校長室
【空京万博】海の家ライフ
リアクション公開中!
「はい。それでは……まず、一人目の候補者、エントリーナンバー1、冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)さんです!!」 衿栖が呼ぶと、舞台袖から、ビキニの水着に戦闘用ビーチパラソルをさした小夜子が笑顔で手を振りながら登場する。 「はい、こんにちはー! と……色っぽいビキニですねぇ」 ジークフリートがうんうんと満足気に頷く。 「ええ、ここ一年ばかり、随分色っぽくなったと周りから言われるんですわ」 「確かに。肌も白いし……でも、海に来て少し焼けたんじゃない?」 幽那が小夜子にマイクを向ける。 「そうなんです。日焼けが怖いので、日焼け止めを予め体に塗ってるんですわ」 未散が小夜子の水着をじっと見て、 「うーん。でもでも……なんて言うんだろう。水着の跡がついた方が素肌の白さが目立つと思うんだ」 「ええ。それでちょっと困っていて……」 「困る? 何が?」 「……今日は来てないけど、仮に御姉様に見られたらなんて言われるかな? って」 「いやぁ! 羨ましい!! 姉妹で肌の見せ合いっこなんて!! 俺も加わりたいぜ〜!」 ジークフリートに未散が冷ややかな視線を浴びせる。 「そこにお巡りさんが加わったら、おまえ、逮捕されるぜ?」 「さ、さぁ!! では、そんな小夜子さんの特技見せて頂きましょう!! 何でも、色気を十分に使った特技という事ですよ? これは審査員のクドさんも大満足するんじゃないでしょうか? では、ミュージックスタート!!」 ジークフリートの合図と共に、ノリの良いビートのBGMが流れだす。 その中を小夜子がモデルの様に歩き、時折ビーチパラソルで姿を隠したり、また微笑んだりしながら、ポーズを決めていく。どれも、最近成長著しい胸を強調したものである。 「(フゥオオオオオォォォーー!!)」 審査員席のクドが心の中で絶叫する。 小夜子のパフォーマンスが終わり、再びジークフリート達が小夜子を囲む。 「いやいや……眼福モノでしたなぁ」 「ジークフリート、胸をガン見し過ぎだ……」 未散が呆れた顔をする。 「はい、ではそれぞれ審査員達の評価をお聞きしましょうか?」 衿栖が言うと、幽那のアルラウネ・ナルキススが審査員席のクドにマイクを向ける。 「そうだねぇ……本音を言えばお兄さん、今、凄く迷っているんだ」 「迷う?」 「お兄さんと小夜子さんのハネムーン、どこに行こうかなって……」 「オイ! 行程が飛び過ぎてるって!!」 未散が突っ込み、客がどっと沸く。 「(アハハ……お断りします)」 笑顔の小夜子が小声で毒づくのを衿栖が聞く。 「しかし、日頃から鍛えているお兄さんの、この肥えた目を十分満足させる事ができたのは、評価に値しますよねぇ。まだまだ小夜子さんは育つと思うので、しっかり揉まな……」 「はーい!! 続きまして、リューグナーさん!!」 幽那がクドのインタビューを打ち切り、アルラウネ・ディルフィナがリューグナーにマイクを向ける。 「素晴らしい素材だと思うよ。あとが居るからまだハッキリと言えないんだけど、是非ボクと契約して魔……」 「はーい。そこまで! 少女を不幸にする変な勧誘は辞めような?」 今度は未散が打ち切る。 「えっと……じゃあ、ティファニー審査員の評価は?」 衿栖が気を取り直して、続ける。 「ミーが思うに、少女は、ゲイシャガールなんだよーネ。傘さした見返り美人?」 「おお、成程!」 ジークフリートが頷く。 「デモ、ザンネンです。もう少し強さがあれば、ミーはグレイトォな評価しましたデース」 「……と、いうことですが、如何です、小夜子さん?」 「このパラソルで、海でナンパされた時、撃退したんですよ?」 「え? パラソルで?」 「はい、このパラソルで突きました……あ、勿論手加減はしましたよ?」 「んー、変な人の乱入が欲しかったところですねー」 続いて、審査員の緋雨とセルシウスがマイクを向けられ、 「白のセミロングの髪が綺麗なタイプなんだから、ビキニの水着もいいけれど、もっとお嬢様ぽい水着。パレオなんか撒いてたら満点でしたね。水着の色とデザインは自分で買われたかもしれませんが、お姉さんに選んで貰ってもいいんじゃないでしょうか?」 「うむ……ところでその傘のギミックを後で見せてくれ」 という評価と共に、小夜子には審査員五名と観客席の評価で、4・4・2・4・3・4の計『21点』が与えられた。 尚、上の数字は審査の秘匿性のため、毎回審査員の票がランダムに並んでいるが、最後の数字だけは観客席のものである。