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魔法薬からの挑戦状

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魔法薬からの挑戦状

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第一章 探索・校舎二階とか中庭とか

「アーシア先生の解毒薬についてお話を聞いてみたいんだけど時間とか大丈夫かな?」
 イルミンスール魔法学校へとやってきたリアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)
 その手にあるのは、アーシアの授業の受講証。
 アーシアが実践魔法学を広めるためにばらまいたもののうちの一枚だ。
 そこで、早速解毒薬作りを教わるためにやってきたリアトリスなのだが……。
「うわー、なんか来たぞ!」
「なんだこいつ、霧のゴーレムか!? おい、火術使える奴連れて来い!」

 突然聞こえてくる男子生徒達の声。

 どうやら、ゴーレムが学園内で暴れているようだが……流石は魔法学校というところだろうか。
「って! ゴーレム騒動!? 大変なことにならないようにとめなくちゃ!」

 早速校内へ走り出そうとして……リアトリスは、聞こえてきた声に足を止める。

「ああっ、中庭に逃げやがった!」
「待て、あれアーシア先生のらしいぞ!」
「げっ……てことは、またネコミミか!?」

 何やら怪しげな単語が混ざっているのが気になるが、ゴーレムは中庭に逃げたらしい。
 右目の龍の瞳、腕の甲に尾だけの家紋、そして大きな犬耳に1mある犬の尻尾。
 己の全力を身に纏い、リアトリスは中庭へと走る。

「あ……あれが?」
 
 そこに居たのは、人の形に集まった霧のようなもの。
 これが暴走ゴーレムなのだろうか?

「なんだか分からないけど……この一撃で!」

 一撃で岩や壁を打ち抜く、リアトリスの全力の体当たり。
 しかし……その直撃の瞬間、リアトリスは自分の足が止まっている事に気付く。
 それはまるで、地面に縫い付けられるかのような感覚。
 いや、相手が見上げるように巨大になっているかのようにも感じる。
 ギャリギャリギャリ、ドガガガガ、と。
 不思議な効果音すら足元から聞こえてくる。

「……は?」

 気付き、リアトリスは自分の足を見つめる。
 いや、それは足というよりはドリル。
 二本のドリルと化したリアトリスの足が、全力回転して地面を掘り進んでいる。
 だが、それも三秒だけのこと。
 ずっぽりと地面に縫い付けられたリアトリスの足は、やがて自分の感覚を取り戻している。

「な、何あれ……」

 その名も、足が三秒だけドリルになって全力回転する薬のゴーレム。
 どんな状況を想定して造られたのか全く不明な、アーシアオリジナルの魔法薬であった。