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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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第6章 絆の力で道を開け!

 10個のボタンを同時に押さないと開かない扉の前で、なんとか開けようと生徒たちは必死に踏む。
「開きませんね」
 ザカコがカチカチとボタンを踏んでみる。
「よほど息が合わないと押せないな」
 強盗 ヘル(ごうとう・へる)も彼の隣で協力してボタンを踏んだ。
「何回押せば開くんでしょうか・・・」
 むきになって翡翠が押す。
「ラキちゃん、せーので踏もう」
「うん!」
 息を合わせて歌菜とラキシスは床のボタンを踏む。
「開かないね・・・」
 失敗してしまいラキシスはしょんぼりとした顔をする。
 歌菜たちはもう一度息を合わせてやってみるが扉は開かなかった。
「誰かと交代してやったほうがいいかもしれないな」
「そうね・・・」
 ボタン押しを何度も失敗してしまいエースとルカルカは顔を見合わせて言う。
「どうせなら絆の高い人たちが踏んだほうがいいかもしれないな」
 エースの提案に生徒たちが頷く。
「それじゃあ俺とカガチが右から1つ2めを踏むよ」
 椎名 真(しいな・まこと)とカガチの2人は端っこの2つをボタンの前に移動する。
「カガチ先輩の隣は私と、大和ね」
「歌菜、一緒にスイッチを踏みましょう。大丈夫、俺がついています」
 ボタンを踏もうと歌菜はカガチの隣に行き、その左隣に大和が行く。
「全部同時に踏まないと駄目なんだよな?じゃあ俺はクマラと」
「タイミングと呼吸を合わせ、読みあって操作するぞ」
 確実に開けようとエースとクマラの隣に、夏侯 淵(かこう・えん)たちが並ぶ。
 息を合わせて10個のボタンを同時に踏んだ。
 カチッと鍵が開いた音が聞こえた。
「開いたわ!」
 やっと扉が開きルカルカが嬉しそうな顔をする。
「他にも生徒が来ているのかしら?」
 すり足で近づく音に反応し、後ろを振り返った。
「いや・・・人とは違うな・・・」
 殺意に満ちた気配にダリルは試作型星槍を握り締める。
「さっき封じたはずのゴーストがもう動き出したようですね」
 大和たちが氷の中に封じたドールが硫酸を発生させ、氷を溶かしてしまった。
「ところでこのゴーストさんたち、なんか見覚えあるんだよねえ」
「・・・あいつら、あの時の?まさか、な・・・。―・・・」
 同じようなことを呟いたカガチの方を見て、それがそうだと真は確信する。
「ここは俺たちに任せて先に行ってくれ!」
「分かりました・・・」
 カガチと真に任せ、大和たちは地下2階の階段を駆け降りていく。
 ショットガンの銃口を向け、クロスファイアの十字の炎でゴーストの身体を焼く。
 金きり声を上げながらゴーストは触手を伸ばし、ショットガンの銃身に巻きかせる。
「たしかこいつ1体でもかなり厄介だったよな」
 真は再生し始める亡者を鉄甲で殴りつける。
「なんかいっぱい足音が近づいてきたけど!?」
 触手を引き千切ろうとカガチが悪戦苦闘していると、靴音が近づいてきた。
「侵入者め、覚悟しろ!」
 1階からやってきたゴースト兵がいっせいに機関銃を向ける。
「降参!!参った!毎度ボロ雑巾になるのはごめんだ!」
 深手を負わされないようにカガチは素直に銃を手放し降伏する。
「お前、人間だな?その程度で区別がつかないとでも思ったのか」
 体温を無理やり氷術で下げ、服にゴーストの血をつけている真も捕まってしまう。
「(ここは大人しく捕まったよさそうだな・・・)」
 布で目隠しされた上にロープと鎖で簀巻きにされ牢獄へ連れていかれた。



「カガチ先輩たち大丈夫かな・・・」
 不安そうに歌菜が後ろを振り返る。
「殺してもしなない人たちですから大丈夫ですよ」
「うーん、だといいんだけど」
 心配ないと言う大和に、無理やり納得し前へ向き直った。
「一応誰もいないみたいだぞ」
「しかし相手はゴーストだ。どこに潜んでいるか分からないから、気を引き締めろよ」
 先に扉の向こうに行った淵とヘル確認して生徒たちを進ませる。
「さぁ、ポンプの水を停止させましょう」
「えぇ・・・」
 大和と歌菜2人でポンプを停止させて水を止める。
 濡れた水路に下りてラキシスと忍、ブラッドレイとリヒャルトの4人がかりで台を動かす。
「うぅん重いよ」
「もう少しじゃ!」
「手よりも肘と膝で押すと動かしやすいぞ」
「やってみる!」
 少女たちはブラッドレイに言われたとおりに動かしてみる。
「この辺だね」
 リヒャルトたちは途切れた道の間に台を置いた。
「こっちもオーケーですよ」
 台を動かしたメシエが片手を振って声をかける。
「それじゃあ水路から上がろう!」
 最後にエオリアが登り終わると、再び歌菜と大和はポンプを操作して水を流す。
「まるで迷路だね・・・1人で彷徨ったらどうなっちゃうんだろう・・・」
 クマラは施設内をマッピングしながら歩く。
「そこはどうだ?」
「この部屋は資材置き場ですね」
 鍵を探そうとヘルに言われてザカコがドアを開ける。
「ふむ・・・・・・向こう側に渡ると3つのドアがあるな」
「開けてみますか?」
 全部開けてみようとザカコが首を傾げて聞いた。
「いぇ、それだとどれか外れな可能性があります」
 翡翠が首を左右に振り止める。
「もしかしてゴーストが潜んでいるかもしれないわよね」
 アリシアの言葉に翡翠はコクリと頷く。
「こっちに敵意が向いていないんじゃ、潜んでいても探知できないものね」
 彼女の言葉にルカルカが付け加えるように言う。
「仕方ないな、俺が真ん中を担当しよう。どこからゴーストが出てきても対処できるからな」
「左側を担当するか」
 試作型星槍を構えてダリルは壁際に身を寄せる。
「じゃあ俺は右側だな」
 残った右側のドアはカルキノスが警戒する。
「開けますよ・・・」
「いつでもどうぞ」
「さぁてトラップかアタリか・・・」
 左側から順番に翡翠とザカコ、エースの3人が同時にドアを開けた。
「全部外れか!?」
 開けた全てのドアの向こうから生物兵器のゴーストの群れが現れ、残念そうにダリルが舌打ちをする。
「うぁあん怖いよー、ゴーストォオ!!」
 恐怖のあまりクマラが泣き出してしまう。
「右側のドアの向こうになにかありますよ!」
 ザカコが指差す先に小さな鍵があった。
「俺が取ってきてやろう」
 室内で蠢くドールたちの間を通り、鍵をくわえてすぐさま小部屋を出る。
「くそっ、どんなに頭ふっ飛ばしても再生しやがる!」
 弓で頭部を淵が射抜いてもゴーストはすぐに再生してしまう。
「胴体と足が分かれれば少しは再生力が衰えるか?」
 カルキノスがドラゴンアーツのパワーで腹部から両足を引き千切った。
 断裂した胴体の断面からドロリと赤黒い血が流れ出る。
 床に転がる頭がカルキノスを睨み、裂けた心臓部から硫酸を発生させる。
「くぁっ、なんだこりゃ!」
「吸い込むな!内臓をやられてしまうぞ」
 ダリルはアルティマ・トゥーレの冷気でゴーストの胴体を凍結させ離れるように指示した。



 ピチョン・・・ザザザァッ。
 天井から床へ水滴が落ち、凄まじい勢いで水が水路を流れる。
「なんとかゴーストから逃れたようだな・・・」
 泣き喚くクマラを庇いながら走ったエースのSPはほとんど残っていない状態だ。
「やっと地下1階に戻ってきたけど、カガチ先輩たちがいないわ」
 歌菜はボタンのある位置から姿を消してしまったカガチを探すが、地下1階のどこにもいなかった。
「交代で見張りをしながら休みましょう・・・」
 ゴーストがやってこないかザカコが周囲を警戒する。
「また潜入するより、しばらくここにいたほうがいいかもね」
 銀の鍵を確保したルカルカたちは地下1階で身を潜めることにした。