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【冬季ろくりんピック】情け無用! アイス騎馬ホッケー!

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【冬季ろくりんピック】情け無用! アイス騎馬ホッケー!

リアクション

「結局参加する羽目になったな……」
 パックを持つのは東チームの酒杜 陽一(さかもり・よういち)。元々陽一達は、高根沢 理子(たかねざわ・りこ)セレスティアーナ・アジュア(せれすてぃあーな・あじゅあ)アイシャ・シュヴァーラ(あいしゃ・しゅう゛ぁーら)らを招聘し、その護衛に当たる予定でいた。
「しかたあるまい。来られないと言われたのだ。で、あれば競技に参加するほかない」
周囲にはフリーレ・ヴァイスリート(ふりーれ・ばいすりーと)酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)ソラ・ウィンディリア(そら・うぃんでぃりあ)
「こんなはずじゃなかったんだけどなぁ……」
 結局三人には来てもらえず、こうして人数の少ない東シャンバラチームの選手としてリンクに立っていた。
「まぁ、仕方ないよ」
「とにかく、今は自分達の仕事……やろ?」
「……そうだな。さて、行きますか!」
 四人が見事なコンビネーションでパスをまわしながら相手陣営へ。
「ここから先はいかせんぞ!」
 そんな四人の前に立ちはだかるのはコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)聖剣勇者 カリバーン(せいけんゆうしゃ・かりばーん)マグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)の三人で組まれている騎馬。
「登場しました! 今回、すべてにおいて凌駕している騎馬、超重量級騎馬です!」
「よく、床が抜け落ちないでいるネ。かなりの重量あるハズヨ?」
「でかいな……」
「これ勝てるのかな……?」
「こっちは四人おるのだ。抜けないことはない」
「そうやね! まだまだいける!」
「ふっ、かかってくるがいい! 俺は聖剣勇者カリバーン! 防御形態のこの騎馬に勝てるかな?」
「それじゃあ、全員散開!」
 陽一の言葉と共に全員がばらける。
「むっ……!」
「確かに勝てないかも知れない……けどな」
 陽一がフリーレへとパス。
「私達は四人」
 フリーレが美由子へ。
「数で勝負すれば……!」
 美由子からソラへ。
「勝てへんこともないはずや!」
 見事な連携から繰り出されるパスラリー。
「これは……」
 超重量である上に騎馬を組んでいる状態。個人で機動力ある四人にたいしてはあまりにも不利。
「今だ!」
 陽一の合図と共に全員が前へ。追いついていないカリバーン達をやすやすと追い抜く。
「くっ、マグナ! ハーティオン!」
「分かっている」
「了解した!」
 合図と共に騎馬の前をやっていたカリバーン剣形態へ。そして、マグナとハーティオンがその上に乗る。
「行くぞ!」
 そしてそのまま、スノーボードのように滑り四人を追いかける。
「……あれはありなのか主審?」
「騎馬を崩しているわけではないから。もちろん有効」
 フリーレの質問に佳奈子が頷く。
「まぁ、良い。そら」
 フリーレが陽一にパスを出す。
「機動力が上がっても、数いれば勝てるさ」
 四人で再びパスラリーを始める。
「だが、いつまで逃げていられるかな?」
 一気に詰める重量級騎馬。
「潮時やな……そこ!」
 十分に気を引いたところからソラが違う場所へのパス。その先にいるのはネノノ。四人のパスラリーは重量級騎馬を引き付けるための布石だった。
「よし! ありがと!」
「私達が十分引き付けたのだ。後は頼むぞ?」
「しまった。元々それが狙いか!」
 慌てて、ネノノを追いかける。
「ククク……、行かせないわ!」
 突如として現れる炎のカーテン。その先にいたのはレロシャン・カプティアティ(れろしゃん・かぷてぃあてぃ)
「ほらほら、どんどん溶かしてあげるわ!」
 レロシャンが『パイロキネシス』を使ってどんどんと周りが火の海へとかわっていく。
「これでは近づけぬ……」
 床が溶け、足場が脆くなる。超重量を持つマグナ達が行けばたちまちに崩れ落ちリンク外にまっさかさま。
「燃えろ燃えろ! 燃えてしまえっ!」
 そして、お構いなく燃やし続けるレロシャン。
「……あれは、反則にはならないのでしょうか? 主審、いかがでしょう?」
 リカインが聞くと佳奈子も迷っているようだ。主審の手伝いで共に見ていた秀幸、イコナ達も難しい顔をしている。
「はあ、反則? 何言ってるの? これは私の中の熱い炎が氷を溶かしているだけで別に妨害とかじゃないしー。熱い心は正義だしー」
 というレロシャンの主張に。
「うむ、熱い心は正義だ! その燃えたぎる正義の心が燃やしているのであればしょうがない!」
 予想外にも賛同したのは重量級騎馬のほうだった。
「相手がそういうのでしたら……」
「わたくし達がどうこう言えた立場ではありませんわ」
「……ということらしいので、有効です」
 さすがの佳奈子達も白旗をあげるしかなかった。
「でもあんまりやると危ないからね……? でも、チャンス。まっすぐゴール向かってたからゴールはあっち!」
 ネノノは、レロシャンのことを心配すつつもそのまま火の海の中からゴールに向けてシュートフォームを取る。
「これでは、見えません……!」
 現在、西チームのエリアは火の海状態。優希の前も炎のカーテンにが広がっている。
「いっけぇ! ファイアーシュート!」
 『疾風突き』から繰り出されたシュート。火を纏ったパックがゴールへ。
「くっ!」
 見えない位置からのシュートに反応が遅れた優希。パックはゴール内へと吸い込まれていた。
「ゴール! これで両チーム同点だぁ!」
「やったね!」
 ガッツポーズをするネノノ。
「さぁ、もっと燃え上がれ!」
 そして未だに、火の海を拡大させようとしているレロシャン。
「もう良いからね……?」
 ネノノが止めに入る。
「あら、そう? まぁ今回はこの辺に……きゃっ!」
 レロシャンが自分の炎で作った窪みにスケートの刃を引っ掛け転んでいた。
「もう、だから危ないって……」
 呆れながら助け出すネノノだった。