リアクション
第十章
「何か分かったか?」
和輝は仮面の解析をするリオンに尋ねた。
「……特にはないな。ただ悪意を増長させる効果しかないようだ」
「何だ、つまらんな」
リモンは最初こそ興味津々だったものの、新しい情報が得られずに不服そうな様子だ。
「じゃあ、この仮面はどうするの?」
そう問いかけたアニスの質問に、別のところから応えが返った。
「いらないなら、こちらに渡してはもらえませんか? こちらで解析したいので」
近遠の言葉に、リモンは眉を吊り上げた。
「何を解析するというんだ。今、こちらで見たが、何もなかったぞ」
「正確には、イルミンスールの研究所に預けるんですの。お願いできないでしょうか?」
ユーリカの懇願に、和輝は頷いた。
「まあ、良いだろう。特にこちらで何かに使いたいとかはないからな。リオン、リモン、お前たちもいいか?」
和輝の言葉に、二人は異論がないと頷いた。
「ありがとうございます」
アルティシアはそんな和輝たちに感謝を込めて礼を述べた。
「この仮面に使い道がないというなら、これも持っていってくれないか?」
「誰だ?」
新たな声に、イグナは警戒する。
「ただ、偶然仮面の話を聞いただけだ。どうやら他に使いようもないらしいじゃないか。ならばいらないと判断しただけだ」
レギオンは仮面を見せながら現れた。
そして、それを躊躇いなく差し出す。
「そうですか、これだけ集められたのなら良かったです。ご協力、感謝します」
近遠は仮面を受け取ると、彼らに礼をして去っていった。
「よく考えたら、俺が仮面をした時にやったことも、刑事としては失格だったな……」
くららは項垂れた様子のマイトの背を励ますように撫でる。
「そこまで気に病むことありませんわ。それが、悪意の仮面の効果ですもの」
「まあ、さすがに刑事に襲われたのはびっくりしたけどねぇ」
雫澄はしみじみとした様子で呟いた。
「それに、そうまで落ち込まなくていい。反省したなら、後は挽回すればいいのだからな」
「挽回……」
廉の言葉に、マイトは顔を上げる。
「そうだな」
そして、決意をするようにひとつ、頷いた。
「あー! いたー! 良かった、気付いたらネームレスがいなくて心配したんだよ。見つかって……って、どうしたのその格好は!?」
行方不明だったネームレスの姿にホッとするものの、輝夜はネームレスがほぼ裸の状態で歩いていることに驚く。
「……誘拐、されてました……」
「え!?」
ネームレスの言葉に、輝夜はさらに驚いた。
「ですが、その様子じゃ大したことはなさそうですね」
エッツェルの言葉に、ネームレスは頷く。
「何が大したことないの!? 十分大変な目に遭ってるじゃん!」
輝夜は自分の上着を脱いでネームレスに被せた。
「デモ、怪我ハナイヨウデ良カッタデス」
「それは……、そうみたいだね」
アーマードの宥めるような言い方に、輝夜は渋々大人しくなる。
「それで、今回はちゃんと名誉挽回になったんですか?」
そんな輝夜に、話題を変えるようにエッツェルが話を振る。
輝夜は笑みを浮かべた。
「うん、ちゃんと仮面の事件に協力できたし、ちゃんと挽回……出来てるよね?」
語尾が不安そうに萎んだ輝夜に、エッツェルは思うままに伝えた。
「私は、もうこれ以上面倒にならないのなら、それで良いと思いますよ」
初めまして。今回のシナリオを担当させて頂きました、東雲宮司です。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
今回、悪意の仮面の続編を担当させて頂いたのですが、如何だったでしょうか?
私はまさかこのように面白そうな設定の作品に携われると思わず、しかも続編だとも思わず、丹野さんの作られたものを壊してしまっていないか若干冷や冷やしております。
しかし、執筆自体は楽しく、皆さんの考えられたリアクションとリアクションを掛け合わせるのは、一種のパズルをしているようで面白かったです。
……出来はともかくとしてですが。
なんというか、集団リンチ状態になってるような気がしまして……。
次回は……というより次回までにはもう少し精進して出直して参ります!
ちなみに、悪意の仮面はまだ続く(かもしれない)とのことですので、このシナリオで次も参加したいなと思って頂けましたら幸いです。
称号についてですが、活躍の内容を踏まえて何人かの方に贈らせていただきました。
結構変なもの……になるかもしれません。
それでは最後になりましたが、ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました。
また機会がありましたら、お会いできることを楽しみにしています。