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リアクション
「魔王城は、私が設計しますよ。皆さんよろしくお願いいたします」
セレスティア・レイン(せれすてぃあ・れいん)が活動を始めます。
彼女のダンジョンのおかげで、勇者たちの旅が困難になりますように……。
「どうやら、魔王クロノスは敗れたようね」
ここは魔王城。
暗闇の中シルエットだけ浮かび上がるのは、魔王の一人、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)です。彼女はバグに取り込まれ、気がついたらここにいたのです。
「ところで、私、勇者を滅ぼすために出撃する予定だったのにどうしてまだ魔王城でくつろいでいるの?」
「他に戦える者がいないからよ。私は植物だけ育てられたらそれでいいし」
答えたのは、同じく魔王の多比良 幽那(たひら・ゆうな)です。
彼女は、勇者たちとの戦闘にはほとんど興味がない様子です。
「勇者たちが魔王城にやってきたとき、戦闘で対応できる者がいないと困るでしょう? あなたが適任。だからよ」
「なにそれひどい」
「ふふ……、だが勇者たちが倒した魔王クロノスは、四天王……じゃなかった、魔王の中で最強。私たちがそうやすやすと……って、あれ?」
自分で言ってて困ってしまい首をかしげたのが魔王の師王 アスカ(しおう・あすか)です。彼女は魔王たらんと頑張っているようですがどこか残念な感じ。目を泳がせ少々パニくりながら言います。
「あ、あかんやん。どないしよ、一番まともな魔王がすでにやられてしもた! なにやっとんねんクロリン。もっとまじめにせんか!」
「クロリンって誰?」
「……魔王クロノス」
「呼び方もまともにできんのか……」
セレンフィリティはため息をつきます。
せっかく魔王が集まっているのに、今ひとつ頼もしい話になりません。
もっとぶっ殺すような話題はないのでしょうか?
「……仕方ない。勇者が来たときのために身体を鍛えておくか」
「筋トレ?」
と幽那。それに対してセレンティフィはドヤ顔です。
「ビキニを換えてくるの。勇者たちを視覚で仕留めてやるわ」
「だめでしょう。勇者って全員女の子らしいんだけど」
「女の子が好きな女の子だってたくさんいる!」
「それは、ここで強く言うことじゃないじゃない。……まあいいわ、私はお花の水を変えてくるから」
幽那は特に用がないなら、と去って行きます。
「……」
「……」
なんか、悲しくなってきて魔王たちはちょっぴり涙目になります。
誰か、彼女たち残った魔王のために勇者たちと戦ってくれる者はいないのでしょうか……。