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闇世界の廃病棟(第2回/全3回)

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闇世界の廃病棟(第2回/全3回)

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第2章 謎の看護師を探し求めて・・・

-PM18:30-

「病棟に来た人々について聞こうと思ったが見つからないな」
 患者がどうなってしまったのか看護師の幽霊に聞こうと、シルバ・フォード(しるば・ふぉーど)はAエリア内を探し歩いていた。
「こっちの方にもいませんでした」
 自動ドアから出てきた雨宮 夏希(あまみや・なつき)は、フルフルと首を左右に振ってしょんぼりした顔をする。
「まだ時間はあるんだ、気長に探そう」
「あれっ・・・向こうの方に誰か・・・・・・」
 夏希が指差す方を見ると、黒いナース服を着た女の姿が見えた。
 急いで駆け寄ろうとするが、女は姿を消してしまう。
「近くにまだいるかもしれない・・・探そう!」
「向こうにいますよシルバ」
 カーペットの床を歩いていくと、また女の姿を見つけた。
「よし追いかけよう」
 左側の角を曲がると、再び女は姿を消してしまった。
「右の方に行きましたよ!」
「今度こそ・・・。待ってくれっ、俺たちはおまえの話を聞きに・・・!」
 また看護師が消えてしまう前に、シルバたちは全力で駆ける。
 体重センサーで開くはずの自動ドアが勝手に開き、彼女はその部屋へ入っていく。
 女が入っていた部屋へシルバたちが駆け込む。
「やっと追いついた・・・。―・・・なぜおまえは成仏できないんだ?」
 シルバの問いかけに女は答えようとしなかったが、彼はその場を動かずしばらく待った。
「俺たちは興味本意だけで聞いているんじゃないんだ・・・信じてくれ・・・」
「―・・・私・・・は・・・あの・・・・・・人を・・・止め・・・・・・・・・」
 看護師は聞き取りづらい小さな声で話し始めた。
「私の・・・・・・私の・・・せい・・・で・・・・・・」
「おまえのせい・・・?いったいどういうことだ・・・それにあの人って誰のことなんだ?それと病棟に来た人々たちが実験材料にされたのと何か関係があるのか?」
「その原因の誰かを止めたいんですよね・・・それは私たちが知っているひとですか?」
 シルバと夏希の問いかけに、女はコクリと頷いた。
「いったい何の実験材料に・・・」
 彼が言い終わる前に看護師は本棚の方へ視線を移し、棚に納まっていた1冊の本がドサッと床に落ちる。
「この本は・・・あっ!」
 本を拾い上げると女は姿を消してしまった。
「それに何か書いてあるんでしょうか」
「読んでみるか・・・」
 埃を手で取り払い、シルバたちは本を読み始めた。
「―・・・なるほどな・・・死んだ女と再生するゴースト・・・・・・。これは死者を甦らせる実験かもしれない」
「もしかしてあの女の人をですか?」
「あぁたぶんな。そのための実験材料に使われていたのかもな」
「生前のように生き返らせることに成功した人なんているんでしょうか」
「いないからこうやって大量の人々を使っているんだろう。さて・・・この実験を止めるにはどうしたらいいか・・・」
 本を睨むように見ながら、シルバたちは考え込んだ。



「資料らしいのが見つからないな・・・」
 目ぼしい資料を探せなかった東條 カガチ(とうじょう・かがち)はBエリアへ移動しようとエレベーターの方へ歩く。
「や、あのね兄貴。何つーかこう・・・臭うんですよ」
 カガチと一緒に行動している七枷 陣(ななかせ・じん)が、彼の傍で考え込むように言う。
「臭う?ニンニクだとか食ってきてないけど」
「そっち違いますっ!なんたら倶楽部的なフラグ臭っぽいのが・・・」
「もしそんな倶楽部に入ったら、命いくつあっても足りなそうな倶楽部活動になりそうだ。常に呪われっぱなしの状態じゃないか」
「幽霊様はどこにいるのでしょうか」
 小尾田 真奈(おびた・まな)はキョロキョロと辺りを見ながら霊の姿を探す。
「下りて30分・・・上って30分・・・・・・」
 エレベーターの壁に寄りかかり、陣たちはエリアを移動した。