百合園女学院へ

薔薇の学舎

校長室

波羅蜜多実業高等学校へ

全パラミタ的美男子オーディション

リアクション公開中!

全パラミタ的美男子オーディション

リアクション



第8章 戦い終わって日が暮れて


「結局、俺たちイイトコなしか…」
 夕日に浮かび上がる闘技場を背に、数人の少年達が重い足取りで歩いていきます。
 薔薇学生のアラン・ブラック(あらん・ぶらっく)は幼少より極めたバイオリンの腕を披露するつもりでしたし、クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)は、J.S.バッハ作曲のカンタータ第169番「神にのみ、わが心、献げん」を熱唱し、ジェイダス校長にアピールをする予定でした。
 蒼空学園のリアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)は、パートナーのパルマローザ・ローレンス(ぱるまろーざ・ろーれんす)の伴奏でフラメンコ。でも、結局他の参加者達の乱闘に巻き込まれ、うやむやのままにコンテストは終わってしまったのです。
 イルミンスールのウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)は、予定していた公開魔法爆破実験はできたものの、乱闘の最中であったため、誰も彼のパフォーマンスに気がついてはくれませんでした。
 そして、それなりの結果は残せたものの、悔し涙を流している薔薇学生の姿もここにはありました。悲願の優勝をまたもや波羅実生に奪われてしまった藍澤 黎です。
「我はまた勝てなかった…」
 悔しそうに歯を食いしばり、拳を握りしめる藍澤さんの肩を、先輩であるゴードン・リップルウッド(ごーどん・りっぷるうっど)氏が優しく抱きしめます。
「キミは良く頑張った。今回の悔しさを次の糧にすれば良い」
 大人の魅力たっぷりに優しく諭すゴードン氏。藍澤さんの頬も心なしか赤くなっているようです。
 見つめ合う二人を横目に、波羅実生の伊達 恭之郎(だて・きょうしろう)が悪態を付きます。 
「ちぇっ、男同士のイチャラブなんて、うらやましくもねぇけどさぁ。俺はパラミタ全土から無作為に集まった女子高生達に、雑色系男子の魅力をアピールしまくる予定だったのにぃ!!」
 夕日に向かって叫ぶ姿は、負け犬の遠吠えそのものです。
「ちっきしょーぉ! 俺だってなぁ、カッワイイ女の子から逆ナンされたかったんだよっ!」
 ならば、薔薇学主催のイベントに来る時点で間違っていました。隣で開催されていた百合園学園のイベントに行くべきだったのです。
 と、そのとき。
 数人の女の子のグループが、おずおずと少年達に近づいてくきました。
 ふわりと広がった紺色のワンピース、レースに彩られた白いエプロン…それはまさしく、男子校生憧れのマドンナ百合園学園の女生徒達です。美男子オーディションの審査員として参加していた少女達なのでしょう。
「ほら、シアちゃん、思い切って話しかけてごらんなさいよ」
 パラミタ人の少女エマシェル アリナ(え・あ)は、シア・メリシャルア(しあ・めりしゃるあ)の腕をひっぱります。
「で…でも…やっぱり…」
 耳まで赤く染めたシアは、少女達の背中に隠れようとするばかり。
「シアちゃん。頑張って!」
 メイベル・ポーターが優しくシアの背中を押します。
「おぉ、もしかして夢にまで見た逆ナンか?!」
 伊達くんの表情が一転、色めきだちます。
 しかし、恥ずかしそうに頬を赤らめた少女が口にした名前は、彼のものではありませんでした。
「あの…リアくん!」
「えっ僕?」
 突然のことに少女からご指名を受けた当の本人、リアトリス・ウィリアムズは当惑を隠せません。しかし可愛い女の子から声をかけられたことが嬉しかったのも事実です。自然と頬がゆるみます。
 うつむいたままの少女は、こくり…とツバを飲むことで何かを決意したのでしょう。
「リアくん、すごく格好良かったからっ! 私、ずっと応援していたからっ!」
 ひと思いに言い切ると、脱兎の如くリアトリスの元を逃げ出します。
「ちょっと待ってよっ」
 慌ててシアを追いかけるリアトリスの背中に向かって、腕を振り上げ、声を張り上げ、少年達は叫びます。
「あーくそっ、うっらやましいぞー!!!」
「俺だって可愛い百合園の彼女が欲しいぞーー!!」
 全身で悔しさを表現する少年達に、百合園の少女達が声をかけます。
「あの…良かったら、これから一緒にお疲れさま会でもしませんか?」
 少年達の夏は始まったばかりです。


担当マスターより

▼担当マスター

芙龍らむだ

▼マスターコメント

全パラミタ的美男子オーディションに参加してくださった皆様、お疲れさまです!
そして最後までリアクションにお付き合いくださった皆様も、ありがとうございます。

コンテストの結果につきましては、皆様からいただいた投票結果に基づいたものです。同点の方については、いつもの如くサイコロです。

今回、皆さんのアクションを拝読していて気になったことが2点ほどありますので、この場を借りて伝えさせていただきますね。

まず一つめは、ダブルアクションが目立ったこと。
私の場合「その場を盛り上げてくれるアクション」と「個性的なキャラ」を優先的に判定勝ちとする傾向が強いので、「おもしろければイイ」っちゃいいのですが。他のゲームマスターさんのシナリオや、ストーリー重視のノーマルシナリオに参加する際にはご注意ください。バッサリ行殺されても文句は言えないですよ。

それから、もう一つ。「○○のシナリオを参照にしてください」という記述や、「おそらくこれは別の誰かのシナリオに関係しているんだろうなぁ」と思われる記述をされる方が複数いらっしゃいました。大変申し訳ないのですが、ゲームマスターがすべてのシナリオを読んでいるとは限りません。また場合によっては、参考シナリオを指定されても読む時間がとれないこともあります。「○○参照」といったアクションはご遠慮いただければ幸いです。



それにしても、トップレス美女は強いですね。やはり男性の皆さんは女性参加者の漢気あふれるポロリを期待していたようで。皆さんの期待に応えた姫宮和希さんが、ダントツトップで優勝を飾ってくれました。おめでとうございます。優勝した姫宮さん、2位の変熊くん、3位のリアトリスくんには称号を贈らせていただきます。

前回の第1回ジェイダス杯に引き続き、またもや波羅実生に優勝を奪われ、ジェイダス様は大変お怒りです。「今度こそ薔薇学生の力を見せつけてやる」と前回のタシガンから場所を変え、第2回ジェイダス杯を計画しているご様子。8月中にはシナリオの募集をかけますので、よろしかったらご参加ください。

それでは、第2回ジェイダス杯でお会いしましょう!