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デーモン氾濫!?

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デーモン氾濫!?

リアクション

 凶司の様子がどうもおかしいことに、セラフは気がつく。
「凶司ちゃん、どうしたの!? は、これは…」
 凶司の周りに女悪魔の幻影がまとわりつき、すっかりとその凶司は蠱惑されていたのだ。悪魔召還プログラムを確保した凶司は、それを悪用してハーレムを作りだそうとプログラムを書き換えていたところ、逆に自分がプログラムに取り込まれてしまったのだ。
「バカ凶司…!!」
 セラフは凶司が女悪魔の幻影に取り込まれてしまう前に、凶司からパソコンを取り上げて、必死にパソコンを操作した。
 常に凶司の側に居たためか、凶司がやろうとしていたことは解っていた。
「これね…いけ!」
 既に用意されてあったプログラム破壊データをパソコンのキーをびしっと叩くと、ホストコンピュータに送り込む。すると凶司を惑わせていた女悪魔達が凄まじい悲鳴を上げ、消滅してしまう。
「…やったわ…」
「ん、な、なにがあったんだ…?」
 ほんのりと頬を赤らめ、気持ち上気している凶司が目を冷ますと、セラフが自分のパソコンを持っていることにかっと刮目する。
「もしかしてセラフ、僕のパソコン使った!? ええ?ちょっと、もしかして、悪魔召還プログラムに破壊データを送ったの!? 僕のハーレム化の夢が…」
「このエロガキが!」
 安堵すると共に怒りがこみ上げたセラフの鉄拳が凶司にお見舞いされたのは言うまでもない。

場面は再び、3階、パソコンルーム

「誰がこんなことを」
 デビルハッカーズの面々は顔に皺を寄せ、円たちはあまりの匂いにハンカチなどで顔を覆っていた。
 めちゃくちゃになったホストコンピュータを眺めながら、幸はサーバルームのことを思い出していた。
「もしかして、あそこから悪魔召還プログラムを削除するデータを送り、そのついでに電圧を上げるプログラムを送ったというわけですね…さすがは、湯上 凶司…」
 にやりと幸は笑う。するとアスクレピオスが薙刀を振るい、徹底的にパソコンルームのホストコンピュータを破壊した。
「なにをするんです? ピオス先生!」
「火を吹いたとはいえ、恐ろしげなプログラムが入っていたものは物理的な破壊が一番だぜ!」
 楽しげに破壊を繰り返すアスクレピオスの姿を見つめながら、デビルハッカーズは「作戦失敗というわけだ」とふん、と鼻で笑い、オリヴィアが「百合学園でミステリアスな悪魔が暴れるのもみたかったわねえ〜」など不穏なことを口にして笑っていた。


 永太や太郎、武尊たち、血をワインに変えられていた生徒や教師たちも、サガンが消滅したことで呪いが解け、もとの体に戻ることができた。精気を吸い取られていた生徒達の顔色も血色が戻ってくる。

「う、うう、自分は…どうしたんでしょう…」
 永太が目を開けると、そこにはザイエンデの姿があった。
「…もとに戻ってしまったのね? 永太…残念だわ。ワインがたっぷり飲めるかと思ったのに」
「ザ、ザイエンデ?」
「永太の血のワイン、美味しかったでしょうね…」
 ザイエンデの瞳がすうっと細くなったかと思うと、永太は背中にぞくりと悪寒が走ったことに気がつく。


エピローグ


「環菜校長、これを」
 トライブがUSBをこっそり環菜に手渡す。
「これは…?」
「パソコンルームで、教導団や百合学園の連中と揉めたとき、隠れてUSBメモリでホストコンピュータからデータを取り出そうとしたんですが、上手くいってるかわかりません。ただ、悪魔召還プログラムなんて恐ろしい物がもし、入っていたら俺の手には負えない。環菜校長に渡すのが一番だと判断したんで」
「正しい判断だわ」
「校長、俺は『シリウス』さんとやらが怪しいと思って調べてみたんですが、さっぱり解らなかった。どんな人なんですか」
「『シリウス』さんを疑ったの? このタイミングでなければ、あなたは私に撲たれても仕方なかったわよ」
「そうなんすか」
「それにいずれ『シリウス』さんのことは解るわ」

 陽太は真相を環菜に聞いたが、やはり上手くはぐらかされてしまった。
 
 エリオットはメリエルのためにハンドヘルドコンピュータを報酬として貰えないか、環菜に願い出た。
「残念。そればかりはできないわ。でもあなたたちや他学園の生徒のお陰でアキバ分校は助かったわ。礼を言います」



 ウィングとアムニスによって魔法陣に足止めされたアロケルはその後、環菜の指示で特別な銅の筒に封印され、回収された。
 その後、隠密裏に研究サンプルとして保管されることとなったが、そのことを知っている者は環菜以外、皆無だった。
 
 真相を知った環奈は東洋魔法のプログラム化のうち、式神系の魔法は悪魔を召喚してしまう恐れがあることから開発を中止し、今回の件を闇に葬りさってしまったのだ。
 


 アキバ分校の事件の後片付けもほぼ終わったある日の夕方、環菜は、蒼空学園の校長室で外の景色を眺めていた。
「今回は災難だったな」
 そこに涼司が入ってくる。
「高橋ツゲ雄にも悪いことをしたわね…彼の心に悪魔がつけいるなんて、思いも寄らなかったわ。それに他学園からも説明を求められるでしょうね。とは言え、真相を公表できるわけはない。このパラミタで学園を運営していく…その難しさは解っていたつもりだけど、まだまだ私も甘いってことね」
「お前が弱音を吐くなんて、明日には大砲でも振ってくるんじゃねえのか」
「そうかもね。…蒼空学園校長として、そしてシャンバラ再興を願うものとして、私の心の内は涼司、あなたみたいに限られた人にしか明かせないわ。…ハンドヘルドコンピュータが今後、『クイーン・ヴァンガード』と呼ばれる特殊部隊の装備となると言うことも。そしてそれにシリウスが関係してくることも…」
「…そういうことか…まあ、でも俺はバカだから、すぐに忘れちまう。遠慮しないで、俺に愚痴でも文句でもいいな」
「あなたらしいわ、涼司。でも、大事な情報まで忘れないで欲しいものだわね」
「了解、御神楽環菜校長」


 


担当マスターより

▼担当マスター

杉井幾

▼マスターコメント

こんにちわ、ゲームマスターの杉井幾です。お楽しみいただけましたでしょうか?

今回はソロモン72柱、すなわち悪魔について今回は書きました。パラミタに悪魔。…悪魔は時ところを選びませんね。出ものデーモン、時を選ばず。夏場に大活躍するあやつらのようです。そう、頭文字「G」のあの黒光りするボディのですよ…

閑話休題。

また、GOETIAについてですが、「ゴエティア」よりも「ゲーティア」としての馴染みが私はありましたので、そのように記述させていただきました。
今回もサガン、アロケルの描写にあたって色々調べたのですが、召還の方法などばかりが気になって、結局、ストーリー中に反映させられませんでした。悪魔を召還するにはプログラムのように簡単にはいかないようですね…何より広い場所が必要でした…


また、『シリウス』や、『クイーン・ヴァンガード』、『ハンドヘルドコンピュータ』についても徐々に他マスター様のところでも明かされていくことになると思います。

今後の予定ですが、あるシナリオを用意しております。
私としても初めての試みですので、ドキドキしております。宜しければおつきあい下さい。

それでは今日はこの辺で失礼します。