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5 ダイナミック着港

「これは、出番じゃない?」
「マジか……まあ、やらなきゃ死ぬだろうしな」
 船長室から出て、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は操縦室へと足早に向かう。そして操縦室の扉を開けると、「悪いけど操縦代わって。許可はもらってるからさ」とルカが操縦士を舵からどかした。
「幸いタシガンはもうすぐみたいね」
「そこまでに墜ちなきゃな」
「そういうことは口にしないほうがいいでしょ!」
「わかったよ。補佐を頼む。……かなりバランスが悪い」
 ルカはダリルの指示に従って気流を観測し、障害物がないことを確認する。そして通信機を見つけ出してきて、ダリルに持たせてタシガン港に繋げた。ダリルが空港に緊急着陸を要請している間にも、飛空艇からはぼろぼろと瓦礫が落ち、爆発の度に大きく船体が揺れる。そして空港が見えてきたと同時に、ダリルが声を張り上げた。
「このまま不時着させる。ルカは皆に衝撃に備えるよう言ってくれ。着陸したらすぐ退避だ!」
「了解!」
 炎を上げ、飛空艇がほとんど墜落しながら空港へと向かっていく。がたがたと船が揺れ、地面が近づくに連れてそのまま磨り潰されそうな恐怖に襲われるが、ダリルは覚悟を決めて船体を地面に接触させた。
 落下の時とは比べ物にならないほどの衝撃と重力に、ルカとダリルは吹っ飛ばされそうになる。飛空艇は津波のような火花をまき散らしながら減速していき、耳障りな金属音とギチギチと木材が軋む音と共に、船は止まった。
「…………」
「……止まった?」
 やや船体が傾きかけてがいるが、止まった。無事、飛空艇は停止したのである。