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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別

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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第十八篇:閃崎 静麻×フリューネ・ロスヴァイセ
 
 封建社会真っ只中、騎士が戦争の主役な時代をまたにかける、盗賊兼運び屋――それが閃崎 静麻(せんざき・しずま)の職業だ。
 世界に対して斜めに構えている彼は、とある小国の領主の屋敷に忍び込んだ際、領主の娘――フリューネ・ロスヴァイセと出会った。
 見張りの兵が放った矢に当たって怪我を負い、屋敷内に隠れていた静麻を発見したフリューネ。しかしながら、彼女は静麻を見張りの者に突き出すことはしなかった。
「手負いの者を突き出すなど、騎士道に反する」
 それだけ告げて静麻をかくまうと、翌朝彼女は静麻を逃がした。
 そして、二人の身分違いの恋が始まった。
 だが、静麻は世界に対する見方で、フリューネは貴族として騎士としての誇りで互いに素直になれずにすれ違いを繰り返し、やがてフリューネが隣国の領主の息子との政略結婚を強いられる日が来てしまう。
 それを知りながらも、そしてフリューネを強く想っていながらも、過去の出来事で何かしら理由をつけつつ、無意識に距離を取ってしまっている静麻。
 けれど、遂に彼は決意する。
 ――想い人を失う事、特に目の前で失う事に怯えている。そして怯えている自分から目を背けている。そんな今の自分をここで払拭すると。
 政略結婚の式が執り行われ、フリューネと隣国の領主の息子が接吻を交わす寸前、ロープを手に振り子運動しながら、式場へと乱入し、そのままフリューネを接吻寸前で抱きとめたまま式場の外へと飛び出す静麻。
「今まで見てきた中で、最高の宝を盗みに来た」
 式場から連れ出したフリューネに静麻がそう言うと、フリューネはそっと目を閉じる。
 そして、二人は接吻を交わしたのだった。