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キロス・コンモドゥスの罠、夏來香菜を助け出せ!

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キロス・コンモドゥスの罠、夏來香菜を助け出せ!

リアクション

「迂闊に進むのは危険じゃな……プロに解体してもらうか」
ファラ・リベルタス(ふぁら・りべるたす)が薄暗い通路の前方にあるトラップを見て言った。
すると彼女の後ろからウィル・クリストファー(うぃる・くりすとふぁー)の獣人の罠師が現れてトラップを回収していった。
「ありがとう罠師さん。大丈夫ですかファラさん?足元には注意して下さいね」
「ほう、気が利くではないか」
「これぐらいは当然ですよ、ファラさんはダークビジョンに専念してください」
「ふう……やれやれまたトラップですか」

2人の後ろから現れたのは鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)だった。
「大丈夫ですよ、今僕が解除したばかりですから――うわっ!」
ウィルは貴仁が手にしているものを見て声を上げた。貴仁が手に持っていたのはダメージトラップだった。
「はははそう驚かないで下さい。ほらこの通り」
貴仁はトラップをコンコンと手の甲で叩いてみせた。それは貴仁が先ほど通路で解除したトラップだった。
ウィルはほっと一安心する。
「ふふふ、貴公もまだまだ青いのぉ」
ファラはウィルの頭を撫でると彼は頬を赤く染めて小さく笑うのだった。
「さあて、もたもたしていられん。早く奥へ進まねばのう」
銀色の髪をなで上げファラはダークビジョンを使用しながら先へ進む。
彼女の後に契約者たちが続いていく。
「それにしても怪しいですねぇ……俺たちだいぶ深くまで進入したはずなのに、まだ一度も凶霊団に出くわしていません」
「僕もそう思っていたところです。なんだかまるで敵の罠に嵌められているような気がして……ここは」

通路を抜けたウィルは天井を見上げた。狭い通路を出るとそこは大広間になっていた。
中央にはボロボロに朽ち果てた女神像が立っていて、幾本も立ち並ぶ柱が天井を支えていて、
魚の鱗のような壁模様は大きな亀裂に引き裂かれている。
「ここにもトラップがありそうですね。安全第一です。もしかしたら天井にも何かあるのではないでしょうか」
貴仁は頭を上げて石造りの天井を見たそのときだ。

『ふっはっはっはっはっはっ!』

天井から笑い声が降り注ぐ。
「皆、気をつけよ!強い反応が2つ。それ以外は大したことはないが……かなりの数じゃ!」
『よくぞきたな契約者たち!だがここまでだ。凶霊団のため、俺達オリュンポスためここでやられてもらおうか!
さあ行け、我が部下アルテミスおよび戦闘員たちよ!』
広間の左右の石の扉が開く。中からハデスの戦闘員たち、ナイフを持った凶霊団たち、
弓矢を構えた凶霊団たちが現れ契約者たちに向かって突撃してくる。
「えーい!私の恋のためにやられてくださいっ!」
凶霊団たちに紛れて現れたアルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)は魔剣ディルヴィングを握り締めて
九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)に斬り掛かった。
ローズは後ろに回避、彼女の目の前スレスレで魔剣ディルヴィングが空を斬った。
アルテミスは何度も何度も容赦なく斬り掛かる、ローズは斬撃を回避していく、そしてまた一歩後ろに下がったとき足の下でカチッと音がした。
するとたちまち青白いオーラが昇ってきてローズの姿はどんどん薄れ消え去ってしまった。

「ローズちゃん!おーっと危ないよ!」
騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は襲い掛かるナイフを回避して反撃すると凶霊団は「どあああっ!」叫び声をあげて壁までふっとんだ。
「うぐおおおっ!だあああッ!負けるかー!」
だが、敵は倒れても立ち上ってくる。
「なんだか敵さんたちすっごく元気。これってもしかして士気高揚……なのかな?」
何処かに指揮官がいてスキルの士気高揚を発揮しているのだろう。指揮官さえ倒してしまえば、彼らの士気は崩れ去るはずだ。
矢が飛び乱れる中、詩穂は装備していた青のリターニングダガーを手に取った。彼女は実践的感覚を用いてリターニングダガーを投げる。
青の軌跡を描きながら天井に直撃。天井が崩れそこからドクター・ハデス(どくたー・はです)が落ちてきた。
落下したハデスは床にベタリと潰れるが、すぐさま立ち上がって駆け出した。
「あ!おいハデス様が逃げるぞ!」「ま、マジでか!えーい指揮官抜きで俺達雑魚が勝てるかよ!」
士気高揚の効果が切れるとハデスの部下と凶霊団たちも逃げ出していく。

「やるではないか!だがオリュンポスの幹部の逃げ足を見くびるな!」
「いかにも小物の捨て台詞だね。でも正義の見方だって見くびっちゃいけないよ成敗してあげるんだから!」
詩穂はポイントシフトでハデスを捕まえようとするが、
「とあー!じゃじゃじゃじゃ、邪魔させません!」
だが、アルテミスのスキル正義の鉄槌が飛んできて詩穂は咄嗟にガードした。
「さすがアルテミス・カリスト!後でジュースを奢ってやろう!だがひとまずは戦略撤退だ!」
ハデスは駆け出した。だがそう上手くいかない。
女神像の根元に生えていた緑の蔦(ツタ)が突如増殖し始めた。
どんどん急成長しいく蔦は逃げ出すハデスと、驚いているアルテミスに絡み付いて2人の体の自由を奪ってしまった。
「おっと安心してくれ俺は暴力は嫌いだ。やっぱり平和が一番。2人ともそう思うだろ?」 
現れたのはエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)だった。
エメラルドセイジを持ったエースは蔦に縛られて動けなくなった2人を見てにっこりと笑うのだった。