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リアクション
守護者たちの集い
篝火が焚かれた神社の境内。そこには、食べ物や小物を販売している屋台がずらりと並んでいる。
「いらっしゃい! いらっしゃい! 神の加護が宿った髪飾りはいかがかな?」
「めずらしい焼き料理はいかがー」
「そこのお兄ちゃん! 彼女さんにプレゼントはどうかね?」
あちこちから客寄せをする声が聞こえてくる。その騒がしい屋台の通りを巫子服姿の騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が急ぎ足で歩いていく。
「お譲ちゃん! 焼きそばはどうだい?」
「ごめん、おじちゃん急いでるから!」
焼きそば屋の店主の呼び声に詩穂は立ち止まらずに早口で断る。次第に駆け足になって行く詩穂。
「着付けがこんな時間かかると思わなかったよー」
嘆きながら走っていると、ようやく屋台の通りを抜けた詩穂。
屋台通りから少し離れた場所に木造の平屋が建っている。そこへ詩穂は入っていく。
神前がある和室。神前の下に巫子服姿の乙川 七ッ音(おとかわ・なつね)が不安そうに座っている。
七ッ音の傍にはレティーシア・クロカス(れてぃーしあ・くろかす)が寄り添うように座り、それに対面するように佐野 和輝(さの・かずき)、アニス・パラス(あにす・ぱらす)、スノー・クライム(すのー・くらいむ)、ルナ・クリスタリア(るな・くりすたりあ)が座っていた。
レティーシアは一歩前にすり出て、和輝に右手を差し出した。
「和輝さん、今回の巫子護衛依頼を引き受けてくれてありがとうございますわ」
「いえ。たまたま時間があったので」
軽く握手をし、手を離したレティーシアは周囲を見渡す。
「それでは作戦会議に移りますけど、なにか考えてきた人はいらっしゃる?」
「はいはーい! アニスにちゃんと考えてきたよー」
勢いよく手を上げたアニスは足元に置いておいたカバンを開けて見せる。中には二組の巫子服が入っており、それをアニスは取り出した。
「和輝とスノーにこれを来てもらいまーす♪ ちなみにこれは決定事項で〜す」
取り出された巫子服を和輝とスノーの前に置くアニス。
巫子服に衝撃を受けた和輝とスノーが固まっていると、入口の横戸がスパンッと開いて詩穂が入って来る。
「すみません! 遅れちゃいました」
「大丈夫ですわよ。まだ作戦会議中なので」
体を詩穂の方へ向けたレティーシアにそう言われ、ほっとする詩穂。レティーシアの隣に詩穂が座り、作戦会議が再開する。
あれやこれやと意見が飛び交っていく。
最終的にレティーシアと和輝、スノー、詩穂が巫子姿で七ッ音の護衛を、アニスとルナは離れた所から和輝たちと連絡を取ることで作戦会議は幕を閉じた。
「それでは任務開始といきましょうか」
「そうだねぇ〜。開始しますよぉ」
スノーとルナの言葉を合図にこの部屋から出て行くメンバー。
「ねぇ、レティーシアちゃん」
「どうしました?」
「七ッ音ちゃんの護衛は詩穂たちがするけど、会場は守らなくても良いの?」
「それなら大丈夫ですわ。美緒さんがちゃんと警護に当たりますので」
所変わって会場の舞台付近。
そこには『奉納舞警護本部』と看板が立てかけられた簡易式のプレハブが建っている。
プレハブの内側には泉 美緒(いずみ・みお)と如月 正悟(きさらぎ・しょうご)が。
外側の前列に、エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)、クマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)、御凪 真人(みなぎ・まこと)、セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)、トマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)が立っている。
その後列には、神楽坂 紫翠(かぐらざか・しすい)、レラージュ・サルタガナス(れら・るなす)、シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)、リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)の以上九名が真剣な表情で美緒と正悟と向き合っていた。
「真人さんの提案のグループ警護でみんなも良いよな?」
正悟の言葉に集めっているメンバーは軽く頷く。
「よし。グループに別れたら最低一組は本部に残ること。良いな?」
『はーい』
「では、組み分けの方に移りますわね。わたくし、エース様、クマラ様の組は解説者として周囲の警護に当たります」
「了解だぜ。よろしくな! 美緒」
「わかった〜」
笑みを美緒に向けるエースとクマラに釣られ美緒も微笑んだ。次いで正悟がシリウスとリーブラに視線を向ける。
「まず残るのは美緒さんのグループにするとして、シリウスさんとリーブラさんは弾き語りをしながらの警護だよな?」
「あぁ」
「そうですわ」
手に持っている楽器を掲げて見せるシリウスとリーブラ。
「真人様、セルファ様、トマス様の組は殺気看破を使って周囲を警戒でよろしくて?」
「はい」
「そうだよ!」
「頑張って警護に当たるぜ」
威勢よくそう答えた真人とセルファにトマス。
「最後に、紫翠さんとレラージュさんの方は巫子服を着ての警護で良いのか?」
「さすがに、巫女服は……無理ですよ……女顔ですけど」
げんなりとした表情で紫翠が言うと、レラージュは残念そうな顔をする。
「だそうだが、レラージュさんはどうなんだ?」
「紫翠様に着せたかったのですけど……使用がありませんわね」
「じゃ、服はそのままで警護に当たってくれ」
正悟にそう言われ、あからさまにほっとする紫翠。
「それでは、解散としますわ。みなさん、この奉納舞を成功させますわよ!」
『おぉ!』
気合を入れる面々はグループごとに別れて行く。
本部に残った美緒たちは、本部にある椅子に座り周囲の警戒に当たった。
周囲の警戒に当たってしばらく経った時。
「すみませーん」
「ここが警護本部か?」
「警護申請しに来たんだよ!」
巫子服姿のリティシアーナ・ルチェ(りてぃしあーな・るちぇ)、立花 ギン千代(たちばな・ぎんちよ)、八日市 あうら(ようかいち・あうら)が本部前にやって来る。
「いらっしゃい。三人で警護に当たってくれるのですか?」
こくりと頷いた三人に正悟が名簿を差し出し、そこに名前を書くと本部から離れていった。
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