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オオカミさんにご用心

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オオカミさんにご用心
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 秋月 葵(あきづき・あおい)たち3人は旅館で出会った百日紅 火焔(さるすべり・かえん)陽炎 橙歌(かげろう・とうか)を誘って、バーベキュー広場へ向かって歩いていた。
 葵はアイボリーのブラウス、黒のショートパンツ、薄茶色のジャケットを着てきている。
 エレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)も同じ服装。
 違うのはブラウスの色が白という点だけだ。
「たまには家族サービスしようと思ってここに来たんだけど、2人は?」
「オレたちはたまたま仕事がなかったから、良い機会だと思ってこっちに休息に来たんです。普段……橙歌くんが休ませてくれないから……」
「仕事があるのは良いこと……ですの。そんな事もわからないなんて、きっと脳みその代わりにイカ墨でも入ってる……ですの」
「うぐぐ……」
 火焔は橙歌の言葉にぐぅの音も出なくなってしまった。
「相変わらず忙しいんだね。また何かあったらお手伝いするからいつでも声かけてね☆」
「はい。よろしくおねがいいたします……ですの」
 葵の言葉に橙歌は笑顔を見せた。
「そうだ、カレンちゃんご挨拶しないとですよ」
 さっきからずっと葵の後ろに隠れていた秋月 カレン(あきづき・かれん)にエレンディラがそう声をかける。
「えっと……カレンです……」
 ちょっと顔を出したカレンだったが、恥ずかしいのかすぐにまた隠れてしまった。
 カレンは白いワンピースにネコミミフード付きのピンクのパーカーで、その可愛さが引き立っている。
 しばらくは警戒していたカレンだったが、葵やエレンディラが楽しそうに話しているのを見て、安心したらしい。
 広場に着くころには火焔たちにも笑顔を見せ、会話するようになっていた。
 葵とエレンディラが手際よくバーベキューの準備を進めていく。
 それを橙歌とカレンが手伝っている。
 ただ1人、火焔は橙歌に止められて、芝生に体育座りをしてステイ状態。
「ねぇ……あれで良いの?」
 葵が火焔をちらりと見て、橙歌に耳打ちする。
「はい。あのままの方が安全で良い……ですの。火焔様は邪魔にしかなりやがりませんから……ですの」
「そ、そっか……ん〜……」
 葵はお手伝いをしてくれているカレンを見て、何かを思いついたようだ。
「じゃあ、カレンちゃん♪ あのお兄ちゃんと遊んできて良いよ。戻って来るまでには出来てるからね」
「良いの!?」
「うん、いっぱい遊んでもらうと良いよ」
「わ〜い♪ あおいママ大好きー!!」
 カレンは葵の足に抱き着いてから、火焔のところへ走って行った。
 状況をすぐに理解した火焔はカレンを肩車してあげたり、かけっこしたり……とにかく体力をたくさん使う遊びをしてあげている。
 そんなこんなで、しばらくするとお肉も他のものも良い感じに焼けて、それを文字通り嗅ぎつけた火焔がカレンを連れて戻ってきた。
「わぁ!! おいしそう!!」
 カレンは感歎の声をもらす。
「カレンちゃんは何が食べたいかな?」
 さっそく葵が良いママっぷりを発揮。
「えっとねぇ……とうもろこしと〜……大きいお肉!」
「了解☆ ちょっと待っててね」
 カレンは葵からお皿を受け取るとおいしそうに頬張った。
「こっちには鮭とキノコのホイル焼きもありますし、焼きそば、豚汁もありますから、遠慮なく食べてくださいね」
 エレンディラはずっと遊んでいてくれた火焔に微笑みかける。
「ありがとうございます」
 みんなでバーベキューをお腹いっぱい食べると、カレンがと葵その可愛い歌声を披露してくれる。
「わぁ……また上手になったんじゃないですか?」
 エレンディラはデジタルカメラの動画で葵とカレンの歌う姿を撮っている。
 それが終わると今度は葵が空飛ぶ魔法↑↑を使って、家族で空中散歩になった。
「あれ? あの2人は……あ……」
 葵が探すと、下でモモに札束ビンタを食らっているところだった。
 3人は空中散歩を終えると旅館へと帰って行った。