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ミッドナイトシャンバラ5

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ミッドナイトシャンバラ5

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「次は、天真爛漫な可憐少女さんのお悩みです。
 
 お姉ちゃん達のように綺麗になるために、
 身長を伸ばしたいんですが、なかなか伸びません。
 どうしたらいいでしょうか?

 
「うんうん」
 それは凄く気になると、ジュレール・リーヴェンディが身を乗り出しました。
「まあ、ジュレったら、不憫な子」
 オーバーアクトにカレン・クレスティアがハンカチで涙を拭ったので、さすがにキッとジュレール・リーヴェンディが下から見あげ気味に、カレン・クレスティアを睨みつけました。
 
「うん。どうしたら、でっかくなれるんだもん」
 同じように身を乗り出して、冠誼美がシャレード・ムーンの答えを待ちました。
「そうそう簡単には……」
 不憫だねえと、枸橘茨がほくそ笑む口許を軽く袖で隠しながら忍び笑いを漏らしました。
 
「これは、カルシウムを取るしかないですね。骨が伸びないと、身長も伸びないですから。お肉だと、横に広がっちゃいます。
 そうですね、シャンバラ山羊のアイスなんかが成分が高いのでいいんじゃないでしょうか。
 ここだけの話ですが、某学校のあのひとも、ずっとシャンバラ山羊のアイスばっかり食べていたおかげで、最近急に身長が伸びてナイスバディになったそうですよ。
 あくまでも、噂ですけれどもねっ」
 シャレード・ムーンは、そう言って会場にむかって軽くウインクしました。
「俺にむかってウインクしてくれたぜ!」
 会場で、何か勘違いした声がちらほらと聞こえました。
 
    ★    ★    ★
 
はじめまして
 あまりこういうのは言えませんが、未婚のまま30を超えてしまいました
 娘達もいるのですが、このままでは様になりません
 どうすれば恋人が見つかるでしょうか?

 
 妖怪ほうれん草食べろさんからです。
 大変ですね、未婚の母なんですか? 相手の男性はどうしちゃったんですか?
 でも、娘さんたちがいるのならまだましじゃないですか。
 うーん、どうしても、お相手がほしいのだったら、そうですね、娘さんたちのお友達のお父さんを紹介してもらうのってどうでしょう。意外といい人がいるかもしれませんよ」
 
「かわいそうに、かわいそうに。30超えてシングルだなんて」
「そうなのか? 明日は我が身……痛い、なぜ殴るのだ!」
 投稿に涙するカレン・クレスティアによけいなことを言って、ジュレール・リーヴェンディがポカリと殴られました。
 
「続けていきますね。
『こんばんわ、私アrおっと失礼!通行人Aです!
 最近抱きつき癖が某所であるのですがどうすれば治りますか?
 それとももっとしたほうが良いですか?』

 
 通行人Aさんからでした。
 うーん、それは直した方がいいのでは?
 通行人Aさんが可愛い女の子ならまだしもですが、むさいおっさんだったりすると、いきなり則天去私食らっちゃったりするかもしれませんよ。結構危険です。
 続いては、皇帝さんからのお悩みです。
 
はじめまして
 実はかつてのローマ皇帝の英霊なのですが、どうすればまた建国出来るでしょうか?

 
 建国しちゃうんですか?
 やっぱり、ローマへの道は一日にしてならずですから、地道に行くしかないのではないでしょうか。
 とりあえず、パラミタでは、国家神と世界樹が必要ですから、お庭に世界樹の種をまいて、そうですね、最低でも500メートルになるまで育ててから考えなおしてもいいのではないでしょうか。
 世界樹の種は……、購買で売ってるんでしょうか?」
 
「よ、読まれちゃった……」
「なんでここで読む!」
『だきついちゃうんだから……ねっ♪』
 それまで観客席でおとなしくしていた多比良 幽那(たひら・ゆうな)ネロ・オクタヴィア・カエサル・アウグスタ(ねろおくたう゛ぃあ・かえさるあうぐすた)キャロル著 不思議の国のアリス(きゃろるちょ・ふしぎのくにのありす)が、パニック気味にその場で立ちあがって騒ぎ始めました。
 どうやら、こういう場所で読まれるということを想像していなかったようで、予想外の出来事にパニクってしまったようです。もっとも、キャロル著・不思議の国のアリスは、いつも静かに狂っているようですが。
「そこ、静かにしてくださいね。暴れると声が入っちゃいますから。放送事故になっちゃいます」
 すかさずアシスタントの日堂真宵がそばに駆けつけて注意しようとしますが、多比良幽那たちはそんなこと聞いちゃくれません。キャロル著・不思議の国のアリスに至っては、歓声をあげてステージに向かって走りだそうとしています。このままでは、シャレード・ムーンが危険です。
「ええい、静かにせんか」
 あわてて引き止めようとした日堂真宵が、キャロル著・不思議の国のアリスに抱きつかれて小さな悲鳴をあげました。
「ひ、土方さん……よろっ」
「うむ。いいだろう」
 日堂真宵に助けを求められて、背後に「ドッギュゥゥゥン!」という書き文字のプラカードを浮かべた土方歳三が、ポーズをつけて多比良幽那たちを指さしました。
「えっ、ちょっと、どうなっているの?」
「まて、我は皇帝ぞ。何をするのじゃあ!」
『あははは、おもしれー。レッツ、コーカスレース!!』
 騒ぐ多比良幽那たちが、あっという間にホールの外へとつまみ出されました。
 
「みなさん、あまりはしゃがないでくださいね。ただいま、警備のフラワシさんが、絶賛巡回中ですから、放送に支障をきたすようなことをすると、つまみ出されちゃいますよー」
 素早くアーサー・レイスがCMを入れた合間に、シャレード・ムーンが再度会場の観客に注意しました。
「CMあけますデース」
「はーい」