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立ち上がれ、僕らのヒーロー!!

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立ち上がれ、僕らのヒーロー!!

リアクション

 デパート潜入組が出撃した後、入れ違いで九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)が舞台裏にやって来た。ちょうどヒーロー三人がクライマックスについて話している時だった。

「店内の広告を見て来たのですが、良ければ今日のショーの音楽を担当させて頂けませんか?」

「……音楽ですか」
 ローズの対応をした波穂は。予想外の事態で頭が回らず返事に困っていた。

 そこに鶴の一声。

「いいと思うよ。生の演奏なんてショーが盛り上がること間違い無しよ」

 声と共に姿を現したのは綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ) 。買い物ついでにショーを見に来たものの様子がおかしいことに気付き、事情を探りに来て思わず声を上げたという。

「突然、申し訳ありません。わたくし達もお手伝いしますわ」
 さゆみの隣にいたアデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)が自分達の突然の登場を詫びながらも協力を申し出た。
「ありがとうございます。生の演奏はいいかもしれません。お願いします」
 さゆみの言葉に後押しされ、波穂はローズの申し出を受け入れた。

「腕の良い音楽家がいますので、その子つれて来ますね」
 ローズは返事を聞くなり急いで音楽家を連れて来るため急いだ。

 参加を決めたさゆみとアデリーヌは準備を急いでいた。
 さゆみとアデリーヌはショーの準備を始めた。

「ヒーローショーっていっぺんやってみたかったのよね! スカイイエロー登場!!」
「似合ってますわ。わたくしは……」
 スカイイエローに姿を変えたさゆみを褒めながら自分の役目に考えあぐねる。ヒーローとして一緒に大暴れするほどの自信も体力もないが、ただ見ているだけということはしたくない。

「司会をやりますわ。応援しますから、頑張って下さいね」
 しばしの熟考の末、アデリーヌは自分の出来ることを思いついた。

「うん、見事に戦うからね」
 声変わりの飴を服用してすっかりヒーロー声になったさゆみは嬉しそうに言った。舞台に立つ前からすっかりやる気満々だ。

「ほら、カンナ」
「ちょ、何でショーの生演奏なんか」
 ローズは渋い顔をした斑目 カンナ(まだらめ・かんな)を連れて戻って来た。
「黙って売り込んだのは悪いと思うけど、カンナなら出来るって音楽の才能があるんだから」
 カンナの才能を本当に信じているローズは、スランプ脱出のきっかけになればと思って内緒の売り込みをしたのだ。

「才能って、曲を作って演奏なんて、今のあたしじゃ無理」
 まともじゃない今の状態で曲を作って他の人に聴かせるなどしたくないと考えているので全く乗り気ではない。
「なんでやってもいないのに、そんな事言うの!?」
 なかなか首を縦に振らないカンナを何とかしなければと考え始める。ショーの開演は迫っている。カンナがやる気になるまで待つ余裕などない。

「……恥をかくに決まってる。ショーならあらかじめ用意してる音楽くらいあるでしょ。それを使えばいい」
 ローズの言葉に渋い顔をしていたカンナは怒りを見せた。
 それを見てローズは作戦を思いついた。カンナの負けず嫌いな性格を刺激して演奏させることを。

「……逃げるの? カンナにとって音楽ってその程度のものなんだ」

 導き出した作戦通りローズは、心にも思っていない言葉を口にする。カンナに自信を持って欲しいという思いただ一つで。

「逃げるとかその程度のものとか……あたしにとって音楽は……」

 ローズの計画通り負けず嫌いの炎がめらりと燃え始め、

「まぁいい。あたしの意地を見せてやる!!」

 一気に大きな炎となり、エレキギターを取り出し、準備を始めた。
 怒りもスランプ中の悩み顔も消えてひたすらに音楽にがむしゃらな横顔。

「……何とかなりそう」
 ローズはほっと安心し、水を差さないように静かに見守っていた。 

「同じヒーローとして助太刀に来たニャ。子供達へ勧善懲悪、未来への希望を示すのが私たちヒーローの役目にゃ。こんなことで負けちゃだめニャ」
 騒ぎを知った超 娘子(うるとら・にゃんこ)が舞台裏に登場。

「ありがとうございます」
 波穂は丁寧に娘子に礼を言った。
 この後、娘子は開演するまでどのような顔ぶれが集まっているのか歩き回った。

「もしかして助太刀ヒーロー?」
 スカイレンジャーの姿をしていないマグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)リーシャ・メテオホルン(りーしゃ・めておほるん) を発見した娘子は声をかけた。

「そうよ。そういうあなたも?」
 リーシャは頷き、娘子に聞き返した。
「そうニャ。子供達の夢を台無しにするのは許せないよ」
 拳を力強く握り締めながら言語道断というように言った。

「……その通りだ。この騒ぎに便乗する悪の組織やら愉快犯が出ないとも限らないからな」
 マグナはこの騒ぎだけではなく、他の厄介事を引き寄せてしまうのではないかと考えていた。ショーを演じて怪人退治で済むのならいいのだが。

「だから何が起きてもショーにすることは心がけないとね。頑張ろうね」
「お互いに頑張るニャ」
 リーシャと娘子は互いに健闘を誓った。