First Previous |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
Next Last
リアクション
・女の子って怖い
時間は刀真達がコンテナから飛び出すくらいまで一旦遡る。
「みーつけたー!」
エミカはついに如月 正悟(きさらぎ・しょうご)を発見した。
「エミカさん、ごめん、別に悪気はなかったんだ!」
正悟に向かって、電撃や矢が飛んでいく。彼女とともにいるアルメリア・アーミテージ(あるめりあ・あーみてーじ)も手伝っている。
しかも、どういうわけか彼らが走っているのは北エリア倉庫の屋根の上だ。空から行ったわけではないのにどうやって上ったのかは定かではないが、とりあえず吹き荒れるブリザードをものともせず走っている。
「それに、俺はBのことをバカにしたわけじゃない。だけど、世間一般で言ったらBはやっぱりない方に……」
余計な一言をまた言ってしまった。
「はい、ぶち殺す♪」
笑顔で応えるエミカ。だが、口から発せられる言葉はどうにも笑えない。
「……っ!!」
そして、正悟の前にさらなる人物が姿を現す。
「こらー! 女性の胸と体重と年はデリケートだから、からかっちゃいけませーん! そんな悪い人は私がオシオキです!」
「また何か来た。どことなくアリアさんな気がするんだけど」
胸が強調され、ミニスカートな魔法少女衣装に身を包んだアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)が正悟の前に立ちはだかる。
一応変身していれば正体はバレないのが定番である。
「ふふふ……甘いわね、今の私は魔法少女ノーザンライト! アリア。・セレスティではないわ!」
自分で言っちゃ意味がない。
(……負けた)
(なんか悔しいわね)
エミカ達女性陣はアリア――ではない、ノーザンライトの胸を見て肩を落した。
「さあ、世のちっぱいをいじめる罪深き者よ、覚悟なさい!」
むしろ彼女がエミカに追い討ちをかけているような気がするが、多分気のせいだろう。
「あの……俺よりストレートじゃないっすか?」
バシャーン、と正悟に水がかかる。シューティングスターが勢いよく太平洋に落され、その水が跳ねたのだ。
なお、この倉庫の屋根は太平洋沿いの建物のものである。ちょっと走れば缶のあると思われる中心部へ辿り着ける。
「さあ、エミカちゃん! ビリッとオシオキしちゃってください!」
だが、正悟は神速で逃げる。なお、彼女のデストロイモードを避けられたのも、そのためである。
「待ちなさい!」
そんな彼を追いかける一行。女の子に追い掛け回されるというのは、実に羨ましい光景にようであるが、今回は命がけである。
その時、どこからか悲鳴が上がった。
その方向へ向かって正悟も、女性陣も走り出す。
「あ、月夜さんが……」
思わずその光景に見とれた正悟は、容易くエミカに追いつかれ、
「!!!!!」
紫電槍・改の電撃を浴び、感電する。さすがにここまで来る過程で落ち着いたようで、紫電槍・改で直接突き刺すようなことはなかった。
そして、膝をついた瞬間、ヘッドショットを食らう。
「是非に……及ば……ず」
そのままうつ伏せに倒れ、屋根から落ちた。
「エミカちゃん、悪は倒れたわ」
物言わぬ男を見つめるノーザンライトやエミカ達。
「だけど……あたしの胸は変わらない。たとえ悪を倒しても、この胸の悲しみは消えないんだ……」
お仕置きをしたものの、虚無感しか残らないエミカ。
「大丈夫よ。いつか努力は報われるわ」
何の努力だろうか。
* * *
「ヘリオドールちゃん、もう少しだよ!」
西エリアから移動していたミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)は、ヘリオドールとともに北エリアへと到着した。
軽身功を使い、なんとか倉庫の屋根の上まで来たが、ここからどう攻めたものか、というところであった。
「……でも、どうするの?」
ヘリオドールが尋ねる。
「なーに、もうすぐ円が余計なもの吹き飛ばしてくれるから」
と、いうわけで、
「では、円さんお願いします」
西から北への移動の際、ロザリンド、日奈々、円、歩の三人は何とか合流出来たが、他の人とは上手く会えなかった。
とりあえず北エリアの中まで入っていき、円が残りの弾数分、機晶ロケットランチャーをぶっ放した。
そして着弾地点付近。
(さっきはいいものが撮れたぜ)
武尊はダンボールを被ったまま、一連の出来事の全てをビデオカメラに収めていた。
なお、彼はダンボールの中にいたためにいかなる攻撃にも巻き込まれないですんでいる。
(まだあと二十分ある。あと一回くらい何か……)
その時、武尊の側に機晶ロケットランチャーの弾が着弾し、爆風でダンボールごと吹き飛ぶ。
「な、何が起こって……うわっ、これ缶蹴りじゃねーだろ!!」
次々に砲撃がやってくる。
何とかカメラだけは死守しようと、中のメモリーカードだけは抜き取ってポケットに仕舞い、死守する。
砲撃が止んだと思ったら、今度は星が降ってきた。どっかからシューティングスターを放っているのだろう。
巻き込まれると危険なため、彼はとにかく離脱しようとする。
いつの間にか缶を消すという名目で他のものを消し去る流れになっている気がするが、きっと彼女達はあくまで真剣に缶蹴りをしようとした結果、手段と目的が入れ替わっただけだろう。
それが危険なことに変わりはないが。
* * *
そして、ここで守備側に思わぬ助っ人が参上する。
「あれは、一体?」
歌菜がその姿を発見する。
もはや最初のような迷宮でも要塞でもなくなってしまった北エリアに五つの影が舞い降りる。
赤、白、緑、青、黄の色違いのお面を被ったそれは、何かの戦隊もののようであった。
「CANを守る者達よ、もう大丈夫だ!」
「正義の味方は五人組だと相場が決まっているのです」
「他はいらないわ」
「魔法少女達よ」
「勝負しよう!」
とりあえず、やたらと魔法少女が多いので勝負しようというらしい。
が、いきなり現れて何を言い出してるのかよく分からない。
「ジュエルレッド!」
「ジュエルブルー!」
「ジュエルグリーン!」
「ジュエルイエロー!」
「ミネラルホワイト!」
「「「「「五人揃って……」」」」」
「あ、ちょっと待った」
ポーズを決めようとした瞬間、会議が始まる。
「おい、クリス、ジュエルで統一するっつわなかったか」
「鉱石戦隊だからこっちが正しいです」
「でも、何か水みたい。ミネラルって」
「じゃが、宝石戦隊ジュエリーファイブってのもどうかと思うのう」
「ってかもうちょっとちゃんと打ち合わせしようよー」
『マジカル流星群!』
『さーちあんどですとろい!』
ミューレリアと明日香によって一瞬で葬られる謎の五人組。
一応本文のどっかで伏線が張られていたらしいから登場したようだが、正直もう尺が残ってないので、彼女達の活躍はおあずけである。
再登場はきっとない。
彼女達の正体についてはこれもまたご想像にお任せする。
「なんだったのかな、今の?」
歌菜が呟くが、五人で四百二十八字と普通に考えたら行殺にもほどがあるだろうというくらいの出番だったので、それほど印象には残らなかった。
* * *
そんなわけで、残り時間はあとわずかとなってしまっていた。缶蹴りはいよいよ大詰めである。
「これだけやっても、缶は倒れなかったみたいですね」
「……ちゃんと蹴らないと……判定されないんじゃ、ないかなぁ?」
どんな条件であろうと、缶が動きさえすればいい。だが、軽く街破壊なんじゃないかというくらい徹底してやったものの、缶が倒れるどころか一ミリも動かなかったのである。
「……ちょっとやり過ぎじゃない?」
ヘリオドールが疑問を口にする。
「まあ、こんなもんじゃん」
百合園生の普通の基準とは何なのだろう。
「……手段は選ばない。どうやら私はこれでもまだ温かったみたいだ」
守備側の方では、朔がそのような感想を持っていた。
罠を張って手段は選ばないつもりだったが、今回はそんなレベルじゃなかった。
身体に直撃しなければ反則にならないからって、砲撃、むしろ爆撃レベルのことをやらかすというところまでは想像がつかない。
「……これはさすがに予想外じゃ」
と、ファタも口を開けている。
だが、こんなもの予想出来る方がどうかしている。
北エリアで立っている守備はこの二人と、美央を入れた三人だった。
「本物の缶、ついに見えるようになってしまったな」
倉庫の一つの中、表面は黒ずんでいるが、確かに最後の缶が設置したのと同じ場所にあった。
もう、メモリープロジェクターのダミーも効かない。
隠れる場所も多くはない。ここからは、ほとんど普通の缶蹴りとは変わらないのだ。
顔を見られることは、即ち負けを意味する。
ならば、顔を判別するまでもない速度があればいい。
「円さん、いきます!」
「……え?」
「リンさん、それはダメ!!」
ロザリンドが円の腰を掴み、軽く手前にトスし、持ち込んだ幻槍モノケロスを構えて――
「円さんシュート!」
円の足の裏にランスを当てた直後、ロザリンドがフルスウィングで一気に飛ばす。
真芯(?)で捉えたのか、打球(円)は加速し、伸びる。
「なんで、また、こんなことに……」
First Previous |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
Next Last