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リアクション
◆闇
そしてこちらは闇の勢力。
「やっぱり遺跡っていったら爆破よね!」
にこやかにそう口にしたシオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)に、「ちょ、シオンくん! 威力は抑えてくださいよ」と制止をするのは月詠 司(つくよみ・つかさ)だ。威力を抑えるとかそういう問題でもない気がするが。
司は、機晶爆弾やテロルチョコおもちを使って、超凄い罠や超獰猛なモンスタ−を爆破したり、壁を爆破して近道を作ったり、敵の足止めをしたり、というサポートをすると聞いていた。だが、シオンが手にした爆弾は遺跡を崩壊させそうなほどの威力のものだった。司の顔が青くなる。
「全部爆破じゃないですか! 遺跡好きの私にコレをやれと? 勘弁して下さいよッ!
やるなら火薬の量は最低限で。遺跡が崩壊でもしたら洒落になりませんからね」
司の言葉は正論なのだが、シオンは「はいはい」と軽く流すだけだ。
「大丈夫だって。ちゃんとタイミングを見計らって爆破するから」
「そういう問題じゃ」
話をしながら、シオンはテロルチョコおもちで、罠を破壊する。なんだかんだといいながら、シオンもちゃんと……あの、シオンさん。その背中にある明らかに超凄そうな爆弾は一体何に使うのですか?
いや、これ以上聞くのは止めておこう。
「脅かしちゃってすみません。お詫びと言っては何ですが、きび団子はいかがですか?」
シオンと司のやや後方で、魔獣にそっと団子を差し出すのはティー・ティー(てぃー・てぃー)だ。彼女の前にいる魔獣は、つい先ほどまで暴れていたのだが、ティーの説得?(適者生存)により大人しくなっていた。
団子を大人しく食べるのを見てイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)がティーの後ろから顔を出す。きび団子を作ったのはイコナなのだ。
イコナは胸を張って
「ふふん……やっと自分の立場が分かったようですわね。
言うことを聞くなら、わたくしの子分にしてあげてもよろしくて」
「ぅわん!」
「痛! ティー! 痛いですのーわーん」
「わわわっ。ダメですよ。イコナちゃんは仲間で、そのお団子を作ってくれたのも」
差し出した手を噛みつかれて泣きだすイコナと慌てて助けるティー。そんな2人の姿をじっと見つめる人影があった。
何やら仮面をかぶった怪しい男のようだが、彼が右手を魔獣へと向けると、
「……ぐぅるるるぅ」
「あら、どうしたのですか? 突然元気が」
唐突に魔獣が大人しくなった。イコナは涙を拭きとって、また強気な姿勢を取る。
「わたくしに噛みつくからですの!」
「ふみゅん」
「分かったら、わたくしの子分になるですの」
こくこくと頷く魔獣を見て、怪しい仮面男はホッとした様子で息を吐き出した。彼の名前は源 鉄心(みなもと・てっしん)。イコナとティーのパートナーだ。
彼女たちの先回りをしてあまりにも危なそうな罠を解除したり、あからさまに怪しい印をつけて警戒を促したり、を密かに行っていたのだ。
そうして順調に進んでいた一行だが、ドラゴンらしき声を聞いて、顔を見合わせた。鉄心は、拳を作りつよく握りしめた。
(地図はともかく、ドラゴンは殺させない!)
闇勢力一行もまた、ドラゴンの元へと走って行った。
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