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リアクション
「轟さんはケーキを作ったことってあるんですか?」
「いや、お菓子作りとかの経験は0だ!」
真菜の質問に轟 雷蔵(とどろき・らいぞう)は胸を張る。
「それでは、私たちとご一緒にいかがですかぁ?」
雷蔵と真菜の会話を聞き、手をあげたのはメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)だった。
「あ、いいんですか、メイベルさん」
「はい。お菓子作りは得意ですので〜。1からでも教えられますよぉ」
「それは心強いです。よろしくお願いいたしまーす!」
真菜が笑顔で、メイベルに雷蔵を任せる。
「おう、よろしくな! と、女の子ばっかり、だな」
メイベルに教えてもらう先客として、同じ百合園の東雲 秋日子(しののめ・あきひこ)がいたのだ。
しかし、秋日子は真剣らしく、雷蔵のことが目に入っていないようだった。
「……と、ここでお砂糖を適量……」
適量と呟きながら、秋日子は砂糖壺に入った砂糖を一気に全部入れる。
「あ、その……適量……」
セシリア・ライト(せしりあ・らいと)が何か言いたげだったが、秋日子が不思議そうな顔をした。
「適度な量、だよね?」
「……それが適度なんだ」
適量と書いてあるのだから、間違えではないのだけど〜……。
セシリアがどう説明したものかと考えていると、さらに秋日子が進めていった。
「バニラを少々、と。これくらいかな? あ、足りないかも……」
足りないかも言いながら、秋日子はどんどんバニラの瓶を振り……気づくと瓶が空っぽになっていた。
「……」
セシリアがどう言えば通じるかと悩み、秋日子のパートナーである要・ハーヴェンス(かなめ・はーべんす)に視線を送った。
しかし、要は端正な表情を少し曇らせ、ゆっくりと首を振った。
「自分ではもう……秋日子くんを止めることはできません……」
今までもなんとか変なものは入れないようにと注意してきた。
「ちょっと前にしょうゆケーキってテレビで紹介してたよね? ……これ、しょうゆ入れたら美味しくならないかな」
とか言って醤油瓶を取り出す秋日子もキチンと止めた。
しかし、一応、菓子材料らしきものを手にするときは止めなかったので、どんどん材料過量になっていた。
「おう、それでどうしたらいいんだ」
雷蔵はと言うと、真菜が用意した材料を見ながら、じっと待っていた。
「あ、はい、何を作られますかぁ?」
「定番だがショートケーキだな。うちのパートナーに持って帰ってやって一緒に食べたいんだ」
「そうですかぁ、かしこまりました。それでは、まずはスポンジを作りましょうぉ」
メイベルに教えられ、雷蔵は真剣な面持ちでケーキ作りを始めた。
経験0ということで、教わるとおりに素直にやる。
「あ、あ、あんまり混ぜすぎるとダメですよぉ」
時々真剣すぎて、やりすぎそうになるのをメイベルが止めながら、ケーキ作りが進んでいった。
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