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リアクション
「この写真の女の子について何か知りませんか?」
ノア・ローレンス(のあ・ろーれんす)は喫茶店で聞き込みをしていた。
「……確かこれと同じなのを昔持って聞き込みをしていた男の子がいたよ。10代ぐらいだったかな」
男性店員はじっと写真を見つめながら記憶を探り、数年前の出来事を思い出していた。
「名前とかは知りませんか?」
「確か、写真の女の子は妹サミエとか言っていたな。男の子はハルトとか名乗っていたかな。三年前の事故で行方不明の妹を捜していると言っていたな。両親は遺体で見つかったとか。可哀想にな」
ノアの問いかけに店員はすっかり思い出していた。幾晩も眠っていないだろうやつれた少年の姿を。
「……そうですか。それで最近、見かけたとかは」
名前と目的らしいことは分かったが、最も重要なのは今見かけた人がいるかどうか。写真が落ちているということは必ずいるはず。
「……そう言えば、昔見かけた仲間が今日の休憩の時にその女の子を見かけたって言ってたな。見間違えだとは思うが。ツインテールの綺麗な女の子と手を繋いで歩いていたとか。確か……」
店員は美女を思い出しているのかぼんやりとしてる若い男性店員の方を呆れ顔で見ながら二人が歩いて行った場所をノアに教えた。
「ありがとうございます!!」
ノアは礼を言って喫茶店を飛び出した。
「子供達の話では、絵音ちゃんの両親はあまり幼稚園の送り迎えや行事にも参加しないという話でしたわね。喧嘩した原因がそこにあるかもですわね、ドレス」
「えぇ」
写真を片手に聞き込みに勤しむ漆黒の ドレス(しっこくの・どれす)を纏った中願寺 綾瀬(ちゅうがんじ・あやせ)は、手に入れた情報の整理を始めた。
「写真の女の子の名前はサミエ。犯人は、女性一人、男性二人の三人組。イリアル、ハルト、ナカト。動機らしいことも分かりましたけど。あとは居場所ですわね」
情報は、かなりのところまで揃ったが、足りないのは目撃情報だけ。今どこにいるのか。
「聞いて回っていたということはここの住人ではないということだわ」
「そうなるとどこかの宿にいるかもしれませんわね」
居場所について綾瀬はドレスと推理を始める。
そして、ドレスの言葉で何とか見当をつけ再び捜索を開始しようとした時、
「あなたも絵音ちゃん捜索ですか」
喫茶店で目撃情報を得たノアが声をかけてきた。
「えぇ、そうですわ。宿を見て回ろうと思っていた所ですわ」
「ちょうど良かったです。居場所を聞いたところなんです」
綾瀬はこれからのことを話し、ノアは聞き込みをした中で最高の成果を役立てて貰おうとした。
「居場所は、ここから近くの安宿にいるそうです。ツインテールの美女と一緒に入って行くのを見たそうです」
喫茶店で聞き込んだ最高の情報を綾瀬に伝えた。
「……ツインテールの美女。そう、助かりますわ」
場所は予想通りだが、伝えられた情報には気になる内容もあった。ツインテールの美女。
「私は一度公園に戻りますのでよろしくお願いします」
ノアは一度公園の状況を確認するために戻ることにした。伝えるべきことは伝えたので。
「犯人は三人組ではなく四人組のようですわね。急ぎましょう」
ノアを見送った綾瀬は、手に入れたばかりの情報に疑問を抱いていた。妹と間違えて誘拐したのなら三人だけだ。もしかしたら他に協力者がいるのだろうか。
その真偽を確認するため、安宿へ向かった。
「……聞き込みの前に」
『サイコメトリ』で写真が秘めている記憶を探る火村 加夜(ひむら・かや)。
写真に写っている服を買って貰って喜んでいるのか少女はくるりと一回転する
15歳ぐらいの少年が買って来た甘いお菓子を女の子に手渡している
悲しみで顔をぐちゃぐちゃにする少年が成長したと思われる青年
青年の手に握られている写真
「……悪意よりも悲しさの方が」
感じられたのは胸に突き刺さる悲しみばかり。最初に感じた楽しい想いを全て消してしまう。
「……悪い人達じゃなさそうですね」
写真から読み取った結果、今回の犯人達に凶悪さは感じない。
そうだとしても、絵音がいないことは事実でナコや両親が心配してるのは確かなこと急がなければならない。。
「急ぎましょう」
とりあえず、犯人について情報収集を始めた。
情報収集の結果、写真の女の子の名前、犯人達の名前や人数、動機と思われる悲しい出来事を知った。
「電話で情報を確認してみましょうか。目撃情報を手に入れた人もいるかもしれませんし」
携帯電話を取り出して電話をしようとした時、情報収集をしていた生徒を発見し、手を止め口を動かした。
「あ、ローレンスさん。絵音ちゃんの情報は何かありましたか?」
「喫茶店でツインテールの美女と一緒にいるのを見た人がいました。絵音ちゃんが犯人の探し続けている妹にそっくりだったそうなんです。それで連れて行かれた場所は……」
公園に向かっていたノアは、綾瀬に伝えた情報を彼女にも伝えた。
「そうですか。ありがとうございます」
ノアに礼を言い、見送った後、携帯電話を片付けた。
「ツインテールの美女。犯人はもう一人いるということ? 確認してみる必要がありそうですね」
加夜は急いで安宿に向かった。
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