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温水プール爆破予告!?

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温水プール爆破予告!?
温水プール爆破予告!? 温水プール爆破予告!?

リアクション


(7)14:00 風紀委員チーム、その名は蒼学警察

 爆破予告を受け、有志により臨時に蒼学警察が発足された。環菜の許可を受け男子更衣室を簡単に改装したものだが十分に雰囲気のあるものである。メンバーは以下の通り。なお、刑事に関しては腕に腕章をつけておりその存在は事前に温水プールに来ている人々には知らされているものとする。

ボス:
御神楽 環菜

刑事:
エメ・シェンノート(えめ・しぇんのーと)
瀬島 壮太(せじま・そうた)
湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)
日比谷 皐月(ひびや・さつき)
橘 恭司(たちばな・きょうじ)
トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)
影野 陽太(かげの・ようた)
アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)
桜井 雪華

補佐:
片倉 蒼(かたくら・そう)
バスティアン・ブランシュ(ばすてぃあん・ぶらんしゅ)
ミミ・マリー(みみ・まりー)
セラフ・ネフィリム(せらふ・ねふぃりむ)
千石 朱鷺(せんごく・とき)
御茶ノ水 千代


 環菜は陽太がホワイトボートや双眼鏡をせっせと用意しているのを見ながら、千代や恭司と簡単に今後の方向性を話し合っていた。
「のぞき部のにおいがするから残ってみたが、本当にいたとは」
 恭司はどうしたものかと環菜に目を向けた。
「学校のためよ、怪しい者がいたら捕まえておくのも悪くないわね」
「……依頼されたら仕方ない」
 恭司はそういってパトロールに出かけて行った。
「そうですわね、お互いを監視しておくのがいいでしょう」
 千代は含み笑いをしながら環菜のそばを離れずにいる。


「では、取り調べに移りましょうか」
 ニコニコと穏やかにエメが容疑者の前に座る。連行された変能はうつむいたまま言葉を発しない。頑なにマスクを外さないので海パンをもらって事情聴取されている。両膝をそろえて申し訳なさそうにしていた。月夜はプールで遊んでいる。
「おうおうおうおう! お前が爆弾犯だろ! 名前くらい言えやゴルァ!」
 変能をLDライトで照らすが、買い物袋をかぶっているため効果が薄いようだ。
「壮太、いま蒼くんと宿題やってるからライトもってかないでよ〜」
「あ、あのなミミ……今、仕事中だから……」
 変能はその騒ぎに乗じて全裸で飛び出してしまった。借りた海パンはきちんと畳んで椅子に置いてあったらしい。
「あー!!! テメッ!! 逃げてんじゃねえよ!!」
 飛び出そうとした瀬島を抑えて日比谷が前に出た。
「ま、まあ落ちつけよ。俺が追っかけてくっからさ」
 猫華で買ったパンをかじると、空気を読んで愛用のギターを片手に飛び出していった。後ろ姿に向かって右手でメガホンを作りながら瀬島が呼びかける。
「わりぃなー!」
「まかせとけって!!」
「わ、私もお手伝いします!!」
 アリアはバイト先のミスドツァンダ支店からの差し入れを配っていたが、それをセラフに渡すと慌てて走って行った。
「皐月さん〜、腕章忘れていますよ〜!」
 アリアは2人分の腕章を持った後、時計できちんと時刻を確認していた。


「怪しい奴がうろうろしてたぞ」
 光学迷彩でパトロールしていた恭司はのぞき部部長の総司を連れてきた。随分堂々としている。ぶ、部長〜!? トライブと陽太は声をあげそうになったがなんとかこらえたようだ。
「ええと、弥涼 総司、年齢17歳で蒼空学園所属、のぞき部部長だな。怪しいところしかねえじゃねえかあ!!!」
「この1時間で出た被害届、随分ありますねぇ。股間のチャックからこけしを落とす。胸の大きな女性に、大きな爆弾があるからと身体検査を求める……と」
「まあ、のぞき部だからな! しかし爆弾犯ではない!」
 総司は渋くにやりと笑うと、フェレットの鼻先をなでて遊んだ。
「おい、嘘つくなよ。お前がやったんだろ!」
 壮太はライトが倒れそうになるほど力強く机をたたくが、総司は全く動じない。
「まあまあ、瀬島刑事……。ねえ君……、早く自白した方が、皆も助かりますし、貴方のお母様も……」
 エメはどこかうきうきしながら、蒼が淹れた紅茶を飲んでいる。壮太はライトで容疑者の顔を照らしながら相手の自白を待った。
「正直に言えよ。このまま帰れないなんて嫌だろ? 早く言った方が楽になるぜ」
「あ、帰れないからお腹すきますよ! カツ丼でも食べますか?」
 総司は先ほどからセラフの胸元を凝視していたが、かつ丼と聞いて視線を戻した。
「かつ丼は食ってくぜ。俺は猫舌だからな……茶の温度は気をつけろよ」
「また連れてきましたにゃ!」
 次は橘 カオルを連れてきた。部長が心配でついてきたところを羽交い絞めされてしまったらしい。
「やたら容疑者が多いな…まさか適当に連れてきてるなんてことはねえよな?ええと、橘 カオル、年齢17、シャンバラ教導団、のぞき部所属。
 ……またのぞき部か、何人いるんだおめぇらは!!!」
 壮太は手にじっとりと嫌な汗をかきながらも精力的に仕事をこなした。
「落ち着いて、瀬島刑事……。さ、カオル君もかつ丼食べて。ええと、あ! 女子更衣室にのぞき穴を開けようとしてたところを、あつい部の人たちにつかまえられちゃったんだね〜」
 どうやら、カオルが気を利かせて女子更衣室でのぞき穴を先に作ってあげようと思ったところ、あつい部の月光蝶仮面こと朔のブービートラップに足を引っ掛けてしまったらしい。容赦なく徹底的にヤられてしまって、カオルの服には機関銃を必死でよけた時にできた穴がところどころにあいていた。
「す、すみません! つい、出来ごころ……じゃなくて、犯人を見るために役に立つと思ったんです! 本当です!!」
「じゃかぁしいわあ!!!」
 瀬島刑事は喉が枯れそうだった。


「湯上刑事、ネット上の捜査はいかがかな?」
 エメはおっとりとお茶を楽しみながら凶司に話しかける。凶司は自主的にクイーン・ヴァンガード広報部のチラシを配りつつ、てきぱきと働いているようだ。
「それっぽい情報はありましたよ、愉快犯の可能性が高いですが。これ、今回使えそうな資料です」
「助かるよ、ありがとう」
 凶司はクィーン・ヴァンガードとして情報面での補佐にあたっていた。捜査に使える構内地図、名簿、IDの割り出しから監視カメラの記録までさまざまな分野を調べていた。匿名掲示板での情報収集も怠らない。その中にひとつの興味深いスレッドを発見する。


【爆破事件】蒼学プールの爆破事件実況スレ
201 :おでこちゃん:2020/xx/xx 13:05:21
山葉がのぞき部にスカウトされてんの見た(笑)
しかも悩んでんのwww

205 :おでこちゃん:2020/xx/xx 13:09:15
>>201
kwsk
犯人が女って噂はガセ?

212 :おでこちゃん:2020/xx/xx 13:17:20
つーか、あいつ存在感薄くね?
彼女に振られんのマダー?


「13時に犯人のものである可能性が高い書き込みが2件。山葉涼司がのぞきをするらしい、温水プールの犯人は女。だとか。温水プール近くで書き込みされたようです」
「セラフは露出の高い衣装でかがむようにお茶を配っていた。のぞき部部員は目の前のお茶よりもセラフの衣装……というか、その中身が気になってしょうがない。
「年頃の子は下半身に正直ねぇ〜」
 それに気付いたセラフはわざとスカートの位置を直すふりなどしている。朱鷺はそんなトライブは無視して淹れてもらったお茶を啜っている。


「! あ、すんません電話きたんでいったん外でます!!」
 トライブは携帯をつかむと慌てて外に出る。受信先には椿 薫の名前が表示されていた。慌ててそのあとに陽太も付いていく。
「もしもし、どうなってる?」
「鳥羽殿から15時にシャワー室に来るように言われたでござる!」
「わかった、蒼学警察はどうにかしとくぜ!」
「楽しくなってきましたね〜!」
 そう言って携帯をしまうと2人は一旦戻ってきた。
「すいません、もうすぐ15時なんで陽太とシャワー室の警備に行きたいと思います!」
「すぐに戻ってきますので〜!」
 捕まった部員には申し訳ないと思いつつシャワー室に向かおうとすると、朱鷺がトライブの行く手を獲物を持って立ちふさがった。
「トライブ、それはわたくしが許可いたしませんわ。先ほどの会話、聞こえてしまいましたの」
 顔面蒼白になって後ずさりするトライブに、朱鷺はバーストダッシュからの重い一撃をくらわせた。
「わたくし自らお仕置きしてさしあげましょう。ああ、峰打ちですから安心してください」
 そういって優雅にほほ笑んだものの、彼女の扱う武器は両刃剣。蒼学警察署内は血の海になった。トライブは最後の力を振り絞り、陽太に向かって血文字で「GO」と書くとぱたりと力尽きる。陽太はそのメッセージを確認すると涙を流しながらシャワー室に向かった。


「蒼くんは、何をしてるの?」
 ミミは隣に座って書き物をしている蒼の顔を覗き込んだ。
「よく判らないのですが、エメ様と瀬島様は取り調べ、というものをなさっているそうです。校長の許可をもらっているそうですから、立派なお仕事なのでしょう」 
「僕はね、宿題してるの。蒼くんはもう終わった?」
「はい、終わっておりますよ」
 この2人のほのぼのしたやりとりは汗臭い男子更衣室を改装した取り調べ室にはまったく似合わなかった。
「なんで壮太怒鳴ってるんだろ……せっかく僕が蒼くんとお話してるのに、ちょっとうるさいよね」
 蒼は困ったように笑っている。容疑者たちに配るお茶の用意を始めたようで、食器を運ぶのをミミが手伝ってあげた。
「もうすぐ3時だね。蒼くん、今日はどんなおやつ食べるの?」
「今日は紅茶風味のスコーンにいろいろな付け合わせをご用意しております。そうですね、それが何かは3時のお楽しみにしましょうか」
 ひ・み・つ、と人差指を口元にあてていたずらっぽく笑った。