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リアクション
Pi!
今度は先程の長音とは違って小刻みな音。通信の着信を知らせる音だ。
「一体誰だってんだよ……」
歯自体を噛み砕いてしまわんばかりに歯を食いしばり、涙を堪えて顔を上げた乱世はモニターを見やる。そして、そこに表示されていた情報に驚き、思わず歯を食いしばるのも忘れて呟いていた。
「天学の専用回線……だと? でも誰だ……こんな時に?」
驚きを隠せない乱世の声に応えるように再び着信のアラート音が鳴る。どうやら、たった今入ってきた通信はデータを送ってきたものだったらしく、アラート音は通信に乗せて送られてきたデータが受信完了したことを知らせるものだった。
今一つ腑に落ちない表情でモニターを見続けていた乱世は、送られてきたデータが自動的に展開されて表示された内容を目の当たりにして、更に困惑した顔をする羽目になった。
「座標データ……? 一体何の座標だってんだよ……?」
自動再生されたデータの内容は地図と数値が記されたものだった。どこかで見覚えのある地形であることや、右上に表記された地名が襲撃を受けた施設の名前になっているのを見るに、十中八九この座標が示しているのは自分たちが今戦っているこの場所のすぐ近くだろう。
だがしかし、この座標の示す所には一体何があるのか皆目見当もつかなかった。そもそも、誰が送ってきたかも判らないデータなのだ。それゆえに何の目的で送られてきたデータであるのかも窺い知れない。
その時だ。相変わらず腑に落ちない声を出す乱世の疑問に答えるかのように、バイラヴァのコクピットでスピーカーが通信機からの音声を響かせる。
『私がカスタマイズした機体の電子兵装がどれだけのスペックかぐらい知ってるでしょう? ヒラニプラの荒野はもとより、ヴァイシャリー湖どころか太平洋に落ちても探してこれるわよ』
唐突に聞こえてきたのは若い女、それもまだ少女と言えるほどの年齢であろう女の声だ。喋り方ひとつ取っても超然としており、良く言えば自信満々で堂々とした、悪く言えば高飛車で傲慢な印象を受ける。そして、この声を聞いた途端、乱世は今までの困惑顔した表情が嘘のように消え、代わって憤激に満ち満ちた鬼のごとし形相へと変わる。
「この声はッ! あのアマ……またちょっかいかけに来やがったッ!」
どうやら件の声の主は乱世ではない誰かに向けて話しかけているようだ。実際、話の文脈も要領を得ないが、それも別の誰かに向けての言葉であるなら不思議ではない。大方、天御柱学院の専用回線が使っている通信帯域に向けて一斉送信で喋りかけているのだろう。バイラヴァのコクピットに聞こえてきたのは、一斉送信された音声を偶然に通信機が拾ったものだとすれば頷ける。
だが、一斉送信してきた相手が名乗らず、用件もいま一つ要領を得なかったとしても、乱世には声の主が誰であるのが一発で判ったようだ。パイロットスーツの手袋が鈍い音を立てるほど拳を強く握りしめ、再び歯を噛み砕かんばかりに軋らせて乱世は怒りを顕にする。一方、声の主はそんなことなど露知らず、あるいは察していてもはなから気にしていないのか、平然と通信帯域を通して話しかけ続けてきていた。
『せっかく元・同校生のよしみで教えてあげたんだから、変な意地を張らずに拾いに行きなさいよ。今、アレが無いと物凄く困るんでしょ?』
どこか挑発的にそう問いかける件の声に対し、ややあって菜織の呻く声が続く。声の調子から察するに、件の声の主が勧めてきた提案に対して迷っているようだ。そんな菜織の背中を押すように件の声の主は更に語りかける。
『私を疑ってるならそれも結構だけど。ちなみに、もし私が本当にそちらに対して敵対行動を取るなら、既にさっきの座標データと一緒にクラッキングプログラム――要はコンピュータウイルスを送って機体のメインシステムをダウンさせてるわ。だから今頃、その立派な機体もOSが破壊されてただのメカメカしいオブジェに早変わり。インテリアとしてはともかく兵器としては使い物にならなくなってるはずよ? 言ったでしょ? 単なる元・同校生のよしみだって』
再び通信機から聞こえてくる菜織の呻き声。二人の会話を聞いていた乱世は辛抱堪らずマイクへと怒鳴った。
「菜織ッ! そのアマの言うことなんか信用するんじゃねえ! 落ちてるだか拾いに行くだか何だか知らねえが……背中を見せた途端にズドンだぜ!」
通信帯域に割り込んだ乱世の怒声に驚いた様子もなく、件の声の主は相変わらずの超然とした挑発的な声で語りかけ続ける。
『あら、未だにイーグリットを実戦で使ってるなんてどこの懐古厨かと思ったら、やっぱりあなただったのね、乱世。おっと、一応……戦闘停止を通告しとくわね。積もる話し合いもあるでしょうけど、その話し合いは長くなりそうだし、今は戦闘中だから後にしましょ』
その物言いに乱世の怒りは更に拍車がかかり、ボルテージは既に振り切れる寸前だ。
「ンだと……? なぁるほど……よぉくわかった。つまりテメェは今すぐあたいにブッ殺されてえみたいだな? えぇ?」
気の弱い人間なら聞いただけで殺されてしまいそうなほどの殺気がこもった乱世の声すらも柳に風とばかりに平然と流し、件の声の主は乱世の頭越しに菜織へと話しかけ続けた。
『で、どうするの? 私を信用するなら拾いに行けばいい。あくまで信用しないというのならそれもいいわ。そうなら、送った情報も無視してくれて構わないから。ただ、この状況で――』
「いい加減にしやがれこのアマ!」
件の声に割り込むように乱世が凄まじい怒声をマイクに向けて張り上げる。
「さっきから随分とあたい達をナメくさったマネしてくれるじゃねえかよ? えぇ? あぁ――もうこんな警告じみた会話はヤメだ。今すぐただちにこの瞬間、あたいは全身全霊全力全開でテメェをブッ殺す! だからとっとと首を洗――」
『乱世!』
だが、今度は乱世の声を制するように菜織が声を張り上げた。それに続いて菜織は、苦渋の決断であることを感じさせる声音で、極力感情を込めまいとしているかのように淡々と答える。
『いいだろう。今回はその情報……活用させてもらう』
そう答え、菜織の駆る機体が回頭してどこかへ行こうとしたのに合わせ、不知火・弐型の推進機構がエネルギーを放出するよりも早く件の声が付け加えた。
『乱世と違って菜織、あなたなら大人の判断をしてくれると信じていたわ。菜織ならそう答えてくれると思ってたから、既に私の方で拾ってきてあるの。受け取りなさい、あなたの――落し物よ』
その言葉とともに澄み渡る風切り音がバイラヴァのコクピット内スピーカーから鳴り響く。そして、それと同時にバイラヴァのレーダーは小型の飛行物体を感知していた。
――澄んだ風切り音を響かせながら、何かが空を飛んでくる。乱世がそれを理解した瞬間、不知火・弐型は急速回頭し、飛行物体が飛来する方向へと向き直る。
小型の飛行物体はバイラヴァのメインカメラにも捉えられていた。飛行物体は鮮やかなコバルトブルー一色に染め上げられており、ブーメランのように回転しながら物凄いスピードで進んでくる。
一方、その会話を様子見とばかりに静観していた敵機は、右手に持ったプラズマライフルを構えた。既に用済みとばかりに銃口を不知火・弐型へと向けると、トリガーに指をかけた。そして、銃口と銃口内部から覗く銃身内部がプラズマの光でじょじょに満たされていき、撃発寸前の状態へと突入する。
次の瞬間、敵機のプラズマライフルは強力無比な大出力のビームを発射するだろう。ひとたび発射されれば、いかに不知火・弐型の機動性と菜織の操縦技術といえども、この距離ではもう避けられまい。しかも、不知火・弐型はいかな理由かは不明だが、その場を動くつもりは毛頭ないようだ。
不知火・弐型が巨大な光条に呑まれて塵と化す一瞬前、回転しながら飛来するコバルトブルーの小型物体が不知火・弐型へと最接近する。
敵機がプラズマライフルのトリガーを引いたのと、不知火・弐型が飛行物体を掴み取り、それに備え付けられたスイッチを押し込んだのはまったくの同時。
次の瞬間、トリガーが引かれたのに従って撃発したプラズマライフルから放たれた大出力のビーム光が自らに直撃する寸前、不知火・弐型はコバルトブルーの飛行物体――先刻の戦いで手から弾かれた打刀型の新式ビームサーベルから伸びるビーム刃を構えた。
『人工知能が自動操縦で放つ単純単調な攻撃に非ず、人の手による攻撃ゆえに手間取ったが……命懸けの仕合いならぬ死合いの中で幾度となく見た技なれば私に、この綺雲菜織に――見切れぬ道理なし』
大出力のビーム光が炸裂するまさにその瞬間、不知火・弐型は構えたビームの打刀を下段から上段にかけて逆袈裟に大きく振るい、自らに迫る光条を一刀のもとに切り払う。
『元ジェファルコン乗りとしてプラズマライフルの性能は想定内だったけど、まさかそれを切り払うなんて想定外よ。流石ね――菜織』
件の声の主は驚嘆の声音に感嘆の声音を混じらせて菜織を称賛する。菜織を称賛するその声は、色々な意味で満足そうだ。
「テメェ、あたい達を助けて一体何のつもりだ?」
依然として件の声の主の真意を量りかねている乱世は、相変わらず底冷えのするような重々しい声で問いかける。だがやはり、件の声の主も相変わらず柳に風とばかりに平然とした態度だ。
『だから何度も言っているでしょ? 単なる元・同校生のよしみだって。ま、これで無料サービスは終わり。後は互いの利益の為、せいぜい利用し合うとしましょ』
変わらず暴発寸前の緊張感に満ちたやり取りを二人が続ける一方で、友軍の共通通信帯域にザカコの声がこだまする。
『いくらなんでも無茶ですよ! ビームサーベルが戻ったからって、あんなプラズマライフルを持った相手に正面から挑むなんて!』
心配で仕方ないという心境がありありと伝わってくる声音のザカコに対して、菜織の声はどこまでも落ち着き払っていた。
『心配無用。最悪でも腕の一本と、刀の一振りさえあれば私と不知火・弐型は十分に戦える。たとえそれが、格上の相手であろうともだ』
『で、でも……この敵は格上の相手なんてものでは――』
なおも言い募るザカコに向けて乱世は安心させるように、どこか諭すような声で通信を入れた。
「他の誰かなら無茶かもしれねぇけど、よ。他ならぬ菜織と不知火・弐型が刀を持ったんだ。だから、あいつらを信じて見ててやれば――きっと大丈夫だ」
だが、その一方で敵機は変わらずプラズマライフルを構えており、一発目は何とか切り払えたものの、不利な状況は依然として変わっていない。
敵機は再びトリガーにかけた指に力を入れ、銃口から銃身内部にかけて凄まじい量のエネルギーが充填されていく。
そして、次の瞬間に訪れる再度の撃発。発射された光条を不知火・弐型は紙一重の所でかわすことに成功する。
何とかプラズマライフルの銃撃をしのげてはいるが、ここままでは迂闊に近づけない。それを察したのは敵機も同じようで、ここぞとばかりに不知火・弐型を押し切ろうと大容量のエネルギー供給に任せて敵機は光条を連射する。
一発、二発と回避していく不知火・弐型。しかし、次第に狙いは正確さを増していき、ほどなくして不知火・弐型は追い詰められていく。この状況を打開するには、少なくとも手にした打刀の光刃が届く距離まで接近しなければならない。だが、接近するにしても、行く手を阻む光条の銃撃は逃げることに全力を尽くしてやっと避けられるほどの攻撃。到底、それをかいくぐって接近するなどできそうにないように思える。
そんな中、矢継ぎ早に襲い来る光条の合間を縫いながら、不知火・弐型のコクピットで菜織は静かに呟いた。
『アクセルギア起動。北辰一刀流、綺雲菜織。参る! ……光すら、抜き去るほどに疾く――ッ!』
加速装置を起動し、体感時間を最大値である三十倍まで引き延ばした菜織は凄まじい速度で不知火・弐型を迫り来る光条の連射の只中へと真正面から突撃させる。正面から突撃を敢行した不知火・弐型は手にした打刀を縦横無尽に振るって光条という光条を薙ぎ払いながら強引に道をかき分けて突き進む。ただひたすらに敵機の懐へと突き進む不知火・弐型の姿はまるで修羅の如くだ。
信じられないことに乱射されたプラズマライフルの銃撃を全て切り払って真正面から敵機の懐へと肉薄した不知火・弐型は打刀の光刃を振り下ろす。間一髪、敵機は左手で引き抜いた光刃でそれを受け止めるも、一刀に全ての力をかけて両手で握った上に背部にそびえる四対八枚の光翼を全力で稼働させての超高推進力で刃を押し込んでくる不知火・弐型を前にして明らかに押されていた。
敵機も背部の飛行ユニットを最大パワーで稼働させそれに拮抗しつつ、右手に握ったままのプラズマライフルを至近距離から不知火・弐型に向ける。ほぼ零距離からの超々至近距離射撃が不知火・弐型を撃ち抜き、凄まじい熱量で蒸発せんとするまさにその瞬間、光刃で鎬を削り合う二機の上方から二筋の光条が飛来する。
両者ともに機体を僅かに逸らすことで上方から飛来した光条を二筋とも紙一重で避けきった直後、新たな機体がこの戦域へと飛び込んでくる。鳥を思わせるフォルムにダークグレーと真紅のツートンカラーという造りをしたその機体はほぼ一瞬に近い短時間で人型に変形すると、鳥の姿でいた時には両翼にそれぞれ一挺ずつ懸架されていた二挺のライフルを両手に一つずつ構え、敵機に向けると再びトリガーを引いた。
二筋の光条が肉薄するのに際して、不知火・弐型と敵機の両者は光刃での鍔迫り合いを続けたまま器用に機体を身じろぎさせて紙一重の回避をやってのける。
『バリアを使わずに避けた……? ビーム攻撃はバリアで無効と想定してたけど、意外ね』
コクピットのマイクが声を拾ったのだろう。先刻、不知火・弐型へと光刃の打刀を届けた件の声の主が小さく呟いた言葉が通信帯域に流れる。
あやうく敵機ごと撃墜されかけたというのに、不知火・弐型の様子は心なしか事もなげだ。むしろ、それに激しく反応したのは傍から見ていた乱世の方だった。
「テメェ……菜織を囮にしやがったな! フザケたマネしてくれるじゃねえか!」
すると件の声が乱世に言い返す。
『囮? 人聞きの悪いこと言わないでほしいわね。一応、撃墜したり、されたりしないよう気は使ってるつもりよ?』
今までとは違って天御柱学院専用の通信帯域を使っているわけではないのだろう。今度は乱世と件の声とのやり取りに鉄心の声が混じる。
『あの機体……まさかスクリーチャー・オウル! 天御柱学院生の天貴 彩羽(あまむち・あやは)さんか! どうしてテロリストなんかの味方をする? ……君はそれで良いのか?』
その問いかけに対する彩羽の答えは簡単だった。
『前回の通信は潜入調査だったのよ、結局バレて戦うことになったけど。なんなら、前回のグリューヴルムヒェンとの戦闘データをそちらに提供してもいいけど?』
だが、それに対する鉄心の反応は慎重だ。
『申し訳ないが……君の言い分は信用云々のレベルじゃないな』
そうした反応にも関わらず、彩羽は特に気にした風も感じさせずに納得したようだった。
『あら、そう。なら別に構わないわ。こちらにもこちらの事情があるし、そちらにもそちらの事情がある。それぐらいは判っているわよ。ただ、邪魔をするなら容赦しないわ――』
怖気を振るうような声で最後にそう付け加えると、彩羽の駆るスクリーチャー・オウルは左右それぞれの手に握った蛇腹剣を鞭のように伸ばし、それを構えて急降下して敵機へと襲い掛かる。
左手とそれが握る光刃を不知火・弐型を食い止めるのに割いている以上、敵機が使えるのはプラズマライフルを握った右手だけだ。スクリーチャー・オウルの急降下攻撃を察知した敵機は斜め上方へと銃口を向け、迷わずトリガーを引く。
間髪入れずに発射される高出力の光条。スクリーチャー・オウルは抜群の機動性でそれを回避すると、鞭のように伸ばした蛇腹剣を振り上げ、勢いをつけて豪快に振るう。
まるで意志を持ち、本物の蛇のごとく動きで襲い掛かる蛇腹剣は正確に敵機へと肉薄する。光条で薙ぎ払うかのように、敵機がエネルギー放射中のプラズマライフルを横薙ぎしたのに巻き込まれて左の蛇腹剣一本が吹き飛ぶも、残る右手の一本が辺り一面の空域を薙ぎ払う光条をかいくぐって敵機へと到達する。
光条をかいくぐって懐へと入られた蛇腹剣に対処するべく、敵機は緊急回避的にプラズマライフルを盾のようにかざして銃身で蛇腹剣の一撃を受け止める。甲高い音とともに硬質の強化合金同士が激突して火花が散るが、双方ともにまだ損害はない。あれだけ強力なエネルギーの銃撃を断続的に連射し続けられるだけあって、敵機のプラズマライフルは相当に頑丈なようだ。
だが、プラズマライフルの銃身が誇る予想外の頑丈さに攻撃を防がれたとはいえ、スクリーチャー・オウルはその隙を利用して敵機の懐へと踏み込むと、即座に鞭状の分割形態から剣状の連結形態に蛇腹剣を戻し、それを振り上げて敵機へと斬りかかる。
敵機も再度銃身を盾にして何とかその一撃を防御するが、機体出力を最大にした第二世代機に左右から刃を押し込まれ、今やあれほどの優位を誇っていた敵は押し切られないようにするのが精一杯といった様子だった。
多大なる損耗を経て、複数の第二世代機でよってたかって押さえ込むことにより、教導団の面々はようやく膠着状態に持ち込むことができた。だがしかし、その均衡も危うい均衡だ。いつ敵が多少の損傷を覚悟でこの均衡を破りに出るかわかったものではないし、たった今しがた戦闘に参加したスクリーチャー・オウルはともかく、先程から高機動戦闘をし続けている不知火・弐型にはいつまでもこの均衡状態を保つ為に鍔迫り合いを続けていられるほどのエネルギー残量はない。
加えて、機体面においても、武装面においても、ろくに戦える状態にある友軍機はもう殆ど残ってはいない。そして、この均衡が破られた時こそ、教導団の敗北が決定するのだ。
不知火・弐型とスクリーチャー・オウル。期せずして呉越同舟することになった二機が敵機を押し切るか――。
それとも、敵機が左右から押し迫る二機からの猛攻に耐えきるのか――。
固唾を呑んで勝負の行方を見守る乱世の背後でサブパイロットシートからグレアムが声をかける。