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リアクション
「さっきはよくもやってくれましたね……!」
怪植物のツタを式神として操る高月玄秀が、目を細めながら言った。
そんな彼の側にはティアン・メイの姿もある。
「これはお返しです。受け取ってください!」
玄秀はそう言って稲妻の札を懐から取り出すと、呪文を唱えて天高く放り投げた。
するとその札が呼び寄せた稲妻がN‐1に向かって落ちていく。
その電撃を受けたN‐1は、苦痛を滲ませる声をあげた。
だがN‐1の動きはまだ止まらない。
N‐1は絡みつくツタを噛みちぎり、その場を脱出する。
と、軽身功を身に付けたセシル・フォークナーが、森の木々を足場として高く飛び上がった。
そして空中にその身を投げ出すと、彼女は曲芸師のように体をくるりと回転させる。
「全力でいきますわよ!」
セシルはそう言うと、手にした電磁トンファーを振り上げた。
落ちていく先にはN‐1の姿。
彼女は落下していく速度を加えた攻撃をN‐1の体へと叩き込む。
その一撃はもの凄い衝撃音を響かせ、周囲にその強烈さを知らしめた。
そしてさすがのN‐1も、その攻撃に叫び声をあげる。
「まだだァッ!」
と、ウィンドシアを構えた榊朝斗が音速を超えたスピードでN‐1の前に姿を現す。
アクセルギアを使って超スピードで動く彼は、ウィンドシアを縦横無尽に振り回してN‐1を追い詰めていく。
そんな朝斗の背後ではパートナーのルシェン・グライシスが瞳を閉じて呪文を詠唱していた。
「戦女神よ……その威光を閃刃に変えて、我のために射し示せッ!」
目を見開いたルシェンは、手にした武器を天高く掲げる。
すると光の刃がN‐1に襲いかかった。
「邪魔者たちは退きなさい」
と、おぞましい気配を放ちながらレイナ・ミルトリアことノワールが姿を現す。
そして攻撃をしていた契約者たちを奈落の鉄鎖で縛りつけるとニヤリと笑った。
「ふふふ……ご苦労さま」
彼女は手にしたサイス・オブ・ノワールを構え、N‐1へ向かって一直線に飛翔する。
「さあ、終わりにしましょう……!」
ノワールはそう言って大鎌を振り下ろす。
その攻撃に体を大きく切り裂かれたN‐1の体からは大量の血飛沫が上がる。
「いまだ決めろッ!」
それを見た鉄心が上空のティー・ティーに向かって叫んだ。
すると、上空で力を溜めていたティーが動き出す。
「ええーいッ、そこです!」
上空からN‐1に向かって急降下していくティー。
彼女はチャージブレイクで攻撃力の増したゴールデンアックスを垂直に振り下ろし、敵の急所を強打した。
『GAAAAAAA――!?!!』
その攻撃に、N‐1は体をぐらりと揺らす。
足元をフラフラとさせて倒れるかと思ったが、N‐1は最後の底力を見せて足を地面に叩きつけた。
と、そんなN‐1の背中に強化光翼を翔かせたレイカ・スオウが飛びついた。
「もう十分です。眠りなさい、自分の貌を失ったモノよ……!」
そしてどこか憐れみのある声で彼女はそうつぶやくと、ディス・キュメルタの玄を力一杯に引き絞った。
「皆さん、危険ですから下がってください! 全力でいきますッ!!」
その声に契約者たちは次々とN‐1の側から離れていく。
「貫きなさいッ、ディス・キュメルタ――!」
伝説上の英雄が叫んだかのような威厳のある声でそう叫び、レイカは引き絞っていた玄から手を離した。
すると彼女が魔法弓に込めた5回分の魔力エネルギーがN‐1の体へと叩き込まれる。
『―――――――!!!!』
N‐1の咆哮をかき消して魔力が大爆発を起こした。
そしてイルミンスールの森全体が揺れるほどの凄まじい衝撃と閃光が辺りを包み込む。
そのあまりの激しさに契約者たちは顔を覆った。
だがしばらくすると、衝撃が収まって閃光も消え失せる。
契約者たちはゆっくりと目を開いた。
すると周囲は粉塵に覆われており、N‐1がどうなったのかはわからない。
と、超至近距離魔術の反動で空中へと投げ出されていたレイカが地面へと落ちてきた。
彼女はあまりの反動に気を失っているのか、倒れたまま動かない。
そんな彼女の姿を目にした数人の契約者たちが、慌ててそばへと駆け寄る。
そして回復魔法で彼女の傷を癒しながら、N‐1がいた場所へと固唾を呑んで視線を向けた。
次第にたちこめていた粉塵が消えていく。
するとN‐1がいた場所には巨大なシルエットが立っているのが見えた。
――そんなバカな!
誰もがそう思って口を開きかける。
だがその次の瞬間――巨大な影が足元から崩れ落ちた。
N‐1は自分の再生力を超える攻撃に耐えられず、ついに倒れたのだった。