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【蒼フロ2周年記念】未来の君へ

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いつも一緒に

10年後もパラミタでは契約者が活躍し、数々の冒険が繰り広げられていた。
その中でも特に高名な契約者が身に付けた白銀の魔鎧。

それこそはかつて地球人であった木本 和輝(きもと・ともき)
パートナーの魔鎧雹針 氷苺(ひょうじん・ひめ)融合した姿であった。

(わらわと一つになって……後悔はしておらんか?)

(そんなことないさ。地球に戻ってもする事はなかったんだし)

契約者に装備されながら、二人は思念で会話を続けている。
和輝の言葉は本心であった。

かつて共に戦った仲間の中には地球に戻った者も多くいた。
麗しき女性契約者の中には結婚して行くものも多くいる。

和輝はそれらの仲間たちを見送り続け、気が付いたら氷苺と二人になっていたのだ。

『わらわは……ずっと……そなたと一緒にいたいのじゃ』

そう言われた時の感動は今も忘れていない。
その後、氷苺を作り上げた悪魔に頼み、二つの魂を持つ魔鎧にして貰ったのだ。

(これからも一緒だろ、俺たちは?)

(ああ。

幾星霜もの月日、共に戦い、共に語らう。
……わらわたちは決して離れる事無くいられるのじゃ)

瞬間、二人は衝撃を感じた。
主人が戦闘を開始したのだ。

相手は数メートルの斧を持つ巨人である。
イコン相手でもかなりの強敵だ。

(始まったな。気合いを入れていくか!)

(勝ってもらわんと、のんびり話もできんからの!)

自らを纏う主人のため、二人は力を解放した。

■□■


そして、葦原島の夜空の下でも、
二人でいること誓いあっている二人がいた。

「もう、10年になるねぇ……」

「不思議ですね。
飽きるほど一緒にいたのに、
それでも足りないと思ってしまいます」

御影 美雪(みかげ・よしゆき)は最愛のパートナーである、
風見 愛羅(かざみ・あいら)と見つめ合う。

この10年間、美雪と愛羅はいつも一緒にいた。
苦しい時も、悲しい時も、そしてなにより楽しい時も。

そうした二人の時間の中で、感情的な美雪と冷徹な愛羅という対称的な二人は、
より互いを深く理解し、足りない部分を補い合い、成長してきたのだった。

これまでの事を思い出して、愛羅はつい、微笑んでしまう。

「私達は……ちょうどいい組み合わせなのですね」

「そうだな」

美雪は頷き返す。

ずっと共にいた。
だからこそ。

美雪は意を決して、用意していたエメラルドの指輪を取りだした。
そして愛羅の左手の薬指にそっと取りつける。

「え、これって……」

「俺と……ずっと一緒にいて欲しい」

美雪の言葉に愛羅は涙が溢れ出した。

「はい。一緒に……いたいです……」

美雪は愛羅を抱きしめ、彼女もそれに応える。

天空の星々もそれを祝福するように輝きを放ち続けていた。

■□■


ザンスカール。

アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)
“賢者の石”を求めてパラミタに渡ってから10年が過ぎていた。

賢者の石を生成することが出来たアゾートは、白瀬 歩夢(しらせ・あゆむ)と結婚し、
今日は二人の子供と共に公園に来ていた。

「ほら、泣かないで!」

アゾートは生まれたばかりの息子をあやしている。
それを愛おしそうに見つめる歩夢は外見は女性で、一見ママ友にしか見えない。

それを心配そうに見つめる4歳の娘を歩夢は抱き上げた。

「ママ、次は妹が欲しいな!」

その言葉に歩夢は笑みを見せた。

「あはは、もう次の子のリクエストが来ちゃったね……」

「……ど、どうしようか」

歩夢とアゾートはお互いに顔を見合わせた。

「今夜は出来るだけ優しく……するね」

顔を真っ赤にした歩夢の言葉に、アゾートは顔を赤らめた。

二人の間に新しい子が出来る事も遠い事ではないだろう。