校長室
【蒼フロ2周年記念】ちっぱい教の野望
リアクション公開中!
「キミは!?」 「おっと、そう構えないでくれ。俺は佐野誠一、“おっぱい党博愛倶楽部”に所属するもんだ」 「“おっぱい党博愛倶楽部”……ちっぱい教の同志ですか!?」 ラズィーヤはリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)と赤城 花音(あかぎ・かのん)、そのパートナーのリュート・アコーディア(りゅーと・あこーでぃあ)と空京デパートで買い物をしていた。 ラズィーヤは今年の新作水着が欲しかったようで、「下々で流行っている、わたくしに似合う水着が欲しいですわ♪」とリンネと花音に水着を見立てさせていた。リュートは荷物持ちだ。 その帰りに機晶バイクに跨った佐野 誠一(さの・せいいち)が接触してきたのだが、ただですらちっぱい教の演説やCMがオーロラビジョンに流れているのだ。花音達が警戒するのも無理はない。 「違う違う。分かってもらえねえかもしれねえが、おっぱいが狩られるのを見過ごす訳には行かねえし、やり過ぎとはいえちっぱい教の連中も同じおっぱいを愛でる同志、傷つけたくねえんだ」 「誠一さんは一体どちらの味方なのですか?」 「ラズィーヤのおっぱいを俺に守らせてくれ!」 「はぁ!?」 「ふふふ、面白いではありませんか。気に入りましたわ。良いでしょう、わたくしの胸をしっかり守って下さいましね」 誠一の説明は支離滅裂で、リュートや花音は却って警戒色を強めるが、ラズィーヤには伝わったようだ。 彼女は扇子で口元を隠してコロコロと笑うと、誠一に守ってもらうことを承諾した。 「(モンクの【殺気看破】とか守護天使の【禁猟区】がつかえりゃなあ……)」 誠一は銃型HCで空京の地図を表示し、出来るだけ大通りを選んで移動する。 無い物ねだりとは分かっているが、やはりちっぱい教の襲撃を事前に察知する術がないのは、どうしても後手に回ってしまうため不安材料だった。 「リンネちゃん、ボクや兄さんとチームを組んでくれてありがとね」 「ううん、いいんだよ。リンネちゃんの方こそ、リュートちゃんの想いには応えられないけど……」 「叶わぬ想いで良いのですよ……伝えなければ……後悔だけが残りますから」 『リンネさんへ……僕は天真爛漫なあなたを……お慕いしていました。そちらの事情は委細承知の上です。人は想いを自覚したら……正面から向き合う事が最良だと思います』 『うん、ありがとう……でも、ごめんね』 先程、ラズィーヤの買い物に付き合う傍ら、リュートはリンネに想いを告げていた。 しかし、既にリンネには愛する夫がおり、彼の想いに寂しそうに頭(かぶり)を横に振った。 それでも、想いを告げたリュートは清々しい顔をしていた。 「あらあら。若い人達は羨ましいですわね。わたくし、置いてきぼりですの?」 「嗚呼、ごめんなさい! そんなつもりじゃ……」 「ふふ、ちょっとからかってみただけですわ。あそこに人集りがございますわね。映画の撮影か何かでしょうか?」 慌てふためく花音に気をよくしたラズィーヤは、公園内に入ると早速人集りを見つけていた。 「これが重力に乳を引かれし者の末路だよ!」 「!?」 ラズィーヤを含め、誠一達全員の注意が人集りに向いた一瞬の隙を衝いて、カレンは人集りから【真空波】を放つ。 それは寸分違わず、ラズィーヤのドレスの胸元を切り裂いた。 「しまった!」 「もう遅いよ! あんな巨大な物が支えを無くせば、きっと無残に垂れ下がるに違いないよ。それをここにいる大勢の市民が目にすれば、きょぬーの権威は大きく失墜する事間違いなし!」 「ちょっとまてーい!」 誠一達が気付いた時には時既に遅し、ラズィーヤのドレスの胸元はブラのストラップごと切り裂かれ、彼女の熟れた果実のような双房が露わになりつつあった。 カレンが勝利を確信したその時、電柱の上から呼び止める声がした。 「貧と巨、どちらかしか愛せぬとは笑止千万、挙句の果てにはきょぬー狩り……何故全ての乳を愛そうとしない! とうっ!」 陽光を背中に受けて、腕組みをして電柱の頂きに立つ葛葉 明(くずのは・めい)は、ラズィーヤのきょぬーが、その先端のサクランボまで露わになる寸前で彼女の背後に飛び降り、ラズィーヤの胸を後ろから鷲掴みにした。 「いいか巨乳はただの脂肪の塊じゃないんだ。これは、母性の塊なんだ! 想像してみるんだ、お前らだってひんぬーの母親よりきょぬーの母親に抱きしめられたいと思うだろう、違うのか!」 ラズィーヤのきょぬーをリズミカルにマッサージしながら、きょぬーの良さを熱弁する明。 ラズィーヤの息は多少荒く、熱を帯びるものの、顔色1つ変えてはいなかった。 「わたくしの胸のマッサージし心地は如何です?」 「そりゃぁ、手触りは絹のように滑らかで、肉厚はマッサージすればするほど手に馴染むくらいのボリュームで、ずっとマッサージしていたいくらいだよ!」 「わたくし、下々の者に見られても、マッサージされても恥ずかしくない身体をしておりますの」 「……【おっぱいハンター】ともあろうこのあたしが圧倒されている……!? これがブルジュワジー……これがラズィーヤ・ヴァイシャリー……」 マッサージした事を怒られると思いきや、むしろラズィーヤはマッサージされた事にすら動揺しておらず、逆に明の方が知らず知らずのうちに後退り始めていた。 「ちっぱいは何処かに栄養が偏ってない分、頭の回転や魔力が高いんです。肩も凝らないし動きやすいと思います」 その場の誰もが、カレンですらラズィーヤの堂々たる御身に圧倒されていたが、ただ1人、明日香だけは呑まれることなく冷静さを保っていた。 彼女は【シューティングスター☆彡】を使用し、ラズィーヤを狩り始めた。 「【おっぱいハンター】は二度同じ乳はマッサージしないし、一度マッサージしたら友達だから」 明はおっぱいハンターの流儀を説明すると、【シューティングスター☆彡】からラズィーヤを庇った。 「ボク達は胸の大きさを超え……手を取り合う意志で…邪な同志を成敗だよ! 受けろ! 友情のコンビネーションアタック! ライトニングファイヤーレイン!」 花音がエレキギターをかき鳴らし、リンネが【ファイアストーム】を唱え、融合させて雨粒状に放つ範囲攻撃を行う。 「女性は正面から愛されて……嬉しいんだよ!」 「僕も……未練を断ち切るコンビネーションアタック! 爆砕稲妻重力落し蹴り!」 続いてリュートはリンネと小型飛空艇オイレに相乗りすると、飛空艇から自由落下し飛び蹴りを繰り出した。 「そんな……効いてない!?」 「あれだけの攻撃を喰らって立ち上がれるなんて……」 花音とリュートは驚きを隠せない。 明日香もカレンも、無傷とはいかないまでも軽傷で済んでいた。 彼女達はネ申だ。しかもその実力は折り紙付きの、ちっぱい教の切り札とも呼べる存在だった。 「その程度か……きょぬーに与する者は恐るるに足らんのだよ」 ジュレールの【チャージブレイク】から繰り出される華麗な七輝剣二刀流の前に、花音達は斬り伏せられてしまった。 明が、花音が、リュートが、次々と仲間がちっぱい教の同志達によって倒されてゆく。 誠一は天御柱学院の制服の上着をラズィーヤに掛け、機晶バイクに跨った。 「無事、逃げ延びてくれよ? ラズィーヤをやらせはしない! やらせはしないぜえ!!」 ラズィーヤを逃がすため、仲間の屍を越え、機晶バイクで巨大な敵へ特攻を掛ける誠一。