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合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

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合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

リアクション

「ふ〜ん。告白する覚悟、決めちゃったんだ!」
「…そ、そういうことは理さんの前ではいいにくい」

 一方、理はそんな二人をみながら、すっかり外野気分だった。
「元気の良いお嬢さんだね…赫夜さんも、地球にいる時とは変わったな…」
 どことなく安心感とそして寂寥感を覚える理だった。


「ちっどこまでも私を愚弄して! これでも食らうがいい!」
 最後の手段とばかりに、季保は胸の谷間に隠しておいた筒状の小型爆弾を取り出すと、真言や真珠に向かって放り投げる。
「危ない!」
 真言が真珠を庇う。その真言をアルマゲストの面々や、真人、アリアが庇っている。アリアはスキル【庇護者】を使って、仲間達の防衛力を上げた。そのおかげで、爆破にもそれぞれが耐えることができたのだ。さらに虹七は真言と真珠を小さな身体で庇うように覆った。
「虹七ちゃん! お爺さま! 何をしているんですか!」
「お前はわしの大事な孫だ…お前を傷つけるものから、絶対にわしが守る」
「そうだよ、ことちゃんは大事な友達だよ」
「そうですよ。真珠。みんなが真珠のことを大切に思っています」
 真人も咳き込みながら、ほほえみかけた。
 レイナが季保に剣を、レンはシャープシューターを、静麻もマシンピストルを向けた。
「お年寄りは大事にしないとダメだぜ」
 レンがニヤっと笑うと季保はくっと唇を噛みしめた。
 万事休す、と思われた瞬間だった。
「季保姐さ〜ん!!」
 空中から凄まじい勢いで小型飛行艇が降りてくると、季保の身体がパッと宙に舞い昇った。
「ウィリアム・リリー! 紀 君祥(ジー・ジュインシャン)!」
 季保の腹心の部下だった。
「姐さん、ひどいです。俺たちを置いていくなんて」
「我々が助けに来ましたから、大丈夫ですぞ」
「お前達…」
「くそ!」
 レンはシャープシューターで小型飛行艇を狙うが、素早い動きでそれをかわし、季保たちは遠ざかっていった。
「蒼空学園の連中め…おぼえてらっしゃい!!」
 季保の遠吠えだけが空にこだました。


☆   ☆   ☆   ☆   ☆    ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



「さて、試合会場は吹き飛ばされてしまったが、試合は続行することにしよう。これくらいで動揺していては蒼空学園の校長は務まらないし、生徒でいることも難しいぞ」
 山葉 涼司はあっさりと言ってのけた。
 
 会場をオープンな広場に移し、試合が再開される。

 朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)が理に挑む。ストイックな性格の彼女は、理の太刀筋やクセを把握しないようにするために、パートナーのイルマ・レスト(いるま・れすと)に剣の相手をしてもらっていたのだ。
 千歳はしばらくは防御を固めつつ、間合いを計ることに専念して、理の出方を見る。誘いの大上段からの剣戟を相手が受け止めようとしたところで、剣の軌道を変えて、胴を狙うつもりだったのだ。
(普通にやったらまず通用しない手だろうが、相手は少々自信家のようだからな。こっちが亀みたいに防御を固めていて急に撃ちかかれば、油断して隙ができるかもしれない)
 しかし、理はふわふわとした印象で、打ち込んでくることもない。
「いい加減、きちんとやってくれないか、理!」
 イライラしてきた千歳だが、理は困ったように苦笑した。また、その顔の背景にバラの花がぱあっと散ったような幻影が現れる。
「いや、朝倉さんは僕好みの黒髪に凛々しい姿だから…戦いたくないなあ」
「それでは私の目的が果たせない! 戦って強くなりたいのだ!」
「美しい女性の頼みとあっては仕方ない。では」
 にこっと笑うと、布都御魂剣を一直線に千歳の喉元に突きつけてくるのを、千歳はがちりと受け、くるっと布都御魂剣をなき払ってしまう。布都御魂剣はざくっとそのまま、地面に突き刺さる。
「素晴らしかったよ、朝倉さん」
「…満足出来ないな。手を抜いただろう」
 千歳は不満顔である。
「そんなことはないよ。あの突きは僕の渾身の力を込めたつもりだ。それに朝倉さんは練習をしすぎたんじゃないかな。疲れているように見えたよ」
「う…」
「ダーリン! 素敵だったわ〜!」
 朝倉 リッチェンス(あさくら・りっちぇんす)が千歳に抱きついてくる。
「男なんて、たとえ外見がよくても、しょせん乱暴だし馬鹿ばかり、基本的にのーきん(脳筋)なのです。いまさらなのです。リツはダーリンの勇姿が見れれば、それで満足なのです。オサムだかオサルだか知らないですが、ダーリンが男なんかに負ける訳なかったのです!」
「あはは、可愛いお嬢さんのファンが付いているんだね、朝倉さんは」
 イルマ・レスト(いるま・れすと)が近づいてくる。
「まったく千歳は…勝負の世界に、対等の戦いなんてないのですよ。そもそも、これ見よがしに学園生を挑発して対戦を望んできたのはこの方なのですから、連戦になるのは最初からわかっているはずですもの。それも考えずに、疲労して討たれるようなら、その程度のこと。真の強者は戦う前にすでに勝っているものですわ。この方、藤野さんに、いい格好を見せたいのでしょうが、男性の考えることは、一緒ですね」
「目の前にいる僕にこれほどハッキリものを言う人って凄いね。逆にほれぼれするよ」
 はは、と笑う理だった。