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リアクション
フェイズ2
ゴーストイコンは残り9機。ファントムとの相対速度からファントムと会敵するまでの時間は5分と計算されていた。
「よし、各機総攻撃!」
ダリルが指示を出すと各イコンが一斉に攻撃を開始した。
御凪 真人(みなぎ・まこと)がコームラントの【パラスアテナ】からゴーストイコンに狙いをつける。
「照準セット……ターゲットロック。セルファ、機体を安定させろ」
「了解!」
セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)が機体を操作して空中で安定させる。
「OK。撃って!」
「ファイア!」
大型ビームキャノンが発射される。
「ベアトリーチェ、タイミング測って!」
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)がパートナーのベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)に指示を出すとベアトリーチェは一生懸命計算してタイミングを算出した。
「OKです。マルチロックオン完了! いつでもいけます」
「了解。全弾発射!」
肩にロイヤルガードエンブレムが描かれた、金色に輝くイーグリット・アサルト【グラディウス】が右手に持ったアサルトライフルと左手に持ったガトリングガン肩部にマウントされた多連装ミサイルポッドを全弾一気に発射する。
アビリティ全弾命中とダメージ上昇で確実な殲滅を目指す。
「ねぇ、ナコちゃん。この戦力差やることありそう?」
「なさそうですね、マイロード」
牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)がパートナーのナコト・オールドワン(なこと・おーるどわん)に問いかけるとそんな返事が帰ってきた。
「つまんないからゴーストイコン殴っちゃえ♪」
「ではわたくしも」
二人は生身で前線に出るとゴーストイコンを拳で破壊した。
「さて、と――On stage(竣工)した貴方のイコンの性能、存分に試すとしましょうか、ライザ?」
ローザマリアがそう言うと、彼女のパートナーが答えた。
「遂に妾専用のイコン、『レゾリューション』が竣工するに至った。その性能、見せて貰おうぞ」
グロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)がヴァラヌス捕獲型【HMS・レゾリューション】のヴリトラ砲を急所狙いで精密に狙いつつ発射する。
闇黒属性に耐性があるゴーストイコンでもそれ以上に強力な闇黒属性の攻撃を与えたらどうなるかという実験も込められていたが、20ミリレーザーバルカンを叩き込むのとほぼ変わらないダメージを与えたようだった。
「ターゲット接近。エンゲージまで3秒……エンゲージ。いつでも行けるぞ!」
「之より舞うは鬼と人が織り成す剣舞
闇より出でし魑魅魍魎よ
汝等が挑むは絢爛舞踏たる鬼神なり
『絶技、鬼神剣舞』!!!」
エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)のサポートを受けて紫月 唯斗(しづき・ゆいと)のイコン【荒人】が氷獣双角刀を用いて必殺の剣舞を魅せる。
接近するとまず左右に切り払い、ついで二本の剣を大上段から斬り下ろし、そして突き刺してから蹴りを入れて引き抜く。
激しい機動を活かしてゴーストイコンの周囲を回りながら滅多切りにする。
そしてブースターを吹かして高速離脱すると上空でターゲットを見下ろす。
その絶技を受けたイコンは爆発して四散した。
「さすがです」
プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)がクールに絶賛する。
「栽よ! あれをやるぞ!」
信長が叫ぶ。
「ういういノブ姐。合点承知」
鳴神 裁(なるかみ・さい)がそれに答える。
「サーチ完了。合体攻撃用プログラム起動」
アリス・セカンドカラー(ありす・せかんどからー)がプログラムを走らせる。
「マスター、行けますよ」
魔鎧のドール・ゴールド(どーる・ごーるど)が告げる。
「覇王の力とくと見よ!」
信長が再度叫ぶ。
「よし、いいぞ。いつでもぶちかませ!」
桜葉 忍(さくらば・しのぶ)が機体を操縦しながら告げる。
「「受けてみよ、修羅(覇道)の業(わざ)を!」」
信長と栽が同時に叫ぶ。
「「ダブルカラミティナックル!」」
イナンナの拳を同時に放つ。一瞬足りともタイミングをずらさずに。
その攻撃を受けたゴーストイコンは中央から崩壊し撃沈する。
これならば、シュヴァルツ・フリーゲでも一撃で倒せそうだった。
「よし、あれ行くわよ。早苗」
葛葉 杏(くずのは・あん)がパートナーの橘 早苗(たちばな・さなえ)にそう告げると、早苗は軌道計算やらなんやらをこなして「OKです」と答える。
「全弾、ファイヤー!!」
ミサイルポッド2基の全弾と大型ビームキャノンのエネルギー出力を絞って連射モードにして一斉に発射する。
「こちら【イクス】突貫する!」
柊 真司(ひいらぎ・しんじ)は味方の援護射撃を受けながらブースターを使って急加速すると、左腕に装備したビームランスを腰だめに構えて突撃し、ゴーストイコンに突き刺す。
(真司、左20、上70に離脱)
(了解)
パートナーのヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)と精神感応で会話しながら真司は機体を離脱させる。
「遠距離射撃特化型のあたしの機体が一番よ、うふ……うふふふ……」
コンクリート モモ(こんくりーと・もも)が遠距離からひたすら大型ビームキャノンを連射する。
「モモ怖いニャ……」
パートナーのハロー ギルティ(はろー・ぎるてぃ)がぶつぶつと呟くモモをそう表現する。
「サビク。ロック完了だ。撃て!」
シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)がそう告げるとサビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)は肩部のウェポンハンガーから新式アサルトライフルを取り出す。
「いっけ~!!」
銃撃しながら突撃し、敵イコンの群れに飛び込む。
「……この様子だとファントムとゴーストイコンの混戦ということはなさそうだな……」
斎賀 昌毅(さいが・まさき)は万が一ファントムに操られたイコンが出てきたら撃墜するつもりで戦場の外で味方を射程に入れながら陣取っていたが、杞憂に終わりそうだった。
「どうやらそうだろうな。那由他もこれで一安心だよ」
パートナーの阿頼耶 那由他(あらや・なゆた)が同意しながらサブパイロット席でお茶を啜っていた。
グラキエスの【シュヴァルツ】は、ダブルビームサーベルで、デスサイズを操るレリウスの【クェイル】とともに接近戦を繰り広げていた。
「あ……考えたらゾンビの返り体液で汚れたイコンを洗浄するのも嫌だわ」
ハイラルがそんなことを考えている間に対ゴーストイコン戦は終盤を迎える。
「グラハム、機体をその位置でキープね」
戦い方もバラバラ、実力もピンキリ、そんな集団がその場しのぎで連携しても大して効果があるとは思えない。ということで個人でで参加していたセシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)は、パートナーのグラハム・エイブラムス(ぐらはむ・えいぶらむす)に指示を出しつつスナイパーライフルを構える。
「OK、行くわよ」
最優先の相手はファントムだが、まだファントムに接敵するまでには時間がかかるのでとりあえずということでゴーストイコンを狙っていた。
和泉 絵梨奈(いずみ・えりな)は頭の部分が壊れたセンチネルでミサイルをばらまきつつ戦っていた。
「敵味方識別信号がなかったら誤射されてましたね」
「まあ、成が成じゃからのう」
パートナーの魔道書オルビス・ピクトゥス(おるびす・ぴくとぅす)がそう言って苦笑いする。
もう一人のパートナー、魔鎧のジャック・メイルホッパー(じやっく・めいるほっぱー)は戦場で壊れたゴーストイコンのパーツを回収していた。
何かに使えるだろう。という判断からだ。
「敵の位置前方30! 射撃用意!撃てええェェ!」
元自衛官の立川 睦(たちかわ・ちか)はアサルトライフルとランスを組み合わせて銃剣突撃のような戦法で戦っていた。
「睦、うるさい」
「いいじゃない。無線は切ってあるんだから」
パートナーの樹神 よもぎ(こだま・よもぎ)のツッコミもどこ吹く風と戦闘を繰り広げる。
「意志を貫く一縷の輝き、光突破!」
霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)がパワーブレスを掛けてからライトブリンガーとランスバレストを組み合わせた光の突撃の必殺技を放つ。そして、そこに生まれた隙に攻撃が叩き込まれる。
「開け地獄の門! 魔弾の射手の名において、穿て、コキュートス! タルタロス!」
緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)が2つの魔弾と通常の弾丸を同時に放ちダメージを受けたゴーストイコンを一撃で撃破する。
「戦に燃える桃火の拳、烈火裏逝拳!」
チャージブレイクからの爆炎破と共に必殺の裏拳を放つ霧雨 透乃(きりさめ・とうの)。これもまた一撃でゴーストイコンを破壊する。
そうこうしているうちに、最後のゴーストイコンが倒されて、戦闘は次のフェイズへと向かった。