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リアクション
第1章 孤島へ潜入
パラミタ内海のある孤島に要塞のような施設が設立し、そこで謎の集団が生物の魔力を使って何かの実験を行っていた。
その集団の中には廃病棟で島村 幸(しまむら・さち)たちが捕まえたはずの姚天君(ようてんくん)がいるようだ。
彼女は仲間の十天君の1人、董天君(とうてんくん)の手引きにより脱獄してしまったのだった。
なんとか姚天君を助け出そうと、経歴詐称をして警察内部に侵入しようと考える。
持ち前の身体能力と頭の良さで合格してしまった。
侵入した彼女は言葉巧みに看守を騙して合鍵を作り、看守が交代している間に連れ出す隙を窺う。
囚人服のまま外へ出ると見つかる危険があると、予め制服のサイズが合わないなど言い、もう一着警察服を入手して着せさせ脱獄に成功してしまう。
多くの人々の命を使い廃病棟で完成させた生物兵器を、蒼空学園と波羅蜜多実業高等学校の生徒たちに倒されてしまった。
懲りずに生物実験を再開した姚天君は、パラミタ内海の孤島に施設作ろうと自分たちの便利な道具として大量のゴースト兵を作りだす。
彼女たちはある実験を行うために必要となる強力な魔力を求め、傷を負ったリヴァイアサンを見つけて目をつけた。
「怪我をしているようだな。はははっ、ちょうどいい。あいつを捕まえて魔力を奪い取っちまおう!」
董天君はケラケラと高笑いしながら氷術を使い、捕獲した水竜王を施設へ連れ帰る。
その事件を知ったオメガ・ヤーウェ(おめが・やーうぇ)の心の中が悲しみで溢れ、今にも泣きだしてしまいそうな表情で絨毯の上に座り込む。
「わたくしたちを助けるためにドッペルゲンガーの森で傷を負ってしまい、捕まってしまったのですわね・・・」
協力者の生徒たちと行動中に怪我を負い、パラミタ内海に戻った時に捕まってしまったレヴィアの正体はリヴァイアサンだった。
助けを呼ぼうにもオメガを助けるために各学園に手紙を飛ばしたミニたいふうたちの力は回復しきっていない。
「どうしましょう、これでは助けを呼ぼうにも・・・。あっ、あの方がいますわ!」
レヴィアが話してくれたかつてパラミタ内海にいた友人の名前を思い出し、ミーミとミニミニにイルミンスールの森まで手紙を飛ばしてもらった。
手紙を読んだ妖精アウラネルクはすぐに事態を把握して協力者たちを集め始めた。
「大変ですっ、オメガちゃんのお友達が捕まってしまいましたぁあ!」
レヴィアが捕まったことを知った広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)は、大慌てでパートナーと共にパラミタ内海の近くへやってきた。
「ここから先に孤島があるのよね?そこの要塞みたいな施設のところに捕まっているらしいわ」
ウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)が睨むように孤島がある方角へ視線をあてる。
「えぇ、そのようです」
隣にいるウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(うぃるへるみーな・あいばんほー)はウィノナの方に顔を向けてこくりと頷く。
「たしかそこにゴーストたちもいるんですよねぇ・・・。うぅ・・・怖いですけど、悲しんでいるオメガちゃんのためにも頑張るですっ」
救出の手引きをしようとファイリアは恐怖心を押さえ込む。
呼びかけに応じて集まった生徒たちは十天君がいる孤島へ向かった。
「これで機体から落ちないはずだよな」
天城 一輝(あまぎ・いっき)は太陽がまだ昇らない夜明け前に、機関銃を小型飛行艇のハンドルの前にセッティングをする。
「そろそろ行くか」
携帯電話に表示されている時刻を確認し、小型飛行艇に乗り島の東側へ飛ぶ。
「位置的に敵地から見えないはずだ・・・」
島から2km離れた地点で止まり、朝日が昇り始めるのを待った。
「後もう少し・・・よし時間だ・・・」
ハンドルを握り朝日を背に敵地へ向かい上陸する。
「これくらい作ればいいか」
兵たちに気づかれないような位置に、ほう塁を構築していく。
「そこにいるのは誰だ!」
「な・・・日光を浴びても平気なのか!?」
茶色の瞳を目を丸くし驚愕の声を上げた。
「この野郎、待ちやがれー!!」
捕まってたまるかと小型飛行艇に飛び乗りハンドルを握る。
「くぅっ、無茶苦茶撃ってくるな・・・」
機関銃の銃弾に撃ち落されないようにかわそうと施設の周りを旋回する。
「何だこれは?さっきのガキが作ってたやつか」
せっかく構築したほう塁が銃弾で壊されてしまう。
あちこちほう塁があるのに気づき、仲間を呼び集め銃で破壊していく。
「壊されてしまったが・・・・・・それに気をとられている隙に門を破壊してしまおう」
東門に照準を合わせて狙い撃つ。
「さすがに一度じゃ破壊しきれないようだな」
同じ箇所を重点的に狙いを定める。
「ほう塁は壊されてしまったが結果オーライだな。とりあえずこれで侵入しやすくなったようだな」
一輝によって門が破壊されて周辺は大騒ぎになった。
妖精の友をほうっておけないと、清泉 北都(いずみ・ほくと)は潜入用のボートを作ろうと森の中で手頃な木を探していた。
「どの木がいいのかな?」
首を傾げてアウラネルクの方を見る。
「ふむ・・・波に耐えられる素材でないとすぐに沈んでしまうゆえ、このレッドシーダーがよいな」
妖精はボート用に手頃な木の根元の少し上を氷術で凍らせた。
「それじゃあオレが作ってやるか」
凍った部分を白銀 昶(しろがね・あきら)が鉄甲をはめた拳で殴り倒す。
海水が入り込まないように、木の皮などを隙間に埋めていく。
「よし、これでボートの準備はオーケーだな」
「大丈夫そうだね」
沈まないか北都は試しに海にボードを海に浮かべてみる。
「たしかここから15km先だよな?」
ボートに北都を乗せて昶はオールを手に漕ぎ始めた。
「先に行った薔薇の学舎の生徒さんは、この木を使ってボートを作ったようですね」
手作りボートで孤島へ向かう北都たちを見た幸が、東條 カガチ(とうじょう・かがち)の方へ顔を向けてじーっと見つめる。
「分かっているよ。そんなに見つめなくても用意してきたって・・・」
凄まじい圧力のある視線を気にしながらカガチはボートを海に浮かべた。
「じゃあこれよろしくお願いしますね」
島村 幸(しまむら・さち)から問答無用で“漕ぎなさい”とオールを渡される。
「それにしてもこれだけ人数いると漕ぐのも大変だなー・・・」
一緒に乗っている生徒たちへ視線を移す。
「―・・・3kmくらい漕いだから、そろそろ誰か優しい人が交代してくれないかな・・・なんて・・・・・・」
交代してほしそうに言うが誰一人として代わろうとせずカガチから目を背ける。
ちらっとリュース・ティアーレ(りゅーす・てぃあーれ)の方を見ると眠っているフリをしていた。
「ねぇカガチ・・・」
「(え・・・まさか、さっちゃんが交代してくれるのかな!?)」
「無駄口を叩く暇があったら、一生懸命漕いでくださいね。私は早くあの要塞のような施設に行ってみたいんですよ」
一刻も早く面白いものが見たい彼女は、アルティマ・トゥーレで作った氷のメスをちらつかせ、休憩したいカガチの淡い期待を一瞬にして粉砕した。
「はーい、漕ぐよ・・・喋らないで漕ぐからその危ないの捨ててくれよ。(あぁ腕が痛いよ・・・)」
しょんぼりとした表情をし、1人で漕ぎ続けた。
「他の人はこの木を使っていたっけ?」
妖精に聞いて北都が選んだ同じを木を使おうと佐伯 梓(さえき・あずさ)が根元を氷術で氷らせた。
「うむ・・・・・・」
コクリと頷いたオゼト・ザクイウェム(おぜと・ざくいうぇむ)は高周波ブレードで斬り倒す。
「(本来、武器というものは・・・こういうことに使わないだろうが・・・・・・)」
斬り倒した大木をボートの形にする。
「はい、よろしく」
「―・・・・・・」
梓に笑顔でオールを渡され、イヤと断れなかったオゼトはしぶしぶボートを漕ぐ。
孤島の岸に船をつけ、オゼトは流されないようにロープで結ぶ。
「うぁ服がびしょびしょだー」
荒波を被った梓はびしょ濡れになってしまった。
先に上陸したオゼトが、兵たちが潜んでいないか確認する。
岩場にいる梓を見下ろして、無言でいなかったと伝えた。
崖からロープを投げ渡し、梓を引っ張り上げる。
2人はブラックコートを纏い施設へ向かった。
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