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デーモン氾濫!?

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デーモン氾濫!?

リアクション

「デ○チルなんて邪道だもん! ペル○ナは個人的には好きだけどあれはどう見てもス○ン○! メ○テンはシリアスでダークな雰囲気なのがいいの! さて!悪魔退治よ! エリオットくん!」
「パクリネタ発言」で封印された過去(本人は知らない)を持つメリエル・ウェインレイド(めりえる・うぇいんれいど)は、今日も元気に危ない発言を繰り返していた。
「メリエル、こんなところで危ない発言は慎むべきですな…それにしてもこの蒼空学園、アキバ分校に悪魔出現とは…イルミンスール魔法学校の一員としては見逃すわけにはいきませんな」
 無理矢理、メリエルに悪魔退治にかり出されたエリオット・グライアス(えりおっと・ぐらいあす)だったが、眼鏡の奥の瞳には強い信念の光が宿っている。
「罪も無い一般人を襲う悪魔など許しておくわけにはいかぬ! このドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャが1匹残らず退治してくれようぞ!」
 同じくメリエルに無理矢理連れてこられた別名「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」、本名アロンソ・キハーナ(あろんそ・きはーな)はインプ達を見つけると、槍を構えてその前で堂々と名乗りをあげた。
 その声にインプたちが一斉に振り向いたとき、アロンソは「とつげぇきぃぃー!!!」と無謀にもインプの群れに飛び込んでゆく。しかし、それはアロンソの作戦であった。怯んだインプたちを、手両脚と肩甲骨付近に加速用ブースターをつけたメリエルが「悪魔退治! ハンドヘルドコンピュータ♪悪魔召喚RPGごっこ〜♪」と、バスタードソードで次々に斬り捨てていく。
 アロンソの背後をエリオットが全身を包む明るい緑のマントを翻しながら守り、熱線砲(ヒート・キャノン)と自ら命名した火術を繰り出して、徹底的にインプを焼き尽くしたが、教室を傷つけないよう、大技は繰り出さず、神経を使うことを忘れてはいなかった。
「どうもメリエルのテンションがおかしいですな…悪魔退治と何かを取引でもするつもりなのか…」
 アロンソは教室と何より生徒達を傷つけないよう、ディフェンスシフトを展開し、エリオットとメリエルのスキルアップにも貢献していた。
 
 
 清泉 北都(いずみ・ほくと)ソーマ・アルジェント(そーま・あるじぇんと)も一般生徒たちを逃がすことに尽力していた。
「一般生徒達の精気を喰らう事でサガンとアロケルの力が増す。倒すにはこれ以上強くさせるわけにいかないねぇ」
 蒼空学園周辺の地理に詳しい北都は、騒ぎで野次馬が集まると避難しにくいからと、誘導するメンバーといくつかのルートを割り当てて誘導してもらうことにした。
 北都は避難者の中に事件の関係者が紛れ込んでいる可能性を考え、禁猟区を張ることを忘れない。
カーマル・クロスフィールド(かーまる・くろすふぃーるど)は、生徒達の避難誘導に当たっている。
「パニックになった一般人がいては同胞も戦闘に集中出来ないわ。我を忘れた者を相手にするのは面倒だけれど……」
 さすがはシャンバラ教導団の生徒。
 パニックになっている女子生徒や、一目散に駆け出そうとする生徒たちの目の前の壁を殴りつけ、冷静さを取り戻していた。
「ヒステリックに叫べば、命が助かるのか。それにそこの生徒。次走れば命は無いぞ」
 といいながらも、怪我をした者には手早くヒールを施す優しさも見せていた。
 清泉 北都のパートナー、ソーマはパニックに陥りがちな生徒達を冷静にとりまとめるため、
「外へ出たい者はこっちへ!」
 毅然とした口調で、余計な言葉はなく簡潔に伝達することを心がけていた。
「声だけじゃ、届かねぇな…よし…」
 光精の指輪を取り出し、生徒達に行くべき道を指し示した。さすがに視覚に訴えることは効果が強く、不安げだった生徒達も光精の指輪の指し示す方向へと歩み始め、それをカーマルが上手く誘導する。
 その生徒達目掛けてインプたちが襲いかかってきた。
「割り込むなと言っている!」
 カーマルがドラゴンアーツでインプを吹き飛ばすと、丁度そこに山葉 涼司やホストPCの鹵獲に向かう連中たちが走り抜けようとする。
「おっと! カワイイ顔してやるねえ!」
 涼司は投げ飛ばされたインプをグレートソードで一刀両断する。
「静麻たちが分校の1Fのインプ殲滅に成功したらしい…! このまま俺たちは悪魔退治に向かう! あとは頼んだぜ」
「おいメガネ! 」しっかり戦えよ!! 悪魔と戦うヒーローの役を譲ってやってるんだからよ。サガンとアロケルは任せたぜ」
 ソーマの言葉に涼司はニヤリと笑う。
「メガネは余計だ、このバンパイヤが」



 浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)は校内の見取り図を御神楽 環菜(みかぐら・かんな)に要請し、それを手元に置きながら、校舎の側にある大木からスナイパーライフルのスコープを覗いていた。その翡翠の元に、一本の電話が入る。
「翡翠? 聞こえる?」
 それは翡翠のパートナー、北条 円(ほうじょう・まどか)の声であった。円はもう一人のパートナー、サファイア・クレージュ(さふぁいあ・くれーじゅ)と同じく見取り図を元に、インプや救うべき生徒達の発見のため、探索活動を行っていたのだ。
「聞こえています」
「一般生徒たちが、インプの群れにふさがれて進めないで居るわ。1階と2階の間の階段、踊り場よ」
「了解。どうやら涼司様や静麻様が逆の階段から2階に向かっているみたいだから、1階はほぼ、インプを殲滅したとみて良さそうです。とはいえ、まだ残っている可能性もあるでしょう。あなたたちも慎重に行動してください」
 翡翠はそれだけ言うと、スナイパーライフルを構え、アキバ分校の2階踊り場に照準を合わせると、インプの群れと次々と撃ち抜いていく。
 円はインプの群れから生徒たちを守り階下へ逃がすと、一撃必殺、カルスノウトを重力に任せて振り下ろす。インプたちはひとたまりもなく、悲鳴を上げることもできず、バックリと斬られてその場に次々と斃れていった。
「私達がやられてしまっては元も子もないからね…」
 一方のサファイアはナビゲートに専従。
「北条、逆の階段から山葉 たちが2階に上がっていると言うことは、インプは2階以上に潜んで居るみたいだわ。まだ生徒が残っているかもしれない。探索に当たろう…浅葱、そういうわけだから、これから2階に上がるわ」
 携帯越しに翡翠に連絡を入れると、翡翠はぶっきらぼうに「解りました」とだけ返した。しかし、翡翠のライフルの腕は二人にとって、どんな武器や言葉よりも信頼に足るものだった。


 道明寺 玲(どうみょうじ・れい)はパートナーのイルマ・スターリング(いるま・すたーりんぐ)とともに、一般生徒を退避させた後、インプが残っていないか、逃げ遅れた生徒がいないかを調べていた。
「折角玲と二人の時間を過ごしていたというのに…この怒りをインプにぶつけねばならぬでおじゃる…」
 イルマのご機嫌はかなり斜めであった。火術を使って次々、インプを燃やしていく。
「イルマ・スターリング、インプは焼きすぎないようにしておいてくれますかな。教導団に持ち帰り、調査することになるやもしれませんからな。カメラを見つけ、インプの姿を撮影するとしよう。それに怪我人も探さねばなりませんしな」
「わかりましたどす〜」
 ちょっと拗ねてみせるイルマ。
「それにしても『悪魔召還プログラム』とは。教導団から、蒼空学園に対して事の真相を問いたださねばなりませんな。そのためにも、できうる限り、調査をしておくとしますかな」


 涼司たちとともに2階に上がった「デビルハッカーズ」イリーナ・セルベリア(いりーな・せるべりあ)は、先を急ぐ涼司たち一行とはそっと距離を置き、トレジャーセンスを使いながら、部屋の一つ一つをそっと見て回る。小型飛行艇を手に入れ、何故か蒼空学園の制服を着、分校の辺りを飛んでいたところ、この騒ぎにイリーナは乗っかってしまったのだ。
「悪魔召還プログラム…蒼空学園も奇妙なものに手を出したものだな。鏖殺寺院のまねごとか。魔法をプログラムなんてインスミールも黙ってないだろうし…あんなものを召喚とは…何を考えているんだ御神楽校長は。しかし、シャンバラ教導団の一員として見過ごすわけにはいかない。上手く鹵獲して教導団へ移送せねば」
 きゅっと髪をくくり上げ、イリーナは次から次へと部屋を開けていくが、トレジャーセンスは反応しなかった。
「2階にはないのか…それにインプは3階から降りてきているようだ…」
 そう呟くと、イリーナは携帯を取り出す。
「レオン? イリーナだ。2階にはどうやら悪魔召還プログラムらしきものはない。おそらく、インプたちが3階から沸いてきていることを考えると、ホストコンピュータは3階だ。蒼空学園のメガネたちが、先陣を切って戦っている。その後を付いていった方がいいだろう。ああ、『佐野っち』と『ソルたん』には私から連絡しておく。…なぜ、『佐野っち』に『ソルたん』か、だと? 私にはついつい、勝手にあだ名を付けるクセがあるからな。お前にも更に複雑なあだ名をつけてやろうか? レオン」