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05

 
 
『安心のトップグループですが、今のところ小競り合いという感じて安定しています。
 トップは相変わらずミヤルス選手。
 ちりめんじゃことクトゥグァ選手イタクァ選手がそれに続きます。
 その後では、奇跡の追い上げを見せたフォルテシモ選手となんとか踏みとどまったセッキー選手が、互いに争いながら続いています。
 その後ろはディエゴ選手、ミーシャ選手、レイちゃん選手、レイストリオ、納羽選手の順となっていますが、まだまだ予断を許しません』
 
    ★    ★    ★
 
『はい、第二グループですぅ。
 トップは我らが小ババ様、それをテオルさんが追っていますぅ。
 続いては、奇しくも旭さんと小雪シスターズの雪だるま対決が起きていますぅ。
 その後ろからは、両者の共倒れの隙を突いて一気に抜き去ろうと隙をうかがっている新生ゆるゆるパイレーツの姿がありますぅ。
 その後ろはむるんさんですぅ。
 あっ、その後ろで何かトラブルがあったみたいですぅ。カメラさん、行ってみますですぅ』
「ははははははは、永遠のどさ回り、クロセル・ラインツァート、おいでませ〜」
『ああ、なんということですぅ。華麗に粘着シートの罠を飛び越えたと思われたコットンさんとラビーさんでしたが、コットンさんが飛びきれずに油地獄に落ちてしまったようですぅ。つるつるすべって、脱出できませーん。鳴いてます、鳴いて助けを求めていますコットンさん、それを助けにラビーさんが果敢にも油の中に飛び込んでいきましたぁ。なんと感動的な光景でしょう』
「ああ、二人共、なんてけなげなの……。もう私、涙で画面が見られないよ……」
 ゴール地点で中継モニタを見ていたカレン・クレスティアが、目頭を押さえた。
「だが、このままでは、これの出番となるのだが、いいのか?」
 すぐそばで、ジュレール・リーヴェンディが大筆をズンと突き出した。
 そのころ、コットンとラビーにはさらなる危機が訪れていた。
「はははははは、もう逃げられませんよ。雪だるまによるワンツーフィニッシュ実現のために、あなたたちにはここでつるつるとしてもらいます。さあ、私のすべるギャグを聞いてのたうってください!」
 罠を仕掛けた張本人のクロセル・ラインツァートが、何やらメモを片手にコットンとラビーに近づいていった。
「校長先生ゼッコーチョー!」
 つる。
「コンドルが趣味にのめりコンドル!」
 つるつる。
「朝食食べれず 超ショック!」
 つるつるつるつるつる……。
「モノレールにも乗れーる」
 ひゅー。
「ニューヨークで入浴」
 びょおぉぉぉ……。
「アルミ缶の上にある蜜柑」
 カチーン。
『ああ、なんということでしょう。クロセルさんのすべるギャグが、あまりにすべりすぎて寒いギャグになってしまいましたぁ。そのため、サラダオイルでさえシャーベット状に凍ってしまいましたぁ。人でしたらまだすべるかもしれませんがぁ、体重の軽いうさちゃんたちはなんとか脱出に成功しそうですぅ』
「しまったあああぁぁぁ」
 クロセル・ラインツァートが頭をかかえて叫んだが、時すでに遅かった。何ごとも、限度があるということだ。
『おやぁ、罠にかかったネコ軍団の方にも何か変化があったようですぅ』
 大谷文美のレポート共に、カメラが切り変わった。
「そおれえ、一本釣りだよー」
「みぎゃあぁぁぁぁ」
 立川るるが飛ばした釣り竿の浮きの部分にしっかりとつかまると、ネコ軍団の猫たちが次々に救出されていった。とはいえ、力業での脱出なので、粘着シートがついた部分の体毛がごっそりと持っていかれてしまい、ほとんどの猫たちは涙目であった。
「そおれえ、あなたで最後……って、なんでミケがいるのよ!!」
 助けあげた猫たちの中に立川ミケがいるのに気づいて、立川るるがげげっという顔になった。立川ミケはネコ軍団の飼い主であるのだから、本当はゴールで縛られていなければならないはずだ。
「なななーなー」
「だめでしょ。さあ、失格にされないうちにゴールへ行くわよ!」
 ひょいと、あちこちの毛が禿げた立川ミケの首の後ろをつかむと、立川るるは大急ぎでコール地点へとむかって行った。アリスビームを出して立川ミケが抵抗するが、問答無用だ。
「みゃあみゃあみゃあ!」
 おいてかないでと、レースに復帰したネコ軍団がその後を追いかけていく。
『何かあったようですがぁ、レースは無事に続いていまぁす。
 あっ、今、影虎さんがやってきましたぁ』
 
    ★    ★    ★
 
『こちらは、第三グループですぅ。ダイヤちゃんと右介ちゃん左介ちゃんが、先頭を切って走り去っていきましたぁ。あれっ? こちらでも何か起きたようですぅ』
「た、助けてクマー……」
 メイベル・ポーターがカメラをむけると、そこでは雪国ベアが四人の男たちにボコボコにされていた。
「カツアゲだクマー! 助けてほしいクマー!」
 あまりにも見え見えの小芝居なので、誰も助けるはずがない。パラミタペンギンズも、北極繋がりなのだからだろうか、いや、ペンギンは南極のような気もするが、とにかく、ペンギンとして白熊の危機に一瞬気をとられたものの、完全にスルーしていった。
『さあ、小芝居がみごと無視されたところでぇ、レースの方は順位を落としたうたまるちゃんとミィちゃんが、元気にならんで走っていっています。
 その後に続くのは、撮影に気をとられて遅れた白ちゃん雪ちゃんのはずですが、おこたでぬくぬくしながらしきりに手招きするシルヴィットさんたちには引っかからなかったようですぅ。
 少し遅れて、はやぶさちゃんが走ってきます。さすがに疲れが見えるようです。
 その後ろからは、村雨丸ちゃんに続いてマカロンちゃんと垂うさちゃんが一緒に走ってきます。このあたりは、あまり変動がないですぅ』
 
    ★    ★    ★
 
『はい、まったりグループの番だよ。
 シルヴァーナくんが頑張ってるよ。
 でも、その後はローゼンくんに、ゲリくんフレキくん、コトくん、ヨルムーくんと、ほとんど変わってないよ。以上ー』
 
    ★    ★    ★
 
『さあ、そろそろゴールが近づいて参りました。現在位置の一覧です』
 
82 ミヤルス
72 クトゥグァ・イタクァ
   ちりめんじゃこ
67 フォルテシモ
   セッキー
63 ディエゴ
62 ミーシャ
59 レイちゃん
58 レイストリオ
57 納羽
56 小ババ様
54 テオル
53 旭
   小雪αβγ
52 新生ゆるゆるパイレーツ
51 むるん
50 コットン・ラビー
49 ネコ軍団
48 影虎
47 ダイヤ
   右介・左介
46 パラミタペンギンズ
45 うたまる
   ミィ
44 白・雪
39 はやぶさ
37 村雨丸
36 マカロン
   垂うさ
31 シルヴァーナ
28 ローゼンクライネ
27 ゲリ・フレキ
26 コト
19 ヨルムー