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学園に生まれた迷宮

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終章

 その後、生徒会役員率いる犯人グループと首謀者の女子生徒は、校長室へ連行された。
 全員で馬場 正子(ばんば・しょうこ)校長に事の顛末を説明し終えると、洞窟とその奥の宝石の宝庫の件については各地の学園や教導団と相談して処分を決めるそうだ。
 ちなみに冒険者たちの報告が終わると、校長室には犯人グループだけが残された。
 それからどんな事があったかは分からないが、女装家たちは真っ青な顔をして、女子生徒は号泣しながら部屋から出てきた。
「もう二度ど、馬鹿な真似はじまぜーん!!」
 とか叫んでいたあたり、かなり精神的にもかなり強烈なお叱りを受けたようだ。

 学園の敷地内に洞窟を作ったのは、ただ単にその敷地内が安全であるからだという。そこらの山や森で洞窟を作れば、たちまち魔物の巣になりかねないとか。それなら学校から近い方が戦える人間が集まりやすいので、安全だろうと踏んだわけだ。
 本当は入口ももっと小さくして、静かに洞窟を作るつもりだったが、罠を設置する際にミスをしてしまい、爆発。結果として事態が大きくなってしまったというわけだとか。

 シャンバラ中に広まった事件ではあったが、馬場校長の計らいで、犯人たちは大したお咎めもなく、盗んだ衣類を一枚一枚丹念に綺麗に洗って返すように、という罰と、後に行われるであろう洞窟の地質調査に護衛として強制参加するよう命令された。
 拒めば即刻教導団にでも引き渡し、しかるべき罰を受けてもらうと選択肢を与えた結果、全員が馬場校長の罰を甘んじて受け入れたという。
 ちなみに誰に聞いても、校長室で何があったかは教えてくれなかった。ただ真っ青な顔をして、
「その件に関しては、勘弁してください」
と涙目で言われた。
 ともあれ、今回の迷宮の事件と盗難の事件は無事、スピード解決と相成った。

「少女、待て」
 校長室の扉が開き、馬場校長が主犯格の女子生徒を呼び止めた。
 女子生徒は、ゆっくりと振り向いた。
「お前は洞窟を作ったのは、女装趣味の友好の場を作るためだと言ったな」
「ふむ、申し上げましたが?」
「本当か?」
「それは……」
 少女は首をかしげた。
「どういう意味ですかの?」
「お前は、学園の地下深くに何かあると、知っていたのではないか? 話に聞いた宝石の鉱脈のような具体的なところまで知っていたかは分からんが、少なくとも何かあると」
 校長の目が、鋭くなった。
「あんな深い洞窟を短期間で、鉱脈のすぐ近くまで伸ばして作ったのは、単なる偶然なのか?」
「…………」
 少女の目が、鋭くなった。
 少しの間、二人が見つめ合う。やがて、少女が小さく、にやりと笑った。
「当然でありましょう」
 それはどこか、裏を孕んでいそうな言い方と表情。
「トレジャーセンスでも感知できない深層に、一体どうやってあんなものがあると突き止めるのか。そんな方法があるならばぜひとも教えていただきたいものよ」
「…………」
「もう、よろしいですかの? これから同志たちが盗んできた服を洗いにいかねばならぬのじゃが?」
「ああ。構わん。行ってよし」
 女子生徒はくるりと踵を返し、その場を去っていった。
 馬場校長はしばらく彼女をじっと見つめていたが、やがて部屋に戻り、扉を閉めた。
 閉まる音を聞いて、少女は静かに笑う。
「くくく…………」

担当マスターより

▼担当マスター

佐久間豊

▼マスターコメント

今回のシナリオはいかがだったでしょうか。純粋なアクションからひねったアクションまでよりどりみどりで、誰をどこで活躍させようかわくわくしながら悩みました、佐久間豊です。戦闘シーンはできるだけハデに書いたつもりですので、各々の場面で攻撃するときにキャラのカットインが入るところを想像しながら読んでほしいなと思います。皆様の気が向きましたら、また佐久間めのシナリオにお付き合い願いたいと思います。

▼マスター個別コメント