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夢のクリスマスパーティ

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夢のクリスマスパーティ
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「佐々木弥十郎さんの夢を……見せてください」
 水神 樹(みなかみ・いつき)は香鈴にそう願い、瞳を閉じた。
 イルミネーションの輝く街で、樹は弥十郎を待っていた。
「早く会いたい……な」
 輝くツリーを見ながら、思わず想いを口にする。
 すると、後ろから抱きしめてくる手があった。
「あ……」
 樹が後ろを向くと、そこには弥十郎の姿があった。
 2人は一緒に街を見て回り、そして、夜になって互いの帰宅の時間が来て……名残惜しく思いながら別れを告げようとした。
「それじゃまた……あっ!」
 頭を下げかけた樹の体を弥十郎が抱き寄せ、おでこにキスした。
「一緒にいられなくて……ごめんね」
「大丈夫です。謝らないで」
 困ったように謝る弥十郎の体を、樹はぎゅっと抱き返した。
 そこで樹は目が覚め、それとほぼ同時に、携帯が鳴った。
「あ……」
 弥十郎用に設定された着メロが聞こえ、急いで樹がメールを見る。
『一緒にパーティに行けなくてごめんね。今度、約束守るから……』
 弥十郎からのメールに樹は暖かい気持ちになりながら、催眠術を終えたのだった。


「ん……うううん……」
「大丈夫ですアルカ? 想さん、想さーん」
 うなされる幻時 想(げんじ・そう)を起こそうと、香鈴は想を揺り動かしたが、まったく起きる気配がない。
 想はちょうど、夢の中で告白をしているところだった。
 たくさんの想いを詰めて言った「好きです」
 しかし、告白を受けた女の子は可愛らしい目に不満の色を浮かべ、言い放った。
「鏡を見て来たら? この女顔!」
 告白に返ってきたその言葉に、想は衝撃を受けたが、衝撃はそれだけで終わらなかった。
 想が告白したことがクラス中にバラされ、次の日から「あいつの隣に行けよー」とか「女が女に告白しちゃ駄目だろー」とか、からかわれて、想の中学生活は針のむしろとなったのだ。
 自分がからかわれる様子を、想が告白した女の子は面白そうに見ていて。
 その笑いが想は忘れられない。
(もう……女なんて信じない……!)
 そう誓ったときの思いとともに、想は目を覚ました。
「平気ですアルカ? 女の子が苦しんでるのを見ると、心配ですアル」
「……うん、平気です」
 そう答えながら、想は心の中で香鈴を嘲っていた。
(女なんて馬鹿だ。ちょっと女装したくらいで、誰も僕を男なんて気付きもしない)
 いつか女好きの女が告白してきたときに、自分の性別を教えてやって逆にショックを与えてやるのも楽しそうだ、と想は意地悪いことを想像していたりした。
 しかし、それと同時に本当に好きな誰かが出来たら……と心の奥底で思っていた。
 想の何かを感じたのだろう。
 香鈴が想の背を叩いて、優しく言った。
「何かあったら蒼学に来てみてくださいアル。占い、しますアルヨ」