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ミッドナイト・シャンバラ3

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ミッドナイト・シャンバラ3

リアクション

 
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「ラジオでなんか言ってるぅ……うん、むにゃむにゃ……」
 ソファーに横になってラジオを聞いていたヴィランビット・ロア(う゛ぃらんびっと・ろあ)が、半分眠りながらつぶやいた。
 すぐそばでは、中国古典 『老子道徳経』(ちゅうごくこてん・ろうしどうとくきょう)がお腹をかかえて笑っている。
「ちょっと、こんなの聞いたら、すぐに誰が出したのか分かっちゃうじゃない。はははははは……」
 絨毯の上で、足をバタバタさせて転げ回る中国古典『老子道徳経』に、セルマ・アリス(せるま・ありす)がちょっと引きつった笑いを口の端に浮かべた。
「いやあ、本当に読まれるとは……、な、何だ? みんなのその視線は?」
 自分のハガキが読まれて照れていたセルマ・アリスだったが、リンゼイ・アリス(りんぜい・ありす)の刺すような視線に気づいてちょっとたじろいだ。
「なんだよ。女の子に見えると明言されたんじゃないんだからいいじゃないか。なんでそんなに不満そうなんだ?」
「なぜ、はっきりと男の娘だと言ってくれないのでしょうか。あの写真を見たら、絶対に男の娘にしか見えないのに」
「そんなことはあるわけが……。あー、もう一つの投稿、あれはリンのか!?」
 やっと真実に気づいて、セルマ・アリスが叫んだ。だが、真実はさらに奥深い。
「おかしいわね、ちゃんと写真をすり替えておいたのに……」
「ちょっと待て、なんてことを……」
 中国古典『老子道徳経』のつぶやきに、セルマ・アリスが焦る。普通の男っぽい写真を、ぬいぐるみをかかえたかわいい写真にすり替えていたらしい。よく、ストレートに男の娘だと言われなかったものだ。
「こうなったら、やはり女装写真を撮って町中にばらまくしかありませんね。いいかげん観念してもらわないと。さあ、着替えるのです!」
 言うなり、リンゼイ・アリスがセルマ・アリスに飛びかかった。無理矢理服を脱がそうとする。
 それを見て、中国古典『老子道徳経』が再び床の上を転げ回った。
「まったく、仲のいい……。どれ、私も参加するわよ。さあ、女の子におなり! ああ、ヴィーはもう遅いからちゃんとベッドに行って寝なさい。お子様は、ここから先は見てはだめよ」
 ヴィランビット・ロアのちっちゃなお尻をはたいてベッドにむかわせると、振り返った中国古典『老子道徳経』が両手を胸の前あたりでワキワキさせた。
「さあ、お着替えよ!!」
 
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「次のお便りはっと……あらら、かわいい便箋ですねー。バッタのイラストがかわいいです。
 シャレードさんこんばんわ!いつも楽しくきいています。
 今わたしは遠きょりれんあいをしています。
 こいびとははなれた場所に住んでいていそがしい人です。
 
 そこで教えてほしいのですが、遠きょりれんあいが上手くいく秘訣ってありますか?
 あいてのことが大好きなのに、くだらない事でもめてケンカしちゃったりするのです。
 モテモテれんあいひゃくせんれんまなシャレードさん。アドバイスお願いします!

 ペンネーム、恋するバッタさんからです。
 なんだか、鉛筆で書いてあったりとか、恋するバッタさんは何歳なんでしょう?
 もう、このおませさん♪
 でも、お相手は誰なんでしょう。
 遠距離恋愛ですか。お相手は地球にいるのかな?
 新幹線や天沼矛ができたとはいっても、まだまだ地球は遠いですものね。
 大丈夫、遠く離れていれば、相手の悪いところも目につかないものです。それって、大切なんですよ。
 えっ、私ですか?
 はい、もちろん私は百戦錬磨ですよ。今の恋人は……それは内緒です」
 
    ★    ★    ★
 
「次のお葉書です。
 ペンネームは、シュンランさん。
 初めてメールします、いきなりで申し訳ないのですが相談にのって頂きたい事があります。
 私はあるお方に仕える英霊です、その方には私を含めて三人のパートナーが仕えており私はその中の一人と付き合っているのですが…なんといいますか、主が私たちの関係を進めようとあれやこれやと変に手回しをしてきて困っているのです。
 例をあげますと、日帰り出来ないような用事を二人泊まりがけで申しつけられたり私が風呂に入っている時に主に誑かされた私の思い人が乗り込んできたりと。
 おそらく主も私達の事を思ってのお考えなのでしょう…ですので、面とむかって正直迷惑ですともいえずに困っています。私はいったいどうすればよいのでしょうか、何か妙案はないでしょうか?

 ええっと、それは、お二人の熱々が、その人を満足させていないからではないのでしょうか。
 見せつけちゃいましょう。
 ラブラブをこれでもかと見せつければ、きっとむこうの方が飽きちゃいますよ。
 頑張って、その人の煩悩を満たしてあげてくださいね」
 
    ★    ★    ★
 
「くっ、こ、これってやばくねえか……」
 夏候惇・元譲(かこうとん・げんじょう)と一緒にラジオを聞いていたリッシュ・アーク(りっしゅ・あーく)が、引きつった。
「もし、マスターがこれを聞いていたら……」
「まさか。そんなことはあるまい」
 そう答えつつ、いまいち夏候惇・元譲も自信がない。
 そして、案の定、バンと二人がいる部屋のドアが蹴破られるかの勢いで開けられた。
「元譲さん……ちょっとお話があります」
 ニッコリと、水橋 エリス(みずばし・えりす)が言って、クイと夏候惇・元譲を手招きした。
「いや、その、あの、何のことであろうか?」
「いいから来なさい!」
 しどろもどろにごまかそうとする夏候惇・元譲の襟首をむんずとつかんで、水橋エリスが引きずっていく。
「嫌ー、リッシュ助けてー」
 圧倒する水橋エリスの雰囲気にすっかり呑まれた夏候惇・元譲が、リッシュ・アークに助けを求めた。
「マスター、ちょっと、マスター!」
 ズルズルと連れ去られていく夏候惇・元譲の姿に瞬間呆然としていたリッシュ・アークだったが、遅ればせに我に返ると、あわてて二人の後を追いかけていった。
 
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「次のお便りは、ペンネーム、刀好きな黒猫さんからです。
 シャレードさん、スタッフの皆さん今晩は。いつも楽しく聞いています。
 今回は相談したいことがあり、投稿しました。
 僕には恋人がいるのですが、最近、彼女と二人きりになるのが怖いんです。それと、彼女から近づいてきた時、避けてしまったこともあります。
 その時の彼女の悲しそうな顔が忘れられません。
 
 今の状態になったのは、彼女に押し倒されたことが原因なのかな、と思っています。
 
 このままではいけないと思っています。しかし、なかなか直りません。
 どうしたら直すことができるでしょうか?
 何かアドバイスをいただけないでしょうか? よろしくお願いします。
 
 追伸
 …押し倒された時の彼女は怖かったです。首筋に齧りつかれた時は、彼女に食べられてしまう、と本気で思いました。

 ええと……。
 実は、もう一つお手紙があります。
 ペンネーム、恋する破壊娘さん。
 シャレードさん、そして番組スタッフの皆さま今晩は! いつも楽しく聞いております。
 突然ですが、私の悩みを聞いてください。
 最近、恋人に避けられるんです。
 
 原因は私にあります。
 自分では知らないうちに欲求不満が溜まっていたのか、彼を押し倒して、服を剥いで、首筋や鎖骨に齧りついたことがあるのです。
 それ以来、彼に避けられてしまっています。
 
 このままでは欲求不満で、また彼を襲ってしまいそうです。
 何かアドバイスをお願いします。

 なんだか、セットのようなお手紙なんですが、どうなんでしょう。
 これ、問題は、彼女の方が、本当に彼氏を食べようとしているのかどうかですよね。
 だって、ほら、吸血鬼とかだったら、本当にお食事じゃありませんか。それに、首筋に噛みついたとかありますし。これは、もう、ほとんど吸血鬼で決定ですね。
 でも、そうすると、それって愛情表現のような気もしますし。いつものことじゃないんでしょうか。
 それとも押し倒すっていうから、彼女がごっついドラゴニュートとか、マホロバ人とか……。力負けしている? ああ、そうか、きっと彼氏が男の娘なんですね。さっきの非男の娘さんのお仲間なんだあ。
 それだったら仕方ないですね。押し倒されるしかありません。
 彼女も、押し倒すのはいいですが、そこで逃がしてどうする。逃がしてはだめです。ちゃんと止めは刺しましょう。
 どうぞ、シュンランさんの所のようにラブラブで爆発してくださいね。
 では、CM」
 
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 「一般家庭から大型施設まで、設計から施工、アフターサービスもおまかせの『だいこうやのけんちくじむしょ』。カナンの魂鎖蛙斗穂織屡の建築にも技術提供、安心の技術と実績です! 荒野の真ん中に夢のマイホームはいかがですか? ご依頼お待ちしています!」
 なー。
 なー。
 なー。