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【ウェブマネー様タイアップ】御藝神社で縁日!

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【ウェブマネー様タイアップ】御藝神社で縁日!

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第4章  しょくじです!


 縁日は、まわるだけではなく自分からもつくるもの。
 参加者のなかにも、店を出す者達がいた。

「せっかくの祭だし楽しまなきゃな!
 パートナーたちとたこ焼きの屋台を出して一儲けするぜ!」
「はいですっ!
 たくさんの人に『おいしい』って言ってもらえるようにがんばらないと!」

 はちまきはっぴで、気合いばっちりの黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)
 ユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)も、ますますわくわくしてくる。

「メインで作るのはユリナ、俺とセレンで調理補助をしてルヴィは客の呼び込みってとこかな。
 ユリナは料理が得意だし、ルヴィの元気な呼び込みがあればいい感じに客が入りそうだぜ!」
「味は普通とネギ塩と、ちょっと大変かもですが明石焼き風なんてあるといいかもですね」
「ユリナお姉ちゃんのお料理は世界で一番おいしいんだよ!
 たくさんの人にいっぱい食べてもらいたいなぁ♪
 だからおっきな声でお客さんをどんどん呼びこんじゃうよー!」
「調理のサポートは任せな!
 あんま料理とかしねーけど、簡単な補助くらい俺にもできるからな。
 それに、たまにはちゃんと稼いで高い酒を飲みたいからなぁ」

 竜斗の指示で、各々の役割が決まった。
 想像を膨らませれば、それだけで楽しくなってくるユリナ。
 リゼルヴィア・アーネスト(りぜるゔぃあ・あーねすと)に褒められれば、口許も緩む。
 やる気に満ち溢れているように観える、セレン・ヴァーミリオン(せれん・ゔぁーみりおん)の野望が叶うときは来るのか。

「……セレン、調理中はタバコを吸うなって何回言えば……」
「なんだ竜、タバコ?
 これはこれで似合ってるだろ?」
「おいしそうな匂いのせいでお腹がすいてきた……ボクも食べたい。
 けど……いまはお仕事中だもん!
 がんばるもん!
 でもでも、1個くらいなら……」
「リゼルちゃん、はい、あーん」

 とまぁ、いざ始まってみれば案外順調に進むものである。
 文句を言ったり、たまにはたこ焼きをつまんだりもしながら、着々と売り上げを重ねていった。

「今日も屋台を出しますか?
 さすが健闘くん、偉いですね!」
「あぁ。
 美味しい料理を食べて喜ぶ顔、もう一度見たいからな」

 天鐘 咲夜(あまがね・さきや)の言葉に、健闘 勇刃(けんとう・ゆうじん)はにっこりはにかむ。
 脳裏には、いつかの客の笑顔があった。

「私もがんばります!
 いつもどおり、チェインスマイトで食材を切りますね」
「うふふ、たこはお姉さんに任せて!」
「火加減は私が調整できますし!
 美味しいお料理をつくっちゃいましょう!
 ベルジュース☆パラダイス出張所、開店でございます!」

 包丁を握るのは、咲夜と文栄 瑠奈(ふみえ・るな)
 肉や魚など動物性食品は瑠奈が、植物性食品は咲夜が、カットを担うようだ。
 残る紅守 友見(くれす・ともみ)は、【火術】を用いて料理をしっかり焼き上げる。
 なんと完璧な布陣だろうか。
 ちなみに、このお店のメニューはというと。

お食事
 ・たこ焼き(海苔、麻婆豆腐、チーズ、カレー味。一皿4個。組み合わせも可能)
 ・焼きそば
 ・カレーライス
 ・スパゲッティ
 ・ホットドッグ
 ・ラーメン(味噌、塩、醤油)
 ・磯辺焼き
 ・豚汁
 ・りんご飴
 ・わた飴
 ・ドラ焼き
 ・きび団子
 ・焼き芋(!?)

飲み物
 ・レモネード
 ・ラムネ
 ・緑茶
 ・ウーロン茶
 ・オレンジジュース
 ・リンゴジュース
 ・バニラソーダ

 とまぁ、随分と多岐にわたっているわけだが、これは。
 店長である勇刃の考え方が、貫かれているのだ。

「金はどうでもいい。
 みんなの笑顔と縁日の雰囲気を味わいたいんだ」
「勇刃くん、陰陽師の衣装お似合いよ。
 私の巫女姿には、勝てないけれど」
「嬉しいです〜私も、巫女服はずっと前から着てみたかったのです!」
「咲夜さんと瑠奈さんはその衣装が似合って、うらやましいでございます。
 私なんてとても……メイド服で精一杯でしたわ」
「いや、メイド服が似合うってだけでもいいと思うが……」 

 友美の台詞に、勇刃だけでなく咲夜も瑠奈も苦笑する。
 メイド服と言っても、基本は巫女服だ。
 大きくて真っ赤なリボンをあしらい、可愛くアレンジした巫女風メイド服。

「ま、いいさ!
 とにかく、俺達なりのやり方でみんなを笑顔にしよう!」
「お〜い、勇刃!
 飲食スペースはこんな感じでいいかなぁ?」
「お、ありがとう、優。
 ばっちりだぜ!」 

 屋台の外から、神崎 優(かんざき・ゆう)が勇刃を呼んでいる。
 今日は、パートナーとともにお手伝いとして駆けつけてくれたのだ。

「もう、お客さんを入れてもいいかな?」
「お願いします!」
「ということなので、こちらへどうぞ〜」
「これがこの店のメニューだぜ!」

 神崎 零(かんざき・れい)に応える声を合図に、どっとお客さんがなだれ込む。
 メニューの多さとお値の安さが、人を呼びよせたらしい。

「こんにちは〜遊びに来たよ〜!」
「屋台っス〜!」
「ファイリアはリンゴジュースが飲みたいな!」
「私はレモネードでお願いしまっス!」
「あと、たこやき4種に挑戦です♪」

 そんな客のなかに、広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)の姿があった。
 広瀬 刹那(ひろせ・せつな)と一緒に、友人の屋台へと遊びにきたのだ。

「かしこまりました!
 番号札1番をお持ちください。
 よかったら、こちらで休んで食べていってください」
「こちらに飲食スペースがありますよ。
 どうぞこちらで食べていってください」

 客をスムーズに流し、テーブルを拭き、椅子を直したり。
 かと思えば優は厨房へ入り、皿を洗い、賄い料理をつくったり。
 そして零は、満面の笑みで宣伝をし、客引きをしたり。
 優も零も、てきぱきと注文をとり、客を席へと座らせていく。

「うわぁ、来たっス〜!」
「食べよっか、いただきます!」
「チーズ……ふむ。
 一見合わなさそうに見えるけど、不思議と美味しくなるから驚きっスね」
「じゃあカレーは……あわわ、辛いです〜でも、こんなにおいしくなるなんてビックリです!」
「2つめをはぐっ!
 っちょ、麻婆豆腐、辛っ!?
 辛いっス!?
 の、飲み物飲み物ー!?」
「海苔はやっぱろり親しみのある味です〜でも、縁日で食べるたこ焼きでおいしさアップしてますです♪」

 仲よく2つずつ、衝撃と戦いながらもたいらげて。

「美味しかったっス!
 新しい味にも期待していますっス〜」
「美味しかったです!
 ありがとうございましたです〜♪」

 刹那もファイリアも、満足の表情で屋台をあとにした。


「最近のマリアの心身の状態を見て、疲労の色が少し濃いように感じましたの。
 マリアは精神的なセラピーをしていたので無理もないのですけれど……」
「よく分かりましたわね。
 私、心身ともに疲れがたまっていたの」
「癒しの場として、お客様の活気にあふれていて神様のご加護がある神社の縁日を選びましたの。
 愛するマリア……少しでも、元気になってね」
「リフレッシュをしたいと思っていたから、とても嬉しかったわ。
 私の心身のことを気にかけてくれてありがとう、ジュンコ……」

 腕を組み、ラブラブで歩くジュンコ・シラー(じゅんこ・しらー)マリア・フローレンス(まりあ・ふろーれんす)
 ジュンコの気持ちが嬉しくて、マリアの眼には雫が溜まる。

「さぁ、ベルジュース☆パラダイスさんへ着きましたわ。
 わたくしは、カレー味のたこ焼きとリンゴジュースにしようと思っていますの。
 マリアはいかがなさいますか?」
「私は、そうですねぇ……塩ラーメンとウーロン茶をお願いするわ」

 注文が来るまで、そして食べ終わるまで。
 他愛のない話から学校での出来事まで、会話は弾む。
 ベルジュース☆パラダイス出張所は、知人を中心として大盛況をみせていた。

「こっちにも美味しそうな屋台があります〜」
「これ、琴音、走るでない。またこけるぞ!」
「いらっしゃい!」

 琴音とこもたんがたどり着いたのは、境内に並ぶ屋台の最端。
 神崎 荒神(かんざき・こうじん)が、2人を明るく迎えてくれた。

「俺達は焼きソバとからあげをつくってるんだ!
 食ってかねーか?」
「飲み物は特製烏龍茶アル」

 にかっと歯を出し、鉄板の上の料理を示す。
 どちらも観た感じ普通だが、行列ができていたことを鑑みると味は折り紙つきのよう。
 背後から、アルベール・ハールマン(あるべーる・はーるまん)がこそっと瓶を差し出した。

「わたくしがご奉仕するアル」

 瓶の色が不可思議だが、まぁ大丈夫だろう。
 ということで、それぞれ違う料理を注文することに。

「おいテレサ!
 テレサ〜!?」
「私はここにいるのだよ」
「うにゃっ!?」

 いつのまにか、琴音達のテーブルに座っていたのはテレサ・カーマイン(てれさ・かーまいん)
 スケッチブックを開き、描いているのは、オリジナルのイコンだ。
 境内を駆け抜けるイコンを観察し、創作意欲をわかせている。

「私が設計したイコンに、いつの日か皆を乗せてやろう!」

 言いながらテレサは、だんだん楽しくなってきた。
 琴音とこもたんが食べている横で、食べ終わったあとも、陽が暮れるまで描き続けるのである。