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【ろくりんピック】ビーチバレー in ヒラニプラ

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【ろくりんピック】ビーチバレー in ヒラニプラ

リアクション

 2.ウォーミングアップ


「公式練習、始まりましたネー!」
 場内にキャンディスの声が響き渡る。
「各東西シャンバラを代表する参加選手達が、コート脇で最終調整に入ってマァース……」
 ねえ、とパルメーラが裾を引っ張る。
「公式練習って、どのくらいで終るのかな?」
「オー! チョット待ってネ……コントラクター部門の場合は『10分間』だそうデース!」

 ■
 
「ではその間に、私は『色々と』しなくてはなりませんわね?」
 コートを囲むフェンス脇にて。
 【西チーム】の桐島 麗子(きりしま・れいこ)はこっそりと微笑んだ。
 そのまま、ゆっくりと女子選手の更衣室へと移動した。
 正面には、教導団の警備員達が控えている。
「ただでさえこの情勢ですもの……仕方がないですわね……」
 手元の戦闘用羽子板をちらりと見て、にぱっと笑う。
「これでは、さすがのユニフォームもズタズタになってしまいますわね?」
 涼しい顔で。
「関係者ですの。中に入りますわ」
 入ろうとしたところで。
「関係者? 大会役員の方で?」
「そうですわ! 何か文句でも?」
「い、いえ、ですが、一応、『身分証明書』を拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「…………そんなものが、必要でしたの?」
 
 麗子は更衣室に侵入できなかった。
(ヒラニプラと言われた段階で、厳戒態勢は覚悟した方が良かったのかも。スキルを使えば、ですわね……)
(でもこれでは、クレーメックにあわせる顔がありませんわ!)
 端正な契約者の面を思い浮かべる。
 いつでも、冷静で……だからこそ、失敗は許されない。
(さて、どうすれば……そうですわ!)
 
 応援席にいた【東チーム】のソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)は、ディテクトエビルと殺気看破を掛けたばかりだった。
「あれ? ディテクトエビルが反応してますね?」
「俺様の殺気看破もだぜ! ご主人」
 ボブカットの敵チームのユニフォームを着た女が目に着いた。
 そう遠くはない、控室の近くにいる。
「って、控室で、何しようってゆーのさ!」
「ベア! 行きましょう!」
 2人は『光学迷彩』で姿を隠した。
(こっそりと近づいて……)
(1、2の3! 今だ! ご主人!)
 
 バリッ!
 
 ソアの雷術が謎の女に命中する。
 女が倒れる。
 ベアがメガホン2つでバコバコ叩く
 女の顔があらわになる。
「こいつ! 【西チーム】の桐島 麗子だ! ご主人」
「戦闘用羽子板、ですか。何するつもりだったのでしょう?」
「そんなこと『妨害』に決まってるさ! だから、グルグルに縛っちゃえ!」
 気絶した麗子を縄で縛って拘束し、2人は意気揚々として応援席に戻るのであった。
「さ、これからも、妨害工作対策に気を配らなくっちゃ! ですね? ベア」

 ■

 公式練習が終わり、選手たちはコート脇から引き上げて行った。
 審判をはじめとする役員が定位置に着く。
 最初の選手たちが、コートに入って行く……。
 
 ■
 
 その頃。
 【東チーム】の応戦席では、応援団長のクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)を中心に、妨害工作員達が暗躍をはじめる姿があった。
「勝敗は、人数や正攻法だけで決まるものではない!
 という教訓を、【西チーム】に叩き込んであげましょう!
 ではみなさん! 頑張るですよー!」
「はい! 団長!」

 ……かくして、パルメーラが心配した黒い影達は、作戦を開始したのであった。