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猛女の恋

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猛女の恋

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16・終焉

 カノンが傷の手当をすませ、ルカルカに手伝ってもらって、教導団の制服に着替えてきた。
 校門まで来たカノンに、ミルディアが手を差し出す。
「いーい?あたしは見た目が良くなくっても、そのまっすぐな瞳とその小憎らしい声が好きなんだから、また裏技なんて使ったら承知しないからねっ!」
 亜津子(カノン)を知っているミルディアは、その優しさを知っている。ライバル宣言だ。固い握手を交わす。
「ま、これも青春の一ページってことでしょうね……」
 ミルディアを見守っていた真奈は事件が解決して安堵のため息をつく。

「カノンさん…でしたね。貴方は間違っています。静香様は本当の姿の貴方のままでも御会いしてくれる御仁ですよ。これからも百合園に遊びに来てください」
 リセリナはエールを送る。頷くカノン。
 日奈々もカノンの腕をとって、
「私もそう・・・思ってますよぉ・・・静香校長・・・見た目で・・・人を、判断する人・・・じゃないと、思いますよぉ・・・ありの、ままの、自分を、ぶつけられれば、きっと、上手くいくですよぉ…」
「ありがとう」
 感謝の意味をこめて、日奈々の肩を抱く。
 悠希が駆け寄ってきて、
「これからは…友として、ライバルとして、共にありましょう(微笑)」

 ウタを運んだベアは、
「恋は当たって砕けろ!・・失敗したっていいんだ、安心しろよ。どんな結果でも酒をいっぱい奢ってやるからよっ。今度悩んだら自分を呼べ、相談乗るぞ」
 男気を見せる。マナも、
「私とウタさんは、友達になったんだよ。小型飛空艇のなかでね。今度は楽しいことしようね、みんなで一緒に遊ぼう、ね、カノン!」
 カノン、二人と固い握手を交わす。

 ちょっと辛口だけど・・・と ユインが口を開く。
「恋は盲目…カノンさんは周りが見えなすぎて皆に迷惑かけたこと、反省して欲しいな〜。そうすれば、新しい恋がきっと来ると思うんだ」
 カノン頷いて、
「助けてくれてありがとう」
 両手で握手する。

 オウムを追ってきた一団、マルハレータと戦った生徒たち、百合園でカノンを助けてくれたみんな、それぞれにお礼をいうカノン。
 静香は少し離れた場所で、カノンを見ている。横に、ラズィーヤが立っている。
「本当に好きになったのですか?静香さん」
 ラズィーヤの問いに、静香は答えなかった。

 皆より少し遅れてロザリィヌが校舎から駆け出してきた。カノンの前まで歩み寄ると、小さなリボンのついた紙袋を差し出すロザリィヌ。
「差し上げるわ。私の口紅よ。今のあなたもとっても綺麗ですわ。自分で化粧が出来るようになれば、わたくしのように綺麗になれますわ。おほほ!貧乏なわたくしにとっては大奮発ですのよ・・・これでお別れなんて、さびしいわ、大好きよ、カノン」
 カノンに抱きつくロザリィヌ。

 カノンを囲む生徒たちがカノンに声をかける。
「また会いましょう」
 ゆっくり右手を胸に当てるカノン。イエスの合図だ。
 
 皇甫とルカルカが付き添い、カノンはシャンバラ教導団に戻る。
「ことの顛末は皆に知れている。大人しく軍法会議にかかるよ。懲罰部隊入りだろうな。迷惑をかけた」
「大丈夫てすぅ、私たちが守りますぅ」
 皇甫がカノンの肩をポンと叩いた。

 ヴァーナーが去っていくカノンの背中に叫ぶ。
「おねえちゃんの瞳ってとっても素敵です。それに綺麗な声・・・良かったら今度歌を教えて下さい」


 全てが終わった・・・事件に関わった生徒が皆でカノンを見送って家に戻る。




 人気のなくなった校門に、イリーナが現れた。
「友を見捨てて逃げるわけにはいかぬ」
 一旦は逃げたイリーナだったが、友を案じて戻ってきたのだ、
 そこに確保されていた、秘密結社ネガシエイターの面々が現れる。武がイリーナの背中を叩き、
「我われが悪意がないことは、向こうもお見通しだぜ。全員無罪釈放だ。愛ゆえに行き過ぎてしまう気持ち、カノンだけじゃなく、俺たちもだったのかもな」
「本当に・・・」
 イビーが中型〜大型程度の二輪車に変わった。その背中に武が乗る。
「さ、俺たちも帰ろうぜ!」
「シャーロット、よく頑張ったぞ」
「すみませんっ、お力になれなくて・・・」
にこやかに笑うシャーロットの顔には陰りはない。

担当マスターより

▼担当マスター

舞瑠

▼マスターコメント

 始めまして、舞瑠です。切ない恋の行方ですが、皆さまの熱い想いが伝わって、
悲しい結末を避けることが出来ました。
今後とも宜しくお願いいたします。