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合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

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合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

リアクション

「私は、自分自身の存在意義が奈辺に在るのか、追い求めているのです。私も、貴方の様に家族を持つ事が、出来るでしょうか?」
「…それはあなたのその装束と関係があるのだろうか?」
「…」
「私も以前、あなたと同じように仮面で顔を覆い、パワードスーツで人々を傷つけたことがある。…蒼空学園に籍を置けている今が、まるで嘘のような話だ。みんなが助けてくれたから、私の頑なさをみんなが溶かしてくれたから、ここにいられる」
「…」
「あなたがあなたらしく生きていれば、きっと巡り合える大切な人はいっぱいいるはず。過去より未来をみて生きて欲しいと私は思う」
「…ありがとう」

 樹月 刀真(きづき・とうま)は【アルマゲスト】の一員として、羽根 季保確保のために奔走していた。パーティに参加して怪しい人物を捜しつつ、季保が左目を負傷する原因になった刀真であったから、スーツに仮装として仮面を被って顔を隠している。
「初めて会ったとき月明かりに照らされたお前に目を奪われたけど特にこの髪が印象に残ったよ…触り心地も良いし、ここまで綺麗な髪は他にないんじゃないか?」
 と月夜を絶賛しながら、少し声を張り上げてパーティ会場を歩いて回った。羽根 季保も黒髪が自慢ゆえ、引っかかってくる可能性があると踏んだのだ。
「うん、月明かりに照らされる私の髪に目を奪われた…だから私の名は『漆髪 月夜』なんだよね…ん、気持ちいい…もっと」
(髪や頭を優しく撫でてくれる刀真の指が気持ちいいし胸に額を押しつけるようにもたれかかって甘えちゃおう。せっかくのチャンスだもん!)
 月夜は月夜でこのパーティを楽しんでいるようだった。
 そんな刀真たちに、ローザマリアからメールが入る。
「なに…複数の似た黒髪の女がいる…おそらく羽根 季保のダミー…めんどくさいことをするもんだな、羽根 季保…」
 その情報はすぐにアルマゲストたちにも配信された。


 篠宮 悠(しのみや・ゆう)も警戒にあたる。
(佑也さんが一大決心して弓削と戦おうとしてる背中、是非応援したかったんだがな…寺院の季保が襲撃に来るって言うじゃねぇか。なら俺達は、そいつらが騒ぎ起こす前に止められるだけ止めるまでだな…この一騎打ちを邪魔するような真似はさせねぇよ)
 悠は一先ずパーティーを楽しんでるフリをしつつ、殺気看破で気配を探っている。刀真から複数の季保のダミーがいることを知らされると、殺気が確かに複数人数いるのが分かった。
「…ちくしょう。パーティーの雰囲気は壊せないし慎重に探さないとな」
 パートナーの毛利 元就(もうり・もとなり)は会場の人たちに話しかけては、様子を見たり、カマをかけて回っていた。
「…血眼になって工作員を探すのも、必ずしも悪いとは言わないんだけどね…私はパーティーを楽しませてもらうわよ? 心理的に揺さぶってしっぽを掴めたらいいわね。それに佑也の一世一代の舞台。今回のメインイベントよ。私もじっくり楽しまないとね」
 悠は刀真やルナティエールと連携を取りながら、季保やその一派を絞り込んで押さえてくため、殺気のする人物たちの写真をメールする。ホレーショからのメールとローザマリアが照合し、羽根 季保のダミーと思われる人物たちのリストを作り上げて、再度、あるマゲストや警備に当たっている生徒たち、山葉 涼司に送信した。
 
 
☆   ☆   ☆   ☆   ☆    ☆   ☆   ☆   ☆   ☆


 アストライト・グロリアフル(あすとらいと・ぐろりあふる)は季保に似た人物にナンパをしかけていた。
「きれいな黒髪だねぇ、せっかくだから、その胸元もうちょっと大きく開けてみたらどうだろう?」
(ほーぉ、あの危ねぇネーチャンと同じようなのがいんのか。ってことはあの悪夢再びにならねぇように大事なところはきっちり守っておかねぇとな。まがりなりにも合コンパーティーなんだし、俺はキレイなネーチャンにはどんどん声かけさせてもらうぜ? そうすりゃ変に人気のないところへ行こうとする怪しいのにも必要以上に警戒されないで話しかけられるしな。ロイヤルガード志望としてあんまり甘くは出来ねぇけど、今後お付き合いしてもらえるんなら善処するよう努力しちゃうぜ)

 ルナティエール・玲姫・セレティ(るなてぃえーるれき・せれてぃ)セディ・クロス・ユグドラド(せでぃくろす・ゆぐどらど)は、豪華な衣装を身に纏い、舞踏会へ参加した。
 その華やかさとダンスのうまさに、一気にふたりに対する視線が集中する。そしてそれこそがこのふたりの狙いでもあった。
 さらにルナティエールは衣装を早変わりし、セディは光術でルナティエールの姿が映えるようにと、演出を凝らす。
 夕月 綾夜(ゆづき・あや)は小さなハープを使い、ルナティエールのために音楽を奏で始めると、楽団も綾夜のハープを引き立てるべく、即興で演奏を開始した。
 セクシーなアラビック衣装のルナティエールの踊りに、会場中が夢中になり始める。
(この状況のなかで、無関心な顔をしている奴こそ、羽根 季保の一団だ!)
 カイン・エル・セフィロート(かいんえる・せふぃろーと)は涼司の側について、婚約者であるエリティエール・サラ・リリト(えりてぃえーる・さらりりと)とアルマゲストたちと連絡を取り合っていた。
 そして会場をぐるっと見渡すと、やはり長い黒髪の女が、ルナティエールたちには見向きもせず、せわしなく動き始めているのがみとめられた。
「黒髪の女たちが、おかしな動きをし始めている! 気を付けてくれ! 特に、エリィ、危険なことはするなよ!」
 なんのかんのとエリィの身の安全を第一に考えてしまうカインだった。


 そんな中、事態は突然急展開を見せた。
「それはジュース? あなたってお酒飲めないのね。そういうところも好みだわ」
 斎藤 邦彦(さいとう・くにひこ)の背後から、甘い匂いを漂わせてひとりの女が現れた。
「羽根 季保…」
「お久しぶりね」
 黒い艶やかな髪をなびかせ、深紅のチャイナドレスをまとった羽根 季保がそこにいた。左目はよく見ると右目に対して機械のような無機質さを感じさせる。義眼だった。
「ひさしぶりだな…さて、私は君が山葉 涼司を狙っていると聞いていたんだが」
「そうね。彼も素敵だから、悪戯をしてやるつもりだったけれど、護衛が思ったより多くて…それにあなたを見かけたから。会いたかったわ」
「それは嬉しい」
「…邦彦、この女性が羽根 季保…」
「ああ、こちらは私のパートナー、ネル・マイヤーズ(ねる・まいやーず)
「はじめまして」
 少し機嫌が悪くなる羽根 季保。それに対してネルも邦彦を守ろうと神経を尖らせる。
「ダンスを踊って下さらない? 邦彦」
 季保はそういうと邦彦の手を強引にとって、ダンスを始めた。
「邦彦!」
「大丈夫だ、心配するな、ネル」
 邦彦はそのまま、季保とステップを踏む。
「君の同門のアンジェラという女性に会ったよ」
「アンジェラ? ああ、あのはすっぱな女ね。いけすかないわ…男の趣味が一緒でいつも取り合い…邦彦、アンジェラに何かされたのではなくて?」
「…いや、別に」
「…そう、されたのね」
「それよりも、今日は祝賀会でもある。晴れやかな席だ…出来れば、大人しくお帰りいただきたいのだが」