 確かに【テンタクルスティンガー】は通常の物理攻撃が届かない死霊といった人非ざる物すら斬り裂くとされている。しかし属性が問題なのだ。
 この触手の攻撃は暗黒属性。対するヤタガラス達も影である。斬り裂く事が出来ても、効果は薄い。
 素早い身のこなしで翻弄するオクトパスマンであるが、すぐに復活するヤタガラス達が次第に反撃に出る。
「あぁうざってぇなぁッ!」
 躱しつつ斬り付けるオクトパスマンであるが、数の多さに段々と躱し切れなくなってくる。危うい攻撃は【壁抜けの術】や【空蝉の術】で避けているが、一向に減らないヤタガラス達。
 更に倒す事は出来るが脅威なのは変わらない随神達を相手に、オクトパスマンは次第に体力の消耗が生じてくる。
「……ちぃッ! アイツらまだ見つけられねぇのか!?」
 ジリ貧という言葉が相応しいこの状況に、次第に焦りがオクトパスマンに見えてくる。
 その焦りは集中力を削り、自身に迫る危機の発覚を遅らせる。
 オクトパスマンに、剣が迫っていた。

「ブレスト・フラァーーーーーッシュ!」

 コアの叫びと同時に、眩い光が放たれる。胸から【機昌解放】により放たれた光だ。
 放たれた光はオクトパスマンを襲い掛かろうとしていたヤタガラスを包み、消滅させた。
「大丈夫か!?」
「けっ、お前に助けられるとはよぉ……」
 コアとオクトパスマン、互いに背中を合わせる。
「この状況、凌ぎ切るぞ。皆が依代を破壊するまで、ここを通す訳にはいかん!」
「へっ、通さないなんて生ぬるいこと言ってんじゃねぇぜハーティオン。こいつら全員血祭りにあげてやろうぜぇ!」